自分が病気になりかかっているとき、あるいは実際に病気になってしまったとき、その症状を他人に伝えるのは本当に難しいものです。
それが「うつ病」ともなると、外見からは見えにくいため、自分の心の痛みを説明するハードルは一気に上がってしまいます。
そんなときに心強いのが、自分の代わりに思いを伝えてくれる「代弁者」を見つけることです。
私がおすすめしたいのは、錦山まるさんの著書『マンガでわかるうつ病のリアル』という本です。
うつ病を理解してほしいと感じる相手に、この本をそっと手渡してみてはいかがでしょうか。「これが今の私の現状です。読んで理解してほしい」と、素直な気持ちをアサーション(自己表現)してみるのです。
いわば、本に代弁者の役割を「丸投げ」してしまう方法です。これなら、自分であれこれと説明を考える負担がありません。相手が真摯に読んでくれれば、言葉を尽くすよりもずっと深く、うつ病の実態を理解してもらえるはずです。
実際、私のまわりでもこの本を持っている方が非常に多いという印象があります。
しかも、なぜか「複数冊」を所有している方が目立つのです。きっと、自分用としてだけでなく、大切な誰かに貸し出すための「布教用」として手元に置いているのでしょう。
日本のうつ病患者数が500万人を超えるといわれる現代において、うつ病との付き合い方は私たち一人ひとりの課題です。
もともとウェブ連載で人気を博し、書籍化の際にフルカラーの描き下ろし漫画が大幅に追加された本書は、うつ病の実態やありがちな誤解をわかりやすく伝えてくれます。
私自身、このマンガと文章の構成を非常に高く評価しています。何より読みやすく、自然と理解が深まる一冊です。
読者からは「家族に読んでもらうことで、自分で言葉を尽くして説明する苦労から解放された」という声も届いています。漫画と文章の絶妙なバランスが読者の共感を呼び、傷ついた心にそっと寄り添ってくれるのです。
作中では、体調が良いときの過ごし方や、ソーシャルゲームが実は良い気分転換になることなど、当事者だからこそ深く共感できるリアルな日常も描かれています。
言葉にならない苦しみを抱えたとき、こうした一冊に頼ることは、自分を守るためのとても賢い選択肢なのだと感じています。
沙門蒼俊 合掌