補助金申請代行は行政書士へ

補助金申請代行は行政書士へ

記事
法律・税務・士業全般
中小企業診断士が経営コンサルティングの延長として、悪気なく(あるいは「サービスの一環」として)踏み込んでしまいがちな行政書士法違反について、関連法令の事実に基づき解説します。

結論から申し上げますと、中小企業診断士の国家資格には「官公署に提出する書類」や「権利義務に関する書類」を報酬を得て作成(代書)する法的な権限はありません。

1. 補助金・助成金の「申請書作成代行(代書・代理申請)


中小企業診断士が最も陥りやすい行政書士法違反が、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの手続きにおける「代書」および「電子申請の代行」です。

適法な範囲
補助金の審査に通るための事業計画の策定支援、ビジネスモデルのアドバイス、ヒアリング内容に基づく参考資料(Excel等の数値計画表)の作成。

違法となる行為(行政書士法違反)
顧客の代わりに、実際の「補助金申請書(Word等の指定フォーマット)」の文章を執筆し、完成させる行為。
顧客の「GビズID」とパスワードを預かり、jGrants(電子申請システム)へ診断士が代理で入力・送信する行為。
※これらは明確に「官公署へ提出する書類の作成・提出代行」にあたり、行政書士の独占業務を侵すことになります。



2. コンサルティングに伴う「契約書の作成代行」


新規事業の立ち上げ支援やM&Aのアドバイザリー業務の中で、当事者間の契約書類まで作成してしまうケースです。

適法な範囲
契約の条件(金額、スケジュール、業務内容)に関するビジネス上のアドバイスや、契約のひな形(空欄のフォーマット)を提供すること。

違法となる行為(行政書士法違反・弁護士法違反)
顧客の依頼に基づき、特定の取引先との「業務委託契約書」や「秘密保持契約書(NDA)」の条文を完成させて納品する行為(行政書士法第1条の2違反)。
相手方から提示された契約書に対し、「この条文は法的に不利なので直しましょう」と法的なリスク評価を行い、修正を加える行為(弁護士法第72条違反・非弁行為)。



3. 新規事業に伴う「許認可書類の作成代行」


経営改善の一環として新しいビジネス(飲食業、建設業、古物商など)を提案した際、その立ち上げに必要な役所の手続きまで巻き取ってしまうケースです。

適法な範囲
「この事業を始めるには〇〇の許可が必要ですよ」という制度の案内や、要件を満たしているかのビジネス上の確認。

違法となる行為(行政書士法違反)
保健所、都道府県庁、警察署などに提出する「営業許可申請書」やそれに付随する書類一式を、診断士が作成してあげる行為。




「顧問料・コンサル料に含めているから無料」という罠


違法行為を指摘された際、「書類作成の代金はもらっていない。あくまで毎月のコンサルティング費用(または着手金)の中で、無料のサービスとして書いた」と反論するケースが非常に多く見られます。しかし、判例や法解釈において、実質的にコンサルティング業務と一体となって書類作成が行われている場合、「報酬を得て(包括報酬)」作成したとみなされます。名目が無料であっても、行政書士法違反から逃れることはできませ

違反した場合の罰則・ペナルティ


中小企業診断士がこれらの違反を行った場合、以下の重いペナルティが科される可能性があります。

刑事罰
1年以下の懲役 または 100万円以下の罰金(行政書士法第21条)

顧客への実害
違法に作成された補助金申請が発覚した場合、補助金の交付取消しや全額返還となり、顧客を倒産危機に追い込む損害賠償リスクが発生します。

資格への影響
法律違反による刑事罰を受けた場合、中小企業診断士としての社会的信用を失墜するだけでなく、登録の取消し等に繋がる恐れがあります。


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