9割の親がやってる、伝わらない叱り方

9割の親がやってる、伝わらない叱り方

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「なんでこんなに汚いの?」
小学4年生の子どもの部屋のドアを開けた瞬間、お母さんの声が響きました。床には脱ぎっぱなしの服が丸まり、ゲームのコントローラーや読みかけのマンガが、足の踏み場もないほど散らばっています。
机の上には、消しゴムのカスと一緒に、ずっと前に配られたプリントが黄ばんだまま置きっぱなし。そんな部屋のど真ん中、子どもはうつ伏せに寝転がったまま、画面に夢中でiPadを触っています。
呼びかけにも気づかない様子で、
時々「へへっ」と小さく笑い声を漏らすだけ。
その姿を見て、お母さんの中で、朝からずっと溜め込んでいた何かが、プツンと弾けました。

「いい加減に片づけなさい!」
思わず声が大きくなります。
でも、子どもはピクリと肩を動かしただけで、画面から目を離しません。
その反応に、お母さんのイライラはさらに膨らみます。
「いつまでiPadやってるの?」
「何回言ったら分かるの?」
「そんなんだから勉強もできないのよ」
言葉が、次から次へと飛び出します。自分でも止められないくらいのスピードで。

矢継ぎ早にダメ出しをされ、子どもの表情がだんだん固まっていきます。
最初は「うるさいな」という顔だったのが、次第に何も言い返さなくなり、ただ黙り込んでいく。
それでも、お母さんの言葉は止まりません。
「聞いてるの?」
「なんで何も言わないの?」
沈黙が続くほど、お母さんの声はどんどん鋭くなっていきます。そのうち、子どもの目にじわっと涙がにじみ、やがてポロポロとこぼれ落ち、しゃくり上げるように泣き出してしまいました。
すると、
「泣いてないで、何か言いなさい!」
と、さらに追い打ちをかけるように注意されてしまいます。部屋には、子どものすすり泣く声だけが響いていました。

このあと、子どもが泣き止んで少し落ち着いてから、私は聞いてみました。「お母さんに、何を注意されたの?」すると子どもは、
涙の跡が残る顔をこすりながら、
「……分からない」と、ぽつりと答えました。
あれだけたくさん叱られたのに、本人は何を注意されたのか、まったく分かっていない。なぜ、こんなことが起こるのでしょうか。

ポイント:感情的に叱ると、子どもには「怒られた」という記憶しか残らず、肝心の「何を直せばいいか」が伝わりません。

子どもをどう叱ればいいのか。私自身、二人の子どもを持つ父親として、「子どもをどう叱るか」はいつも悩んできました。幼児期や児童期は活発に動き回ります。部屋を散らかしたり、危ないことをしたり、何度注意しても同じことを繰り返したり。
親だって人間です。「何回言ったら分かるの!」と、イラッとして感情的に怒ってしまうことがあります。私自身にもあります。
でも、こちらは一生懸命伝えたつもりなのに、子どもには全然伝わっていない。「こんなに言ったのに、なんで分からないんだろう?」皆さんも、そんな経験はないでしょうか。

子育てをしながら「どうすれば子どもに伝わるのか」を考えてきて、一つ気づいたことがあります。それは、感情的に怒ると、伝えたいことより先に「感情」が伝わる、ということです。

先ほどのお母さんが本当に伝えたかったことは、おそらく「部屋を片づけてほしい」ということだったと思います。ところが、イライラしながら「なんでこんなに汚いの!」「いい加減にして!」「そんなんだから勉強もできないのよ!」と次々に言われる。そうすると、子どもに最初に伝わるのは「部屋を片づけよう」ではありません。「お母さんが怒っている」「怖い」「また怒られた」という感情です。さらに次から次へと言葉を浴びせられると、「部屋のこと?」「iPadのこと?」「勉強のこと?」「返事をしないこと?」と、何について注意されているのか分からなくなってきます。頭の中が混乱して、「怖い」「恥ずかしい」「どうしよう」という感情でいっぱいになる。そして、やがて心を閉ざしてしまいます。

こちらが一生懸命話していても、子どもの耳や心には、もう言葉が入っていかない。怒った親は、言い疲れる。怒られた子どもには、「怖かった」「怒られた」という感情だけが残る。これでは、せっかく子どものためを思って叱っているのにもったいないですよね。

ポイント:叱る言葉が多いほど、子どもには「怒っている」という感情だけが残り、内容は届きにくくなります。

そこで私が大切だと思っているのが、怒るポイントを決めておくことです。子どもの行動を全部注意しようとすると、親も疲れてしまいます。部屋が散らかっている、iPadを触っている、宿題をしていない、返事をしない、姿勢が悪い。一つ気になり始めると、次から次へと気になることが出てきます。しかし、それを全部その場で注意してしまったら、子どもからすれば「結局、何を直せばいいの?」となってしまいます。だから、「今日は部屋を片づけること」と決めたなら、まずはそこを伝える。関係のないことまで持ち出さない。

そして、本当に強く叱る必要があることは何なのかも決めておくことが大切です。
例えば、人を傷つけること、命に関わる危険なこと、絶対に守らなければならない約束。こうしたことは、しっかり叱る。一方で、少し部屋が散らかっている、少しダラダラしている、といったことまで同じ強さで怒っていたら、子どもにとっては全部が同じになってしまいます。何でも怒るのではなく、怒るポイントを決める。
そうすることで、本当に伝えなければいけないことも伝わりやすくなると思います。

