中小企業経営のための情報発信ブログ184:トヨタの会議は30分

記事
ビジネス・マーケティング
今日もブログをご覧いただきありがとうございます。
今日は、山本大平著「トヨタの会議は30分」(すばる舎)という本を紹介します。
無駄な会議が多すぎると感じることはありませんか?
日本企業には無駄な会議が多いと言われますが、それは間違いありません。多くの経営者もリーダーをそのことに気づいています。それが改善できないのは、会議ですべきことと会議でする必要がないことの区別がついていないからです。そのために、会議で決める必要のないことまで会議を開いて延々と議論をするのです。そして結局何も決まらないということになるのです。会議を開いていれば仕事をしている気分になるということもあります。何のための会議か分かっていないのです。
成長して少し規模が大きくなると、多くの会社では「大企業病」を発症します。社内の忖度と事なかれ主義に蝕まれ、内向きの仕事に時間をとられています。ここ数十年、日本企業はこうした状況で、欧米企業や中国企業に追い抜かされました。こうした大企業病に侵されていない日本企業がトヨタです。本質志向の骨太のコミュニケーションが今もしっかりと残っているのです。
この本で挙げられているトヨタの会議は、「忖度しない!空気を読まない!議論はストレート」です。
Ⅰ:建設的な議論がしずらい「定例会議」は最初から行わない。
 Ⅱ:議事録は作らず、高性能のホワイトボードのプリントアウトと写真のみ
 Ⅲ:5秒で状況判断!場の空気を読み取り参加者全員のマインドを整える
 Ⅳ:会議で「メモなし」が暗黙のルール。メモるのは数字のみ
 Ⅴ:しゃべらないのもしゃべりすぎるのもダメ。「口2耳8」の割合で対応
 Ⅵ:嫌われても、リスクがあっても間違っていることは指摘して本気で叱る
1.トヨタのビジネスコミュニケーションを体系的に分析
 この本では、骨太で直球な「ギガ速コミュニケーション」について、5つのサブコミュニケーションスキルに分類して説明されています。
 その5つとは、
⑴「時短に役立つ仕事術・・・会議、打ち合わせなど
⑵確実に相手を射貫く・仕留めるコミュニケーション術・・・資料作成、プレゼン、メールなど
⑶本質思考・・・効果的な仕事の前提となる心構え、スピリットなど
 ⑷後進に伝える力・教育力・・・OJT、学ぶ心構えなど
⑸良好な人間関係の構築力・・・コンフリクト、マネジメントなど
です。
2.会議は30分
 トヨタだけでなく、Microsoftも会議を30分にしていることで有名です。
 30分で終わらない場合はとにかく1回終了して、別の機会をとって再び30分の会議をするのです。30分にこだわるのはそれ以上長い時間をとっても却ってダラダラ無駄な時間が増えてしまうからです。人間の集中力はそう長くは続きません。いったん切り上げて別の機会に再び集中的に議論するのです。
 日本の企業である程度の規模になると1日に2~3回会議があります。年間にすると600回近い会議が開かれています。1回の開催時間が1時間とすると600時間です。それを30分にすれば年間300時間をカットすることができます。1日8時間、年間240日労働とすれば、年間労働時間は1920時間、そのうちの300時間の節約になるのです。これはとてつもない数字です。この時間を他の仕事に向ければ生産性は上がります。
 そうはいっても、会議を30分に収めるのは難しいものですが、「何を話すのか」という議題が明確になっており、参加者全員が周知していれば十分可能です。議題が明確で周知徹底されていれば、無駄なく最初から本題に入ることができ、30分で十分なのです。
 また、トヨタでは「前の会議との繋ぎ」を大切にします。大半の会議ではその会議単体ではなく前に行なわれた会議や前提があってその続きが話し合われます。前の会議で次の会議で何を話すのかをきちんと決めておくことで、次の会議がスムーズに進行できるのです。
2.1分でOKをもらう資料作り
 トヨタでは1分でOKをもらう資料作りが重視されます。上司に確認してもらいOKをもらうにしても上司も忙しく時間がありません。1分でOKをもらえる資料というのは、要旨がものすごくまとまっていなければなりません。つまり、簡潔に1枚の紙にまとまった資料「ペライチの資料」です。
 トヨタ式の資料の構成は
Ⅰ:論点:何の話か
 Ⅱ:要望:何をして欲しいか
 Ⅲ:結論:どうしたいと思っているか
 Ⅳ:論拠:なぜそう思っているのか
 Ⅴ:補足
です。以上の5点でまとめた「ペライチの資料」が1分で上司がパッと判断してOKがもらえるのだそうです。
3.聞き手を迷子にしないプレゼン
 プレゼンの技法については以前にも書きましたが、聞いている側が途中で何の話か分からなくなるようではダメです。トヨタでは、分からないようなプレゼンをすると「やめろ」「もういい」と本気で怒られるのです。プレゼンは慣れなので、こうした失敗を経験して聞き手を迷子にしないプレゼン術を習得するようになるのです。
 トヨタ式のプレゼンのポイントは4つです。
Ⅰ:専門用語・横文字は避ける
 Ⅱ:冒頭に何を話すかを言う
 Ⅲ:章立て通りに話す
 Ⅳ:節目節目で不明点を確認する
4.口2耳8で話す
 先ほども書きましたが喋らないのも喋りすぎるのもダメです。喋るのは2割、後の8割は他の人の話をきちんと聞くことです。口10耳0でも口8耳2でも会議のバランスが崩れてしまいます。口0耳10では会議に参加している意味がありません。
5.さっさと電話をする
 世の中には相手の都合もお構いなく電話をかけてくることに対し、人の時間を盗む「時間泥棒」という人がいます。しかし、トヨタでは「さっさと電話をしろ」と言います。分からないことがあるときにそのままにしているのが問題です。メールやチャットで聞こうと思っても文章を打つのは時間がかかり面倒です。しかも何度もリレーして時間がかかり前へ進まないということもあります。電話すればパッと解決できるのです。トヨタでは、早く電話して確認することがビジネス的に重要であると徹底しています。
トヨタでは『時間泥棒』よりも『給料泥棒』の方が悪である」ということのようです。
 確かに、電話を掛けるということが、時代の流れに合っていないかも知れません。しかし、緊急性や重要性に応じて電話で確認することも大切です。
この本では、各項目ごとにまとめが掲載されており、わずか10秒で振り返ることができるので後から参照・復習するにも便利です。
トヨタ流をすべて真似ることは難しいと思いますが、参考にできるところは多々あります。読んで損はない本です。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す