朝倉未来vs青木真也 世代を超えたドリームマッチ、その全記録

朝倉未来vs青木真也 世代を超えたドリームマッチ、その全記録

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コラム
第一章:両者のヒストリー

【朝倉未来(34歳・JAPAN TOP TEAM)】

RIZINデビューは2018年8月、日沖発戦での1ラウンドTKO勝利という衝撃的なスタート。その後リオン武、ルイス・グスタボ、矢地祐介といった強豪を次々と撃破し、“路上の伝説”からRIZINの顔へと駆け上がりました。

ただしフェザー級王座には縁があるようでなく、斎藤裕(2020年・判定負け)、クレベル・コイケ(2023年・一本負け)、ヴガール・ケラモフ(2023年・一本負け)とのタイトルマッチをことごとく落とし、2024年7月の平本蓮戦でもTKO負け。一時は引退も囁かれましたが、2025年に前王者・鈴木千裕、そして宿敵クレベル・コイケを撃破して劇的な復活を遂げ、2025年大晦日には王者シェイドゥラエフに挑むも1R TKO負け——悲願の戴冠はまたも叶いませんでした。

今回のライト級(-71kg)参戦は7年ぶり2試合目という、階級を上げての再起戦でした。

【青木真也(43歳・BAMF)】

正真正銘の”生きる伝説”。2003年DEEPでデビューし、修斗ミドル級王座を経てPRIDE参戦、DREAMではJ.Z.カルバンや宇野薫を破りライト級GP準優勝、2009年に第2代DREAMライト級王者に戴冠。2012年からはONE Championshipに主戦場を移し、2013年と2019年の2度、ライト級世界王座を獲得しています。

2015年大晦日のRIZIN旗揚げ戦で桜庭和志と対戦したのが日本での大きな話題になった一方、2026年に約10年ぶりRIZIN本格復帰。プロレスでも2018年にDDT参戦、KO-D無差別級王座も戴冠するなど、格闘技の枠を超えた活動でも知られる人物です。

【対戦の意味】

この一戦は「RIZIN×DREAM」——朝倉がRIZINの象徴、青木がPRIDE消滅後DREAM時代の大黒柱だった存在同士の邂逅と評されていました。数字で見ても、青木はMMA62戦で一度も一本を取られたことがなく、逆に朝倉の一本勝ちは26戦中たった1回。「打撃vs寝技」の構図が数字にそのまま表れる珍しいカードでした。

第二章:試合結果(2026年9月10日・京セラドーム大阪)

超RIZIN.5「浪速の超復活祭り」第7試合、ライト級(71.0kg)5分3R。朝倉未来がTKO勝利(1R2分39秒)を収めました。

開始早々、青木がタックルでグラウンドに持ち込み、三角絞め、バックテイクと立て続けに畳みかけます。朝倉ファンから悲鳴が上がるほどの圧力でしたが、朝倉が寝技の練習の成果でエスケープに成功。そのまま上からパウンドを連打し、レフェリーストップとなりました。前日会見で「1ラウンドでKOしたい」「判定は狙わない」と語っていた朝倉が、有言実行を果たした形です。

考察:あの2分39秒、朝倉未来と青木真也は何を感じていたか

※以下は試合の展開と両者のこれまでの言動・スタイルから推測した考察であり、本人たちの実際の発言ではありません。

開始直後——青木真也の”仕事”

ゴングと同時に青木がタックルを仕掛けた瞬間、そこには迷いがなかったはずです。43歳、11年ぶりのRIZIN本戦。会見で「積み上げてきたものが」と淡々と語っていた男にとって、この試合でやるべきことは最初から一つしかなかったでしょう——自分の土俵に引きずり込むこと。

MMA62戦で一度も一本を取られたことがない青木にとって、グラウンドは恐怖の場所ではなく、むしろ”帰る場所”です。三角絞めを仕掛けた瞬間、彼の頭の中には「これで終わる」という確信に近い感覚があったかもしれません。実際、朝倉ファンから悲鳴が上がるほどの圧力だったといいます。バックを奪い、首と腕を同時に狙う展開——ここまでは、青木のキャリアの集大成のような時間だったはずです。

しかし、朝倉がエスケープした瞬間、青木の中で何かが変わったのではないでしょうか。平成の格闘技界を極め技一つで生き抜いてきた男が、令和の世代に技を破られる——それは技術的な誤算というより、時代そのものに追いつかれた感覚に近かったかもしれません。

攻め込まれながら——朝倉未来の”我慢”

一方の朝倉は、試合前に「判定は狙わない、倒すことしか考えていない」と言い切っていました。しかし現実には、開始直後からタックル、三角絞め、バックテイクと連続で守勢に回されます。ここで彼が感じていたのはおそらく焦りではなく、“想定内”という冷静さだったはずです。

会見で青木を「化け物みたいに強い」と評されていたこと、榊原CEOから「青木は折りにくる」と警告されていたこと——朝倉はこの試合に向けて、極め技への対策を積み重ねてきた自覚がありました。だからこそ、首や腕を狙われる展開の中でもパニックにならず、エスケープのタイミングを冷静に待てたのではないでしょうか。

そしてグラウンドを凌ぎ切り、上のポジションを取り返した瞬間——そこからの朝倉には、迷いは一切なかったはずです。「1ラウンドでKOしたい」という宣言通りの展開が目の前に現れた瞬間、彼の中では既に勝利への確信があったでしょう。パウンドを連打する数秒間は、彼にとって”有言実行”を体で証明する時間そのものだったと思われます。

レフェリーストップの瞬間

青木にとってその瞬間は、悔しさと同時に、どこか清々しさもあったかもしれません。20年以上、自分のスタイルを貫き通してきた男が、最後まで自分の技術で戦い続けた末の敗北です。妥協のない生き方をしてきた青木にとって、それは”らしい”終わり方だったとも言えます。

朝倉にとっては、フェザー級王座に何度も跳ね返された過去、シェイドゥラエフ戦での敗北——積み重なった悔しさが、この一勝で一つ昇華された瞬間だったのではないでしょうか。「これが日本の格闘技の歴史の1ページです」という試合後の言葉には、単なる一勝以上の重みが込められていたように感じます。

平成を生きた寝業師と、令和を象徴する打撃の申し子。2分39秒という短い時間の中に、世代の交代と継承の両方が凝縮された一戦だったのかもしれません。
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