【エッセイ】神仏との縁をむすぶ、お参りと御朱印の嗜み

【エッセイ】神仏との縁をむすぶ、お参りと御朱印の嗜み

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コラム
旅先や散歩の途中で神社仏閣に立ち寄ると、どこか心が洗われるような厳かな空気に包まれます。近年では、参拝の証として「御朱印」をいただく方も増えてきました。この御朱印、もともとは室町から江戸時代にかけて、巡礼者がお寺に自ら書き写したお経(写経)を納めた際、その証明として授かっていた「納経印」が始まりとされています。時代の移り変わりとともに少しずつ形を変え、現代では写経を納めずとも、真摯にお参りをすれば数百円の初穂料(納経料)でいただけるようになりました。

しかし、御朱印は観光スタンプラリーの記念スタンプとは本質的に異なります。それは神職や僧侶が神仏への祈りを込めて授けてくださる、信仰に関わる神聖なものです。だからこそ、いただく側にもそれなりの節度とマナーが求められます。

まずは必ず、本殿や本堂への参拝を一番に済ませること。スタンプを集めることだけを目的に、受付へ直行するのは控えたいものです。また、朱印をいただくのは普通のノートやメモ帳ではなく、専用の「御朱印帳」を必ず用意しましょう。お会計ではなく「納める」ものですから、お釣りの出ないよう小銭を準備しておくのも、お互いの心地よさのための大切な配慮です。もちろん、墨を走らせる神職や僧侶の姿に心を奪われることもありますが、執筆中に急かしたり、無断でカメラを向けたりすることは、厳に慎まなければなりません。

では、神仏の前に立つとき、私たちはどのように心を調えればよいのでしょうか。神社とお寺、それぞれの参拝の作法を振り返ってみます。

神社の杜を歩く:二拝二拍手一拝の美
神社の境内に一歩足を踏み入れるとき、そこはもう神様の領域です。鳥居の前では一度足を止め、衣服を調えてから、軽く頭を下げて一礼をします。参道を歩くときは、中央を避けて左右のどちらかの端を進みます。なぜなら、真ん中は神様が通る「正中(せいちゅう)」とされているからです。

拝殿に進む前に、手水舎(てみずしゃ)で心身を清めます。最近は感染症対策などで柄杓(ひしゃく)を置かない簡易的な仕様も増えましたが、基本の所作は一杯の水ですべてを美しく流すイメージで行います。まずは右手で柄杓を持ち、水を汲んで左手を洗います。次に左手に持ち替えて右手を。再び右手に持ち替え、左手のひらに溜めた水でそっと口をすすぎます(柄杓に直接口をつけるのは禁物です)。もう一度左手を洗い、最後に柄杓を垂直に立てて、残った水で自らが触れた柄(持ち手)を洗い流し、元の位置に戻します。

準備が調ったら、いよいよ拝殿の前へ。姿勢を正し、お賽銭は神様への感謝を込めて、賽銭箱へ静かに納めます。鈴があればお賽銭の前後でしっかりと鳴らし、神様をお呼びします。

ここからは「二拝二拍手一拝」の作法です。まず、腰を90度に折る深いお辞儀を2回繰り返します(二拝)。次に胸の高さで両手を合わせ、右手を少し手前に引いて指先をずらします。肩幅ほどに手を開き、パンパンと2回、澄んだ音を響かせます(二拍手)。その後、引いた右手を元に戻してぴったりと合わせ、日頃の感謝や願い事を心の中で伝えます。祈りを終えたら手を下ろし、最後にもう一度深いお辞儀(一拝)をして、神前を退きます。

帰り道も参道の端を歩き、鳥居を出たあとに、最後にもう一度本殿を振り返って一礼をする。その丁寧な終わり方が、日常に戻る私たちの心をそっと引き締めてくれます。

お寺の静寂に身を置く:合掌の祈り
お寺の参拝が神社と最も異なるのは、「拍手をしない」という点です。仏様の前では、ただ静かに両手を合わせる「合掌(がっしょう)」を行います。

お寺の入り口である山門(さんもん)では、帽子を脱ぎ、本尊である仏様に向かって浅い一礼をしてから境内に入ります。このとき、門の敷居は踏まずに、またいで通り抜けるのが作法です。

神社と同じように手水舎で手と口を清めたあと、もし境内に大きな香炉(常香炉)があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。立ち上る線香の煙を、体の気になる部分や頭などへと手で手繰り寄せるようにして浴びます。これには、心身をさらに清めるという意味が込められています。

本堂の仏様の前に到着したら、まずは軽く一礼を。お賽銭を賽銭箱へ静かに納め、鈴(りん)や鰐口(わにぐち)があれば、優しく鳴らします。そして、胸の前で両手をぴったりと合わせ、目を閉じて、心の中で願い事や日々の感謝を静かに唱えます。最後にもう一度、深く一礼をして本堂を離れます。

山門を出たあと、振り返って最後にもう一度一礼をするのは、神社と同じ美しい余韻です。お寺によっては、自分で線香を購入して手向ける作法があったり、その宗派独自の念仏(「南無阿弥陀仏」など)を唱えることもあります。その場所の空気に、自然と身体を委ねてみるのも良いものです。

                         沙門蒼俊   合掌
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