変わるビジネスモデル

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レナウンが破産しました(現在手続き中)。1902年創業の老舗アパレル企業です。私は、CMの「ワンサカ娘」や「イェイ・イェイ」の印象が強いです。ブランドとしては「ダーバン」や「アーノルドパーマー」などがありました。連結売上高は約500億円。大規模なリストラを実行したり、中国企業グループの傘下に入るなど、元々厳しい経営状況にありましたが、感染症拡大の影響でさらに業績が悪化し、民事再生法が適用されました。しかし、再生計画は作成できず、最終的に破産を選択せざるを得なくなりました(昨年11月)。

よく聞く民事再生法と会社更生法の違いって何でしょう。どちらも裁判所の監督下で事業の立て直しを図る手続で、破産や清算とは異なります。この二つの違いは「会社更生法は大企業しか使えないけれど、民事再生法は中小企業や個人が活用できる」ということ。会社更生法は手続きが複雑で(経営陣存続不可)、民事再生法は簡単(経営陣存続可)。だから圧倒的に民事再生法が使われます。適用比率は100:1くらい。会社更生法の適用例は、日本航空、武富士(ともに2010年)などがあります。

レナウン破綻の本質的原因はなんでしょう。もちろん感染症拡大をはじめ様々ですが、私は「ブランド」と「ビジネスモデル」だと思います。①ダーバンとアーノルドパーマー(ともに50年ほど続く)に次ぐ基幹ブランドを育成できなかった。②旧来型のビジネスモデルから進化できなかった。この②について少し深掘ります。レナウンは主要販路である百貨店との間で、「消化仕入れ」という仕組みを軸に発展してきました。売り場の商品が売れるまではアバレルの在庫として扱い、売れたら百貨店が仕入れたことにする仕組みです。百貨店は売れ残りのリスクがない。メーカーも売りたい商品を置くことができた。ところが徐々に若者を中心に百貨店離れが進み、売上が低迷。長年の消化仕入れで、百貨店は商品を仕入れる目利き力を、レナウンは販路開拓する営業力を失っていきました(新聞記事より)。

百貨店の衣料品売上高はピーク(1991年)の6割減に衰退。レナウンはEC事業を始めとした新たな仕組み構築が後手に回った。他業界でもよくある仕組の制度疲労です。例えばパナソニックのパナショップ。元々「街の電器屋さん」という地域ネットワークとして同社の強みになっていましたが、現在の家電内売上構成比は最盛期の6割から2割弱までに減り、抜本的変革をせまられています。仕事のやり方は時代とともに変わるもの。いや変えるもの。新しい環境に先手を打って、変革していきたいですね。

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