50代後半になって、これからの働き方を考え始めると、
「結局、どうするのか」
という答えを、早く出したくなることがあります。
転職するのか。
今の会社に残るのか。
定年後、再就職するのか。
それとも、思い切って起業するのか。
いくつもの選択肢が頭の中に浮かんでくる。
でも、考えれば考えるほど、
「どれか一つを選ばなければいけない」
という気持ちになり、かえって動けなくなってしまうことがあります。
私は、そんなときこそ、
最初から一つに決めなくてもいい
と思っています。
むしろ、人生後半の働き方だからこそ、
決める前に、いったん選択肢を並べてみる。
そこから始めた方がいいのではないでしょうか。
若い頃の転職と、人生後半の仕事選びは少し違う
20代、30代の頃であれば、
年収、勤務地、仕事内容、役職、待遇、将来性。
そんな条件を比較しながら、
次の仕事を探すことも多かったと思います。
もちろん、50代、60代になっても、
収入や条件は大切です。
ただ、この年代になると、
それだけでは決められない問いが増えてきます。
これから何を大切にして働きたいのか。
誰と一緒に仕事をしたいのか。
これまでの経験を、誰の役に立てたいのか。
どのくらいの時間、どのくらいのペースで働きたいのか。
仕事だけではなく、家族や自分の時間をどうしたいのか。
そして、
これからの人生を、どんなふうに生きていきたいのか。
ここまで来ると、
単なる「次の仕事探し」ではありません。
私は、
人生と働き方を、一緒に再設計すること
だと思っています。
選択肢は、一つではない
人生後半の働き方を考えたとき、
大きく見れば、こんな選択肢があります。
・転職する
・定年後に再就職する
・自分で仕事をつくる、起業する
・顧問、相談役、メンターとして誰かを支える
もちろん、
今の会社に残るという選択もありますし、
複数の仕事を組み合わせる働き方もあります。
どれが正解ということではありません。
これまでの経験や専門性を、
別の会社で活かしたい人もいるでしょう。
組織に所属しながら、
これまでより少しペースを落として働きたい人もいる。
自分の経験を、
自分の名前で誰かに届けたい人もいる。
あるいは、
第一線で自分が成果を出すことより、
次の世代を支えることに喜びを感じる人もいるでしょう。
大切なのは、
転職が上でも、
起業が上でも、
再就職が下でもないということです。
顧問やメンターが、
特別な働き方というわけでもありません。
必要なのは、
世間から見て格好いい選択ではなく、自分にとって自然な選択です。
起業については、少しだけ慎重に考えてほしい
私はこれまで、何度か会社経営や起業を経験してきました。
うまくいったこともあります。
でも、当然ながら、
思うようにいかなかった経験もあります。
だからこそ、
人生後半で「起業したい」と考えている方には、
少しだけ慎重に考えてほしいと思っています。
起業という言葉には、
どこか華やかな響きがあります。
会社をつくる。
ホームページをつくる。
名刺をつくる。
人を集める。
肩書きをつくる。
それも必要になるかもしれません。
でも、それより前に確かめたいことがあります。
自分一人でも、誰かに価値を届けられるだろうか。
自分の経験や知識を必要としている人は、本当にいるだろうか。
その人は、何に困っているのだろうか。
自分は、その人の役に立てるだろうか。
そして、
その仕事を、無理なく続けられるだろうか。
ここを確かめないまま、
いきなり大きく始めると、
あとから苦しくなることがあります。
私自身も、それを経験しました。
だから今は、
人生後半の起業ほど、
小さく始めた方がいい
と思っています。
最初から100人に届けなくてもいい。
まず、一人。
目の前の一人に、
自分の経験が役に立つのかを確かめる。
喜んでもらえるのか。
また相談したいと言ってもらえるのか。
そこから少しずつ広げていく。
そのくらいが、
人生後半の起業にはちょうどいいのではないでしょうか。
「人を支える」という働き方もある
もう一つ、
意外と見落とされている選択肢があります。
それが、
顧問、相談役、メンターとして誰かを支える働き方です。
私は、この働き方は、
50代後半や60代の方と、
とても相性がいいと思っています。
なぜなら、
この年代には、
若い頃にはなかったものがあるからです。
それは、
経験の厚みです。
仕事で失敗したこと。
人間関係で悩んだこと。
部下が育たず苦労したこと。
上司との関係に悩んだこと。
思い切って決断したこと。
決断できなかったこと。
会社の危機を乗り越えたこと。
思うようにいかず、
自信をなくしたこと。
それでも、また立ち上がったこと。
本人にとっては、
「そんなこと、大した経験じゃない」
と思っているかもしれません。
でも、
今まさに同じことで悩んでいる人にとっては、
その経験が、とても大きな支えになることがあります。
答えを教えるのではなく、
話を聴く。
一緒に整理する。
自分の経験を少し伝える。
相手が自分で答えを見つけるまで、
そばにいる。
そんな働き方もあります。
私は、それも立派な仕事だと思っています。
一つに絞らなくてもいい
さらに言えば、
これからの働き方は、
一つでなくてもいいと思います。
週3日は会社で働く。
月に数回、顧問として経営者を支援する。
休日には、自分の経験を生かした小さな仕事をする。
そんな組み合わせもあります。
会社員か、起業家か。
再就職か、独立か。
どちらか一つ。
そう考える必要はありません。
人生後半は、
若い頃より自由に、
自分なりの働き方を組み合わせてもいい。
私はそう思っています。
もし今、
「このままでいいのかな」
と感じているのなら、
すぐに答えを出さなくても大丈夫です。
それは、
今の自分を否定しているのではなく、
次の生き方を考え始めているサインなのかもしれません。
転職。
再就職。
起業。
顧問。
メンター。
今の会社に残る。
二つ、三つを組み合わせる。
まずは、
自分の前にある選択肢を、
紙にでも書いて並べてみる。
そして、
「できるか、できないか」
だけではなく、
「少しやってみたいと思うのは、どれだろう」
と自分に問いかけてみる。
答えを出すのは、
その後でいいのです。
人生二周目は、
誰かが用意したコースを選ぶだけではありません。
これまで歩いてきた道を振り返りながら、
これからの道を、
自分でつくっていくこともできます。
焦らずに。
でも、少しずつ。
まずは、選択肢を並べるところから始めてみませんか。
今日も明るく元気よく。
河村直人