富太郎が、気の向くままに、「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題『 判例変更 』
法律関係の資格試験の勉強をしていて、厄介なのが「法改正」と「判例変更」
です。
「法改正」は、『改正』が決まってから『施行』までの間に時間があるし、
周知のために、目にする機会も多いため、対応はしやすいと思いますが、
『判例変更』は、専門家以外は意識していないと、ほとんど目にはしないので
古い知識の書き換えができず、間違った知識のまま試験に臨んでしまうという
リスクがあります。 今回は、そんな事例を。
司法書士試験 憲法 26-3-ウ
地方議会は自律的な法規範をもつ団体であって、当該規範の実現については
内部規律の問題として自治的措置に任せるべきであるから、地方議会議員の
除名処分については、司法審査の対象とならない。
答 × (地方議員の除名処分は、議員の身分の喪失に関する重大事項で、
単なる内部規律の問題にとどまらないために、司法審査の対象となる。)
これは最高裁の判例『最大判昭和35.3.9』の判旨によるものなのですが、
同判例は、「議員としての権利行使の一時的な制限にすぎない」地方議員の
『出席停止』は、「自律的な法規範を持つ社会ないし団体にあっては当該規範
の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを
適当としないものがあるから、法律上の係争であっても事柄の性質上、司法
裁判の対象の外におくを相当とするものがある。」との立場に立脚しました
(部分社会の法理)。
要は「裁判所は、地方議員の出席停止の可否の裁判はしない。」と。
テキストにも、単なる内部事項にとどまる「出席停止処分」は、司法審査の
対象外。 一般市民法秩序と直接関連する「除名処分」は、司法審査の対象
であると、太字で明記されていました(2020年7月発行のもの)。
それが、令和2年11月25日の大法廷判決は、(部分社会論には言及せず)
『地方議会の議員に対する出席停止処分は司法審査の対象になるべきである。
これと異なる趣旨をいう当裁判所大法廷昭和35年10月19日判決その他の
当裁判所の判例は、いずれも変更すべきである。』として、判例をすべて
変更しました。
昭和35年(1960年)から60年の時を経て、「地方自治の自立性」対
「住民の付託を受けた議員として活動する責務」の対立利益が、後者に
重きが置かれるように変わってきたということなのでょうが、
受験生にとっては、古い知識が返って邪魔をするわけで、以前から
長いこと勉強している人ほど、正誤をまちがえてしまいそうです。
ちなみに、憲法は毎年3問なのですが、令和3年以降、まだこの論点に
関する問題は出題されていません。 来年あたり、そろそろ・・・。
今回は、以上です。 過去のブログも、ぜひご覧ください。 富太郎