なぜ優秀なリーダーほどチームを疲弊させるのか?「関係エネルギー」の科学

なぜ優秀なリーダーほどチームを疲弊させるのか?「関係エネルギー」の科学

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ビジネス・マーケティング
「もっとチームの生産性を上げないと」「もっと管理を徹底しないと」——そう考えて頑張れば頑張るほど、なぜかチームの元気がなくなっていく。そんな経験はないでしょうか。

実はその「管理と統制」というやり方こそが、組織のエネルギーを枯渇させている原因かもしれません。今回は、リーダーがチームに与える影響を脳科学の視点から読み解き、高校生にでも分かるレベルまでかみ砕いてご紹介します。

「管理者」から「触媒」へ

現代のリーダーに求められているのは、実はこれまでとは違う役割です。

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「なぜチームの生産性が上がらないんだ……もっと管理を徹底しないと」——そう考えて締め付けを強めるほど、チームは疲弊していきます。現代のリーダーに求められるのは、指示を出して管理する「管理者」ではなく、メンバー一人ひとりの自律性と創造性を引き出す「触媒」となることです。

▶ ここまでのポイント
「管理を強めれば生産性が上がる」という考え方自体が、実は組織の元気を奪う原因になっていることがあります。

仲間外れは「脳」にとって痛みと同じ

なぜ管理や監視が人のやる気を奪ってしまうのか、その理由は脳の仕組みにあります。

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人が仲間外れにされたり、存在を軽視されたりすると、脳の「前帯状皮質」という部分が反応します。これは、実際に体をぶつけて痛みを感じたときと同じ場所です。

過度な監視や無視は、この「社会的な痛み」を引き起こし、感情を司る「偏桃体」を暴走させます。その結果、冷静な判断をする「前頭前野」の働きが止まってしまい、ミスを恐れて萎縮し、本来の力を発揮できなくなってしまうのです。

▶ この章のポイント
「厳しく管理すれば人は頑張る」というのは誤解で、脳科学的には逆効果になることが分かっています。人は追い詰められるほど、本来の力を発揮できなくなります。

使えば減る「物理的エネルギー」、増える「関係エネルギー」

では、リーダーは何を意識すればよいのでしょうか。鍵になるのが「エネルギー」の考え方です。
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エネルギーには2種類あります。ひとつは、使えば減っていく「物理的エネルギー」。体力や集中力のように、休息が必要なものです。もうひとつは、人と人との関わりの中で増えていく「関係エネルギー」です。

この関係エネルギーこそが、組織を元気にする鍵なのです。

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大切なのは、これが単なる「明るさ」や「社交性」の話ではないということです。物静かなタイプのリーダーであっても、一人ひとりの価値を認め、安心して発言できる環境(心理的安全性)を作ることで、この関係エネルギーを生み出すことができます。

▶ この章のポイント
体力や気力のように「使えば減る」エネルギーだけでなく、「人との関わりの中で増える」エネルギーがあるという発想が、リーダーシップの新しい視点です。

元気なリーダーがそばにいると、脳が変わる

信頼できるリーダーがそばにいるとき、私たちの脳内では具体的にどんな変化が起きているのでしょうか。

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元気を与えてくれるリーダーのそばにいると、脳内で「オキシトシン」というホルモンが増え、他者への信頼感が高まります。同時に、ストレスホルモンの「コルチゾール」は下がり、不安が和らぎます。さらに、やる気に関わる「報酬系回路」が活性化し、創造性や問題解決能力が飛躍的に高まるのです。

▶ この章のポイント
「一緒にいると元気になれる人」がそばにいるかどうかは、気分の問題だけでなく、脳の状態そのものを変えるほどの影響力を持っています。

心理的安全性がもたらす、驚きの数字

こうした変化は、組織の数字にもはっきりと表れます。

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「心理的安全性」が確信できる環境では、イノベーションの発生率が平均で4倍、離職率は約半分にまで下がるというデータがあります。安心して働ける環境は、単なる「優しさ」ではなく、組織の成果に直結する重要な要素なのです。

▶ この章のポイント
心理的安全性は「ぬるい職場」を作るためのものではなく、むしろ挑戦とイノベーションを生み出すための土台です。

弱さを見せることが、チームを強くする

意外に思われるかもしれませんが、リーダー自身が弱さを見せることにも大きな意味があります。

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「ここでは失敗しても排斥されないんだ」とメンバーが感じられると、新しいアイデアが次々と生まれるようになります。そのきっかけになるのが、リーダー自身が「実は私もこんな失敗をしたことがあって」と、自分の弱さや失敗を率直に語る「脆弱性の共有」です。

自分を守ることに使われていた脳のエネルギーが解放され、チーム内の協力や知識の共有が一気に活発になるのです。

▶ この章のポイント
弱さを隠す完璧なリーダー像よりも、失敗を語れるリーダーの方が、結果的にチームの信頼と挑戦意欲を引き出します。

元気を与えるリーダーの5つの行動指標「PELS」

ここまでの内容を、具体的な行動指標としてまとめたものが「PELS」です。

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①無条件の肯定的関心:役職に関わらず、一人ひとりの存在を尊重する
②信頼の先行供与:管理する前にまず信頼し、裁量を与える
③意味の創出:日常の業務がどう社会に貢献しているかを言葉にする
④脆弱性の共有:自身の失敗や弱さを開示し、心理的安全性を高める
⑤ポジティブなコミュニケーション:批判よりもフィードバックと動機付けに重点を置く

▶ この章のポイント
この5つは特別な才能ではなく、誰でも今日から意識できる具体的な「行動」です。一つずつでも実践する価値があります。

エネルギーを「奪う人」を見極める視点も必要

ただし、良いことばかりではありません。組織には注意すべき側面もあります。

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組織の中には、周囲のエネルギーを奪ってしまう人間関係の「ダーク・ネットワーク」も存在します。誰がエネルギーを与え、誰が奪っているのかを把握することも大切です。

また、緊急時には指示命令型のリーダーシップが必要な場面もあります。そして何より、周囲を元気づける立場のリーダー自身が燃え尽きてしまわないよう、リーダーを支える体制も欠かせません。

▶ この章のポイント
「関係エネルギー」を高める姿勢は万能ではなく、状況に応じた使い分けと、リーダー自身のケアもセットで考える必要があります。

才能ではなく、誰でも身につけられるスキル

最後に、最も重要なメッセージをお伝えします。

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「元気を与えるリーダーシップ」は、生まれ持った才能ではありません。学習と実践によって、誰もが身につけられるスキルです。

皆さまの職場では、エネルギーを与える関わり方と、奪ってしまう関わり方、どちらが多くなっているでしょうか。今日から少しずつ、意識を向けてみてください。


本記事は下記の学術研究を参考文献として作成しています。

Donaldson, S. I., Shapiro, J., & Diaz, J. (2026). The Positively Energizing Leadership Scale (PELS): Development and Validation. International Journal of Applied Positive Psychology.(2026年4月13日公開)



AI時代の思想教育

AIが業務の効率化を担う時代だからこそ、人と人との「関係エネルギー」をどう育てるかという視点は、これまで以上に重要になります。数字では測れない信頼や安心感こそが、組織の本当の生産性を支えています。

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© 2026 生産性カウンセラー® 前川 勇 / 株式会社リリオール

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