ポイント:全部を同じ強さで叱らず、「今日はここ」「これは絶対に叱る」と、怒るポイントをあらかじめ決めておきましょう。

もう一つ、私が意識していることがあります。それは、「ダメ」と言うだけではなく、どうしてほしいのかを伝えることです。例えば、子どもが走ってはいけない場所で走っていたとします。「走ったらダメ!」と言えば、一瞬止まるかもしれません。でも、小さな子どもからすれば、「走るのはダメ」は分かっても、「じゃあ、どうすればいいの?」までは思いつかないことがあります。

そこで私は、「ゆっくり歩こうね」と伝えるようにしています。
もっと分かりやすくするなら、実際に歩いて見せます。「ゆっくり歩こうゲームしよう!」と言って、私がゆっくり歩く。
すると子どもたちは、私よりもっとゆっくり歩こうとして、キャーキャー言いながらついてきます。楽しそうにやってくれるので、ありがたいなと思います。

「走ったらダメ!」と何度も怒るより、「こうしてほしい」を具体的に伝える。
そのほうが子どもにとって分かりやすいことがあります。先ほどの部屋の片づけでも、「なんでこんなに汚いの!」ではなく、「まず床にある服を片づけよう」と伝える。
一つできたら、次を伝える。そうすれば、子どもにも「今、自分が何をすればいいのか」が分かります。

ポイント:「ダメ」で終わらせず、「こうしよう」と代わりの行動を具体的に示すと、子どもは動きやすくなります。

ここでもう一つ大切なのが、子どもによって、言葉の受け取り方が違うということです。兄弟でも全然違います。同じように注意しても、すぐに切り替える子もいれば、いつまでも引きずる子もいます。言われたらすぐ行動する子もいれば、自分が納得しないとなかなか動かない子もいます。

そこで、一つの見方として面白いのが九星気学です。九星気学では、九つの星を大きく「天・人・地」の3つのタイプに分けて考えることができます。


天タイプ(三碧木星・六白金星・九紫火星)は、行動や気持ちの切り替えが比較的早く、テンポよく動くタイプです。そのため、叱るときも長々と話すより、「これは危ないからやめよう」「今はこれをしよう」と、その場で短く、テンポよく注意することが大切です。そして、注意したことができたら、そこで終わりにする。これが大事です。「さっきも言ったよね」「いつもそうなんだから」と、できたあとまで叱り続けない。本人の中では、もう気持ちを切り替えて次へ進んでいることがあります。だから、注意する→できた→もう叱らない、このテンポを意識します。過去の失敗まで持ち出して長く叱るより、その場で伝えるべきことを伝え、できたら認めて終わる。天タイプには、そんなメリハリのある叱り方が合っています。

ポイント(天タイプ):短くテンポよく注意し、できたらそこで終わる。過去の失敗を蒸し返さないこと。

人タイプ(一白水星・四緑木星・七赤金星)は、人との関係性や周囲との調和を大切にするタイプです。そのため、注意された内容だけでなく、「誰から、どんな言い方をされたのか」も受け取りやすいところがあります。感情的に強く怒られると、「お母さんに嫌われたのかな」「お父さんが怒っている」「怖い」という気持ちのほうが強くなってしまうことがあります。だからこそ、人タイプには一方的に言うだけではなく、まず本人の話を聞く。そのうえで、「ここはこうしてほしいな」と伝える。気持ちを受け止めながら伝えることを意識すると、言葉が届きやすくなります。

ポイント(人タイプ):頭ごなしに言わず、まず話を聞いてから伝える。言い方や関係性への敏感さを意識すること。

地タイプ(二黒土星・五黄土星・八白土星)は、自分のペースを大切にしながら、じっくりと物事を受け止めていくタイプです。そのため、「早くして!」「今すぐやって!」「何回言ったら分かるの!」と急かされると、かえって動けなくなったり、頑なになったりすることがあります。地タイプには、一度にいくつものことを言うのではなく、「まず、これをやろう」と、一つずつ伝える。そして、少し待つ。伝えたら、本人が動き出すまでの時間を与えることも大切です。親からすると、「早くしてよ!」と言いたくなるかもしれません。でも、こちらのペースではなく、その子が理解して動き出すまで待ってみる。地タイプには、そんな関わり方が合っています。

ポイント(地タイプ):一度に多くを言わず、一つずつ伝える。急かさず、本人が動き出すまで待つこと。

叱ること自体が悪いわけではありません。危険なこと、人を傷つけること、やってはいけないことは、親としてきちんと伝える必要があります。
ただし、感情をぶつけることと、子どもに伝えることは違います。私は子どもを叱るとき、何について叱るのかを決める、一度にたくさんのことを言わない、「ダメ」だけではなく、してほしい行動を伝える、できたことをいつまでも叱り続けない、その子に合った伝え方を考える、ということを大切にしています。

もちろん、私自身もいつも完璧にできるわけではありません。イライラして、感情的になってしまうこともあります。そんなときこそ、「今、自分は何をこの子に伝えたいんだろう?」と考える。それだけでも、言葉は少し変わります。

そして、九星気学で子どもの性質を見てみると、「だからこの子には、この言い方が響きにくかったのか」「この子には、こう伝えたほうがいいのかもしれない」と、違った角度から子どもを見ることもできます。占いは、子どもを「この子はこういう子」と決めつけるためのものではありません。その子を知り、その子に合った関わり方を考えるためのヒントの一つです。

叱る目的は、親の怒りを分からせることではありません。「何がいけなかったのか」「次はどうすればいいのか」を子どもに伝えること。その子の性質を知り、その子に合った言葉を選びながら、必要なことはきちんと伝える。私自身も、そんなことを意識しながら、これからも子どもたちの成長を見守っていきたいと思います。



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