家業と事業・・・よく使われる言葉です。会社が大きい小さいではありません。また、家族でやっているから「家業だ」ということではありません。会社としての考え方と目的が違うのです。
そして会社の未来を変えるだけではなく、従業員の将来も変えてしまうことすらあるのです。
「家業と事業の違い」は、会社や事業主の経営理念なのです。
経営理念とは「そもそも何のために会社を作り存在させるのか」という根本的な考え方です。
経営理念は、事業の維持・継続・発展には欠かせない絶対的根幹です。
そしてこのBLOGが、これから起業を考えている方や事業を始めている方の参考になればと考えています。
■家業と事業、どこが違うのか
1.経営の目的
家業と事業は、何のために・だれのために行うかの目的の違いです。
家業は、経営者と家族の幸せを目的とした事業です。
事業は、従業員・お客様・関係者と社会の幸せを目的とした事業です。
目的が根本的に違います。家業は、我が家のために行う事業です。家族が幸せになり、利益を家族で分配する目的で行われます。言い換えれば、家族中心の考え方で行われる事業です。
事業は、従業員が働き続けることができるように、お客様に支持され評価が高くなるように、関係者には評判良く協力してもらえるように、そして社会に貢献できる目的で行われます。
2.従業員への優先順位
事業の目的が違えば、優先順位も違います。経営は、経営資源(人・物・金・情報・ノウハウ)と常に向き合わなければいけません。特に成果を生み出す人(従業員)は、経営の財産です。
商品を売る・作る等、従業員がいなければ会社は成り立ちません。商品はお金で買うことができますが、従業員との人間関係や信頼関係はお金では買うことはできません。
事業の目的には、人(従業員)が含まれていますが、家業の目的には人(従業員)が含まれていません。家業の経営者は言葉では大切だといいますが、本質的には優先順位は後方に位置づけられています。
しかし、家業規模の個人経営でも事業としての考え方をもち、人(従業員)を大切にする会社はたくさんあります。
3.ルールを守る環境と考え方
コンプライアンス(法令順守)が重要視される現代において、コンプライアンスは経営者の勝手な判断や解釈はできません。違法行為になります。
事業ではコンプライアンスは厳格に管理されます。取締役、監査役、法律事務所、株主、従業員、消費者・・・多くの組織の監視下にあります。
経営者は株主の投資を預かり、合法的に運営する役割であり、厳しいチェック機能が働いています。
家業では経営者の独断で判断される環境にあり、コンプライアンス機能も薄く経営者の個人的判断で決済されがちです。勿論、事業も家業も不正は違法行為です。
4.お金の概念
お金の概念は、管理・使い方・考え方等、お金に関わるすべてです。その概念の違いは、管理の仕方や厳格さの違いでもあります。
事業では売上・利益・販売管理費等の事業計画が必要です。旧年度結果、新年度計画を株主総会での承認が必要です。書面にて株主総会で説明をし、承認を得なければ経営者は認められません。
家業では形式的な株主総会を開催し、経営者の一存で決めることができます。お金はだれのものなのか・・・概念が違うのです。
■「家業」の特徴
1.「会社のお金は経営者のお金」と思っている
会社のお金を公正な管理はできていません。会社のお金は経営者のお金だと思っているからです。だれかの許可を得る必要はありません。
事業では、お金の取り扱いに関する「規定」があります。「規定」とは、会社が決めるルールです。会社が決める規定に基づき管理されています。
厳しい会社では業務監査を実施し、規定が守られているか定期的に点検を実施します。
2.役員報酬は高く、従業員の賃金は低い
従業員の賃金は低く、昇給しません。権限を与えないので、昇格もありません。従業員の給与は何を基準に決めるのでしょう。しかし、経営が赤字でも役員報酬はしっかり確保します。
事業では、役員報酬は株主総会で承認されなければ決めることはできません。勝手に決めることは許されていないのです。
従業員の賃金は、昇給・昇格に関する規定や賃金に関する規定があります。規定には基準が定められ、従業員が正しい評価を受けることができる仕組みになっています。
3.親族で役員を固め、外部の人間を入れない
役員はすべて親族です。外部の人間(よそ者)は絶対入れません。すべては、自分たちを守るために親族で役員を固めます。
事業では、役員は株主総会で承認されなければ決めることはできません。勝手に決めることは許されていないのです。
4.利益が出ると、家族で贅沢をして納税しない
納税を嫌い、節税に励みます。利益が出ると、家族で贅沢をします。税金で取られるなら、経費として使ってしまうのです。高級車をよく見かけませんか。
事業でも節税は行われています。しかし、個人的な物品や贅沢品の購入は、株主総会で指摘されます。株主の納得できない経費使用は許されません。
5.経営者自身(自分)が法律だと思っている
都合のいい理由を並べて、自分が正しいと主張します。自分が法律であり、すべて自分の権限が絶対だと考えています。
事業では法令順守は絶対です。違法行為は株主訴訟になり、経営者は損害賠償責任に問われ、経営者は取締役不信任になり会社を去ることになります。
■会社と従業員の未来のために
経営が家業になる原因はいくつかあります。
1.売上、利益を拡大し成果を上げたい
2.経営者としてのプライドや名声を得たい
3.権力と財力を持ちたい
4.人の意見より自分の考え方で経営したい
5.自分が王様でありたい
等々理由は数多くあります。
しかし、経営は一人ではできません。会社には従業員がいます。その従業員の生活や未来の保全も経営者の責任なのです。
家業から事業に変えようと考えるなら、まず従業員を大切にしましょう。
・従業員を育てる気がない
・雇ってやっていると思っている
・親族を優先し、従業員には権限を与えない
・イエスマンにならなければ平気で辞めさせる
・従業員の将来は考えていない
これでは会社の成長どころか、従業員のヤル気も低下し離反になり、業績は坂道を転がる可能性があります。
会社や経営者の評判も悪くなり、優秀な人材は集まりません。また、取引先や顧客からの信頼も期待できません。
会社は権力を持っています。しかし従業員は実力を持っています。
実際、会社を動かしているのは従業員なのです。従業員は使い捨てではありません。従業員を育てることこそ重要なのです。
従業員が「辞めたくない、この会社で働きたい!」と思える会社づくりが必要です。経営は経営者の目的と判断で大きく変革していきます。
是非、事業にかかわるすべての人たちが、夢と希望をもてる会社づくりを目指してください。