ありがちな行政書士法違反

ありがちな行政書士法違反

記事
法律・税務・士業全般
他事業(一般の企業やフリーランス、あるいは他士業)が、「顧客へのサービスのつもり」や「自社業務の延長」として悪気なくやってしまいがちな行政書士法違反について解説します。

行政書士の独占業務は「官公署に提出する書類」「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」の作成と非常に範囲が広いため、多くの事業者が気づかないうちに「もぐり行為(法律違反)」に足を踏み入れてしまっています。

1. Web制作会社・ITベンダーが陥る違反

Webサイトやシステムを納品する際、顧客の手間を省くためにやってしまいがちな違反です。

利用規約やプライバシーポリシーの作成代行
「サイトの雰囲気に合わせて、うちのディレクターが利用規約も作っておきますね」という行為。「権利義務に関する書類」の作成代行にあたり、明確な違法です。

IT導入補助金などの申請代行(代書)
システム導入をフックにするため、「補助金の申請書も弊社で全部書きますよ」と請け負う行為。「官公署に提出する書類」の作成代行となります。

2. 経営コンサルタントが陥る違反

企業の顧問として深く入り込んでいるがゆえに、コンサルティングの枠を超えて実務(代書)までやってしまうケースです。

契約書のドラフト作成
「新しい取引先との業務委託契約書、私がサクッと作っておきますよ」という行為。法的アドバイス(弁護士法違反)だけでなく、書類を作ること自体が行政書士法違反です。
各種許認可の「丸投げ請負」
「新規事業に必要な営業許可、うちで一括して手続きしておきます」とコンサル契約の中で請け負う行為。

3. 不動産業者が陥る違反

不動産の売買や賃貸には役所の手続きが絡むため、境界線を越えやすい業界です。

農地転用許可の申請代行
農地を宅地にして売買する際、顧客に代わって農業委員会への「農地法許可申請書」を作成・提出する行為。

遺産分割協議書の作成
相続した実家の売却依頼を受けた際、「登記や売却に必要な遺産分割協議書を、うちの営業マンが作りますよ」と請け負う行為(権利義務に関する書類の代書)。

4. 自動車販売店(ディーラー・中古車屋)が陥る違反

車を売る際の手続きで、慣習的にやってしまっているケースが散見されます。

車庫証明や自動車登録の無資格代行
顧客から「車庫証明取得代行費用」などの名目で手数料を受け取りながら、自社(または無資格のスタッフ)で警察署や陸運局の書類を作成・提出する行為。
※行政書士と提携して依頼するか、顧客自身に書類を書かせて提出のみを代行(使者)する場合は合法ですが、代書して手数料を取ると違法です。

5. 他士業(税理士・社労士など)が陥る違反

「士業だから書類作成は何でもできるだろう」という顧客側の誤解と、先生側の「顧問先からの頼みだから断れない」という思いから発生します。

税理士による「会社設立の定款作成」や「建設業許可申請」
税理士は「税務署等へ提出する書類」のプロですが、法務局での登記に関わる定款の作成や、都道府県庁への建設業許可の申請書作成は管轄外であり、行政書士(または司法書士・弁護士)の領域を侵すことになります。

社労士による「経産省系の補助金申請」
厚労省管轄の「助成金」は社労士の独占業務ですが、経産省管轄の「補助金(ものづくり補助金など)」の申請書代書は、社労士の資格で行うことはできません。


「サービス(無料)でやるから大丈夫」という勘違い

違反を指摘された事業者が最もよく口にする言い訳が、「書類作成費用はもらっていない。あくまでWeb制作費(またはコンサル料)の中で、無料サービスとしてやっただけだ」というものです。
しかし、行政書士法における「報酬を得て」という解釈は非常に厳格です。
名目が「無料」や「サービス」であっても、メインの契約(Web制作費用、コンサルティング契約、不動産仲介手数料など)と実質的に一体・セットになっているとみなされた場合、包括的な報酬を受け取っていると判断され、違法となります。

まとめ:親切心が命取りになる
顧客から「ついでにお願いできない?」と頼まれた際、「できません」と断るのは心苦しいものです。しかし、自社の管轄外の書類作成を請け負うことは、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑事罰のリスクを抱えるだけでなく、万が一書類に不備があった際に、顧客に甚大な損害(許可が下りない、違法な契約を結ばされる等)を与えることになります。



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す