■『トキシックワーカー』よりも厄介な存在!?
『クラッシャー上司』や『アグレッシブブリー』、『エネルギーバンパイア』や『クレジットスティーラー』といった、有害な言動や態度で職場の雰囲気を悪化させ、周囲のモチベーションや生産性を下げる『トキシックワーカー』。
このトキシックワーカーは、無意識的に・意識的に悪意を持って周囲に悪影響を与え組織全体を蝕む存在ですが、それとは逆に『無能な働き者』のように、本人としては「良かれと思って」することが、企業組織や自分自身に悪影響を及ぼすケースがあります。それが『自己犠牲型ギバー』です。
■『自己犠牲型ギバー』とは?
『自己犠牲型ギバー』とは、自分の利益を無視して他人に尽くし、心身ともにすり減らしてしまう「与える人」のことです。
「他者のために尽くす」こと自体は悪いことではありません。企業組織においても不可欠な存在と言えます。
しかし、100%の自己犠牲に陥ってしまうと、自分だけでなく組織も疲弊させることになってしまうのです。
また、この『自己犠牲型ギバー』は、トキシックワーカーに該当する『マニピュレーター』や『タスクダンパー』などに「搾取」されてしまう危険があります。
多くの人間には、“他者から施しを受けたら何かお返しをしなくては” と考える『返報性の原理』が作用するため、本来であれば『自己犠牲型ギバー』の利他的な行動に対して「恩返し」をするという「健全な職場環境」が築かれるものですが、『トキシックワーカー』はこの『返報性の原理』が作用しにくいので、一方的に尽くし続けて「搾取」されてしまうのです。
■人間特性の「3つのタイプ」
アメリカ合衆国のペンシルベニア大学 ウォートン校教授、組織心理学者の アダム・グラント 氏によれば、人間の思考と行動の特性は3つのタイプに分類できる、としています。
●テイカー(Taker)受け取る人・・・全体の19%
●マッチャー(Matcher)帳尻を合わせてバランスを取る人・・・全体の56%
●ギバー(Giver)与える人・・・全体の25%
◆テイカー(Taker)
「テイカー(Taker)」とは、自身の利益を最大化することを優先する人のことです。
他者からできるだけ多くを得ようとするタイプであり、逆に他者へのサポートには消極的で、「自分が他者よりも上にいたい」欲が強く、手柄を独り占めする傾向が見られます。
◆マッチャー(Matcher)
3つの分類の中で1番割合が大きいのが「マッチャー」。
ギバーとテイカーの中間の人を指し、フェア(公平)であることを重視します。
「貸し借りの帳尻を合わせる」意識が強く、何かをしてもらったら恩を返し、与えられなければ与えない「バランサー」です。
◆ギバー(Giver)
「ギバー(Giver)」とは、自身の利益よりも他者への貢献を優先する人のことです。
家族や友人、部下や同僚など他者を中心に捉え、相手が何を求めているかを注意深く考える傾向があります。
◆『他者志向型(他者貢献型)ギバー』と『自己犠牲型ギバー』
この3つの人間の特性のうち、長期的には信頼を集め、最も成功するタイプなのが「ギバー」です。ですが一方で、最も疲弊しやすく、損をしてしまうのも「ギバー」です。
つまり、「成功する利他主義者」と「成功しない利他主義者」が存在する、ということです。
アダム・グラント 氏によると、両者は「他者志向型」と「自己犠牲型」の2種類に定義できる、としています。
●他者志向型(他者貢献型)ギバー:他者の利益と自身の利益双方に興味関心があり、受け取るよりも多く与えるが、自身もしっかり他者から還元される自己利益を損なわないタイプ。
●自己犠牲型ギバー:他者の利益には興味関心があるものの、自身の利益には無頓着で、結果的に利益を損ねてしまうタイプ。
■『自己犠牲型ギバー』の4つの特徴
「成功しない利他主義者」である『自己犠牲型ギバー』の具体的な特徴としては、以下が挙げられます。
●人から頼まれると断れず、自分のことを後回しにする。
●自分が忙しくても他人の要求を受け入れてしまい、都合よく利用されてしまう。
●感謝されないと満たされない、もしくは疲弊してしまう。
●「他人の役に立てなければ自分には価値が無い」と思い込んでいる。
自分の成果よりも周囲のサポートを優先する『自己犠牲型ギバー』は、「優しい人」「面倒見が良い人」などと評価される反面、自分を削って与え続けようとするので『燃え尽き症候群(バーンアウト)』に陥ってしまうリスクがあります。
■職場で起こりがちな『自己犠牲型ギバー』の発生シナリオ
ビジネスシーンにおける、『自己犠牲型ギバー』が陥る代表的なパターンは、以下の通りです。
●「頼まれごとの山」に埋もれてしまう
●「過度に肩入れ」し成長機会を奪う
●得られた成果を「譲ってしまう」
◆「頼まれごとの山」に埋もれてしまう
同僚などからの頼まれごとを際限なく引き受けてしまうため、自身の業務が後回しになって、納期に追われ疲弊してしまう。
◆「過度に肩入れ」し成長機会を奪う
マネジメントする立場の場合、部下の失敗をカバーし過ぎて、自分が残業や責任を背負うことになってしまい、結果的に部下の成長機会も奪ってしまう。
◆得られた成果を「譲ってしまう」
チームで進めたプロジェクトの成功を「みんなのおかげ」と周囲に譲り、自身で評価から遠ざかり、昇進や報酬の機会を失ってしまう。
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