「全部自社で」をやめる勇気。コア技術を守りながら外部に頼る考え方

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ビジネス・マーケティング
「新商品を作りたい。でも、人も時間も足りない」

設計も、試作も、市場調査も、カタログ作りも、全部自社でやろうとすると、どれも中途半端になってしまう。かといって、外部に頼むのは不安。技術が流出しないか、丸投げにならないか、そもそも誰に頼めばよいのか分からない。

こんな悩みを抱えていませんか。

今日お伝えしたいことは一つです。
外部に頼る前に、まず「自社で手放さないこと」を決める。それが決まると、頼ってよいことも見えてきます。

■なぜ「全部自社で」は苦しくなるのか

中小企業では、一人が何役もこなすことが珍しくありません。開発担当者が、営業資料も作り、展示会にも立ち、顧客の問い合わせにも答える。

その結果、本当に力を入れるべき技術開発に時間を使えなくなります。全部を自社で抱えることは、一見まじめな姿勢ですが、強みを磨く時間を削っている可能性があります。

■コアコンピタンスとは何か

ここで役立つのが「コアコンピタンス」という考え方です。
コアコンピタンスとは、他社がまねしにくく、顧客に価値を届けられる、会社の中核となる力のことです。1990年に、経営学者のC.K.プラハラードとゲイリー・ハメルが、ハーバード・ビジネス・レビューの論文で提唱しました。

彼らは、コアコンピタンスかどうかを確かめる基準として、次の3つを挙げています。

・いろいろな市場に広げられるか
・顧客が感じる価値に大きく役立っているか
・競合がまねしにくいか

3つすべてに当てはまるものは、自社で守り、磨き続けるべき力です。逆に、当てはまらない仕事は、外部の力を借りる候補になります。

■外部と組む企業は増えているのか

国の資料も見てみましょう。2020年版の中小企業白書では、外部と連携して新しい価値を生み出す「オープンイノベーション」について取り上げています。外部の技術や知識を取り込む形の取り組みをしている中小企業は、製造業で19.0%でした。

また白書では、取り組んだ企業のほうが、取り組んでいない企業より労働生産性(従業員1人あたりが生み出す価値)の上昇幅が大きい傾向があるとしています。ただし、これは「傾向」であり、外部と組めば必ず成果が出るという意味ではありません。

一方で、取り組まない理由として「社内の人員が少ない」ことや、製造業を中心に「技術やノウハウが流出するおそれ」「連携先や仲介者が見つからない」ことも挙げられています。不安を感じているのは、あなたの会社だけではないのです。

■製造業ではどう考えるか

※以下は説明用の架空例です。

従業員30人ほどの部品メーカーが、新しい製品の開発を考えています。この会社の強みは、難しい金属加工のノウハウです。長年の経験に支えられていて、他社が簡単にはまねできません。

新製品づくりに必要な仕事を書き出し、3つに分けてみました。

・自社で守る:金属加工の条件出し、品質の作り込み
・一緒にやる:製品の使い方の検証(顧客や大学と協力)
・任せる:電子回路の設計、カタログのデザイン、展示会ブースの施工

この会社は、加工技術という「核」を自社に残したまま、それ以外の仕事で外部の力を借ります。そうすることで、限られた人を、一番大事な仕事に集中させることができます。

■頼るときに気をつけたいこと

外部に頼るときは、次の3点に気をつけると失敗を減らせます。

一つ目は、丸投げにしないことです。任せる仕事でも、「何のために、何を、いつまでに」は自社で決めます。目的を決めるのは、外部ではなく自社の役割です。

二つ目は、守る情報の範囲を決めておくことです。秘密保持の契約を結ぶのはもちろん、「どこまで見せるか」を事前に社内で決めておくと、技術流出の不安を小さくできます。

三つ目は、相手を一人に頼りすぎないことです。一人の専門家の意見だけで進めると、その人の考えに偏るおそれがあります。必要に応じて、複数の視点を入れましょう。

■今日からできる実践

自社の新商品づくりや、今抱えているプロジェクトを1つ選んで、次のことをやってみてください。

1. 必要な仕事を、思いつく限り書き出す
2. それぞれの仕事に、コアコンピタンスの3つの基準を当てはめる
3. 「自社で守る」「一緒にやる」「任せる」の3つに分ける

「自社で守る」に入る仕事が多すぎる場合は、本当に3つの基準をすべて満たしているか、もう一度確かめてみましょう。

■まとめ

・全部を自社で抱えると、強みを磨く時間が削られることがある
・コアコンピタンスは「広げられる」「顧客の価値に役立つ」「まねしにくい」の3つで確かめる
・中小企業白書では、外部と連携した企業ほど生産性の上昇幅が大きい傾向が示されている。ただし成果を保証するものではない
・頼る前に「自社で手放さないこと」を決め、丸投げせず、守る範囲を決めておく

外部に頼ることは、手を抜くことではありません。自社の強みに集中するための選択です。まずは、仕事を3つに分けるところから始めてみてください。

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