小説「ミトミと私の奮戦記。」◇3歳 ヘレンケラーなの?ミトミ

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◇3歳 ヘレンケラーなの?ミトミ

 夏になる前の夕闇が薄く迫る頃、夕方の街のチャイムが鳴り 1時間もすれば父が帰ってくる。

 そろそろ夕食、肉とジャガイモと人参を甘しょっぱく煮て肉じゃがの匂い、豆腐の味噌汁、ほうれん草の胡麻和えの香り、夕食の準備が進む中、その割には身動きをしないミトミ・・・?

 私なら4~5軒先から我が家の夕食の匂いが嗅ぎ分けられるのに、おかずの香りが強くなるとやっとブーブー豚のように鼻を鳴らす、あれうち犬じゃなくて豚だっけ ?ミトミ鼻が悪いのかな?

 車の音が、父の足音が、少しづつ玄関に近づいてくる。
 父を出迎えるのは我が家の日課。
 そろそろお出迎えに行かねば。だが、ミトミはのんきにテレビの方を見ている。

 「アッお父さん帰ってきた」
 その声に初めて 跳ねるように玄関に行き、父の周りをくるくる回りながら、
 『お帰りんなさい。お帰ンなさい。お父さん!ミトミが一番先に気付いたんだよ』

 『いや違うでしょ。一番先に気づいたのはわ・た・し。その声で動き始めたのがあ・な・た!』と、心中穏やか出ない私。

 しかし、父は、
 「お~ミトミちゃんお迎えに来てくれたのか。迎えてくれるのはお前だけだよ」 と言って嬉しそうにミトミを抱き上げながら 居間に向かう父。
 母も私も出迎えに出て、なんで毎回それを言うのか?よくわからない。
 さらに調子の良いミトミ。もう慣れたけど言動が謎な父と犬。

  また別の日、ミトミと二人(1匹と1人)?で日向ぼっこをしているとポクポク玄関に足音が近づき、
 「アッ誰か来た。お母さん帰ってきたのかな?」
 その声に反応し慌てて柱にぶつかるミトミ。

 「アッハッハ~馬鹿じゃないの」と笑いながら
 玄関に向かう途中、ドカッ「イテっ!」ドアにぶつかる私。

 チャイムが鳴って出ると買い物から帰って来た母。
 「イテテ、お帰りなさい」
 痛そうにしている1人と1匹を見て、
 「どうしたの?」
 「慌てて出ようとしてミトミは柱に、私はドアに頭ぶつけた」
 「メガネの度が合ってないのかな?」
 「いや、これは単なるドジだけど、ミトミは近眼じゃないかな?」

 私のかけていたメガネをミトミに掛けてみた。
 振り落とすかと思いきや、『よく見える』らしい。
 どうもミトミも目が悪いらしいが、犬のメガネ無いしナ。

 それにしても目や匂い、音の反応が鈍い。目と鼻と耳が悪いのかな?

 病院に連れて行くと「近眼かどうかは視力検査も出来ないし 分からないが、副鼻腔炎と中耳炎」と言われた。

 目も鼻も耳もきかないなら三重苦?ヘレンケラーさんかいな?(ヘレンケラーさん一緒にして ごめんなさい)
 動物としての能力は私の方があるンじゃないのか?
 『ミトミ、大丈夫だよ。何があっても先輩動物として守るから。』

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