肝試し♂×♀チェンジ！わたしたち入れ替わってる！？

今日から夏休み。

クラスで仲の良い連中は好きな女子と夏に何するのかって話で持ちきりだ。

僕はあんまり興味がなくて、曖昧な相槌だけして窓の外を見てた。

夏空は澄み切っていてとても綺麗だ。

「なあなあ！俺の話ちゃんと聞いてる！？」

「うん？」

「夏って言ったらやっぱ肝試しだろ！お前女子の友達いるだろ？」

「あー。いるけどこの歳になって肝試しって」

「このお年頃だから！楽しいんじゃんか！バカ！」

「女子２人呼んできて、あの廃校に行こうぜ！」

「はぁ？なんで僕がそんな子供だましに付き合わなきゃいけないわけ」

「いいから！頼むよー！」

親友のバカな頼みで幼馴染の女子とその友人と４人で夜の廃校に忍び込んだ。

本当にバカバカしいよな。こんなことで女子にキャーキャー言われないしモテないって。

でも、いざ廃校を目の前にするとちょっとイタズラ心が疼いてワクワクする。

「よーし！張り切っていこう！俺はこの子と二人で行くからお前は幼馴染といけよ！」

「いいよ」

「僕もオーケー。じゃあただの肝試しだとつまらないからゲームをしようよ」

「どんな？」

「一番奥の離れの理科室まで行って証拠を持って早く帰ってきた方の勝ち。賞品はパートナーからのキス」

「マジか！！！やるやる！！」

＿＿＿単純だな。でもこの手のノリもちょっと楽しいかも。

「じゃあ。行くよ！よーい、どん！」

一斉に４人は駆け出して廃校の門をくぐり闇の中へ消えていった。

まずは、庭の鬱蒼とした草林を越えて蜘蛛の巣をくぐり下駄箱からボールの転がる体育館を通り抜けて、手探りで最奥の理科室を目指す。

幾つもの教室を見て回ったけど、音楽室、美術室、視聴覚室、各教室。

どれもハズレだった。

「いい加減疲れたし、飽きてきたな」

「うん、ちょっと走り疲れたね」

「ああ。大丈夫か？」

「うん。平気・・・ちょっと喘息で息が苦しいけど」

「は！？大丈夫じゃないだろ！」

「ちょっと休んだら。だ、大丈夫だから」

「くそ！・・・あの教室。なんだ？」

ぼんやりと明かりが灯っている教室が見える。

誰か人がいるのか！いや、ここは廃校だぞ。そんなわけがない。あいつらに先を越されたか。

そんなことはいいから合流して助けを求めよう。

＿＿＿ガラッ

教室のドアを開けるとそこは、まるで今も使われているかのように真新しい理科室で

珈琲のようないい香りがした。

「なんだ。ここ・・・」

「はぁはぁ・・・」

「気にするな。大丈夫だからここで休もう」

「うん。ありがとう。・・・ゴホッゴホ・・・」

「応急薬は持ってないのか？」

「あるんだけど粉薬だからお水がないと・・・ゴホッ」

「くっそ！・・・蛇口も！ここじゃ水も出ないか！」

「大丈夫・・・ゴホッ」

「・・・冷蔵庫があるけど、飲み物なんて・・・ある！でも、未開封のペットボトルだけど大丈夫か？」

「ゴホッゴホッゴホゴホ・・・」

「先に、僕が飲んでみるから水だったらあげる！」

「え！大丈夫？・・・ゴホっ」

＿＿＿ゴクッ。怖いとか言ってる場合じゃない。水だといいな。

「なんともない！水だ！早く薬を！」

「ありがとう・・・！」

＿＿＿ようやく幼馴染が落ち着いたので安心してぼんやりと珈琲の匂いのする理科室を後にした

勿論、証拠として岩塩の大きい塊も持って。

しばらく庭の林道を歩いていると腰の辺りに違和感がある。

＿＿＿なんだろう？このむず痒い感覚・・・

「ちょっとおトイレ！」

「こんなとこで！？」

「だって！さっきから何か変なんだもん！」

「見ないでよね！」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「きゃああああああああああああああああ！！！」

「どうした！！？」

「きゃあああああああ！！！！！見ないでって言ったでしょ！！！！」

「わああああああ！！！！」

「え！？お前。男だったのか！！」

「違うわよ！バカ！」

自分の腰の違和感が強く熱くなってきていることに気づいた僕は大変なことに気づいてしまった。

あるはずの感覚がない・・・！

咄嗟にズボンの上から確認してみた。

やはり、あるはずのものがない！

「何してるの！！ヘンタイ！！」

「いや！これには訳が！俺も！きっとお前と同じことになってる！！」

「え！？」

僕たちは、お互いに向かい合って不思議そうに自分の腰から下を見下ろして、とても驚いた。

まるでお互いの体が入れ替わってしまったかの様で不思議と変な感情は湧かなかった。

「なあ、これってどうゆうことなのかな」

「わたしもわからない」

「さっきの廃校の理科室で飲んだ水が原因かな？」

「だとしたら、もう一度あの理科室に行って元に戻る方法を探しましょう！」

＿＿＿このままじゃ夏が明けたら登校できない！俺と幼馴染は必死で理科室に駆け戻った

end