休職したかったわけじゃない。
本当は働きたかった。周りと同じように朝起きて、仕事に行って、疲れながらも「今日も頑張った」と思いながら眠りたかった。それだけだった。それが、どうしてこんなに難しいんだろうと、何度も自分を責めた。
ある日、いつものように「よし、行こう」と思った。
でも体が動かなかった。
起き上がれない。着替えられない。ご飯も食べられない。「なんで?」と自分に問いかけても、理由がわからない。サボりたいわけじゃない。逃げたいわけでもない。ただ、動けない。
私はそれを「甘え」だと思っていた。根性が足りない、メンタルが弱い、もっと頑張れるはずだ——そう自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、体はさらに重くなっていった。
でも、違った。
あれは甘えじゃなかった。心が、本当に限界を迎えていたのだ。
人間の心にも、体と同じように限界がある。骨が折れたら動けなくなるように、心が折れたら体も動かなくなる。それは意志の問題でも、根性の問題でもない。ただ、限界だったというだけの話だ。
あの頃の自分に、今なら言える。
「甘えじゃないよ。よく、そこまで頑張ってきたね。」
休職は、逃げじゃなかった。あれは自分を守るための、必死の選択だった。動けなくなって初めて、私は「頑張ることをやめる練習」を始めた。最初はそれすら罪悪感だらけだったけれど、少しずつ、自分を許すことを覚えていった。
今、あの経験があるから私は思う。
「なんで動けないんだろう」と自分を責めている人に、真っ先に伝えたいことがある。それは、あなたが弱いんじゃない。それだけ長い間、強くあり続けたんだということ。
限界は、弱さの証明じゃない。ずっと頑張ってきた証明だ。