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日本の中小企業の社長は忙しく時間に追われています。その理由は、本来の社長の仕事以外にやらなければならない日常業務に忙殺されているからです。
営業はもとより、什器・備品の購入や郵便物の発送など、大企業なら営業部や総務部がすべき仕事まで社長がしているところも少なくありません。また、本来人事部が行う採用についても、最初から最後まで社長自身が行うところもあります。このように、中小企業では、種々雑多な日常業務を社長がすることを余儀なくされていますが、特に社長の負担となるのは経理業務です。経理業務の中には、現金・預金の管理、伝票の作成、帳簿の記載など毎日繰り返し行わなければならないものも多く、他の日常業務と比べ物にならないくらい時間を割くことになります。しかも、経理業務は複雑で、ミスは許されない性質のものです。それなのに、経理担当を置かず社長自らが行っているのはなぜでしょうか。それは、請求書の作成や支払業務、更に給与計算について、「社員に知られたくない」「不正が行われたら困る」など社員に任せづらい理由があるからです。
しかし、経理の知識の乏しい社長が経理を行えばミスが起き、第三者の目が入らないままミスが繰り返され、税務調査が入れば大きなトラブルとなり多額の重加算税が課され、銀行からの信用にも影響します。
また、社長がそれらの業務を行うことによる損失はとてつもないものになります。社長が経理業務に忙殺されている結果、本来の社長業務が疎かになるのです。経理担当をパートでも採用し任せれば、社長本来の業務に専念できます。
中小企業の場合、大企業と異なり、その業績は社長のパフォーマンスに大きく左右されるところがあります。社員全員の総合的な力あるいは組織全体の力というよりは、社長が会社のエンジンとなって奮闘することで業績を上げているという面があります。
1.社長本来の仕事
社長本来の仕事というのは、中小企業では、端的に言えば「経営」です。経営という言葉は多義的ですが、「将来の売上・利益を増やすために経営者が行うべき一切の仕事」です。それは、つぎの3つが主な業務となります。
Ⅰ:経営戦略の立案・・・組織の中長期的な方針や計画となる経営戦略が経営の羅針盤になります。事業計画を立てる、ビジネスモデルの再構築を試みる、新たな商品・サービスを開発するなど経営戦略の立案が求められることになります。
Ⅱ:マーケティング・・・これは開発した商品・サービスを顧客に購入してもらう為の活動です。消費者のニーズを的確に捉えるためにマーケティングリサーチが必要になります。
Ⅲ:人脈の構築・・・中小企業の場合、ビジネスを拡大するために、社長の人脈は極めて重要です。社長が業界の懇親会に出席したり、経営者の集まりに参加したりして人の輪を広げていくことが意味を持ちます。
この中で、特に重要なのは、経営戦略の立案です。資金力の乏しい中小企業は、薄利多売を本質とする低価格大量生産型のビジネスモデルを採用することはできません。大企業に勝つためには、利益率の高い商品やサービスで勝負するしかありません。「ほかの競業企業には技術的に作れない」「今までになかった画期的なコンセプトである」「個人個人の顧客に合わせてカスタマイズされている」などといった高い付加価値を持った商品・サービスを市場に提供し続けることが不可欠になります。
前菅政権は、生産性の低い中小企業を淘汰しようとしました。アトキンソンなど中小企業淘汰論は未だに根強く残っています。ですから、中小企業経営者たちは、今後、成長のストップした企業は否応なく廃業へと追い込まれる可能性があることを、覚悟しておかなければなりません。そのような事態を避けたいならば、人に任せられる仕事は任せ雑多な日常業務から自分を解放し、社長本来の仕事に必死に取り組み、是が非でも会社を成長させ続けなければならないのです。
2.仕組み化
社長が自ら行ってきた経理業務などの仕事を人に任せることができるためには、「従業員には任せられない」「不正が行われるか心配」という不安を払拭させなければなりません。そのために、「仕組み化」が必要です。
「仕組み化」とは「誰が、いつ、どこで、何度やっても同じ成果が出せる」システムのことで、この「仕組み化」を社内に構築できれば、特定の人・社長しかできなかった属人的な業務が不特定多数の誰にでもできるようになるというわけです。
要は、「仕組み化」というシステムを作り人に任せるということです。
「仕組み化」に関しては多くの本が出ています。マニュアルによって仕組み化し得るのですが、マニュアルの作り方やフォーマット、更新方法などはそれぞれの企業特有の問題もあります。マニュアルやルールを作っても重要なのはそれを行うのは人であるということです。仕組みだけ作って放置すればすぐに形骸化します。重要なのは人の育成です。
経営者・リーダーに必要なことは人に任せられる仕事と自分が率先してやらなければならない仕事を分ける、優先順位をつけるということです。人に任せるということは、部下・従業員を信頼することで、それによって従業員も成長するのです。
部下、従業員を信頼し任せることで、社長の仕事のメインである中長期的な視点を持って経営戦略を策定し、実行することが可能になります。
そのためにも「仕組み化」の構築は有用であると思われます。