AIを使っていると、案を出すこと自体はどんどん簡単になっていきます。
画像、映像、コピー、構成。ひとつのテーマに対して、10案、20案、場合によっては100案近くまで広げることもできます。
以前なら、そこまで多くの案を比較すること自体が難しかったと思います。だからAIは、制作の可能性を大きく広げてくれました。
ただ、実際の仕事でAIを使うほど、ひとつのことを強く感じます。
100案を出す力より、1案を選ぶ力のほうが重要になる。
AIは、案を出すことが得意になった
AIの強さは、発想を止めずに展開できることです。構図を変える。光を変える。言葉を変える。世界観を変える。こちらが方向を示せば、短時間でさまざまな可能性を見せてくれます。
この生成力は、制作の初期段階ではとても役立ちます。最初から一つに決めつけず、広く見てから考えられるからです。
一方で、案が増えるほど、別の難しさも出てきます。どれもそれなりに良く見えてしまうことです。
良さそうと、合っているは違う
AIが出した案には、見た瞬間に惹かれるものがあります。派手で、きれいで、完成度が高く見える案です。
でも、仕事として見ると、それが最適とは限りません。ブランドの空気に合っているか。伝えたい相手に届くか。今回の目的に必要か。ほかの制作物と並んだときに違和感がないか。
目立つ案より、少し地味でも目的に合っている案を選ぶことがあります。逆に、整いすぎている案を外すこともあります。
良い案を選ぶのではなく、その仕事に合う案を選ぶ。
判断には、目的が必要になる
案を選べないときは、案の問題ではなく、判断基準が曖昧なことがあります。
誰に届けたいのか。何を感じてほしいのか。見たあとにどう動いてほしいのか。どんな印象を残したいのか。
この部分が決まっていれば、100案あっても削っていけます。反対に、ここが決まっていなければ、AIが何案出しても迷い続けます。
だからAIを使うほど、最初に目的を整理することが大切になったと感じています。
選ぶときに見ている、小さな違和感
実際に案を比較するとき、数値化できない部分もかなり見ています。
少し説明しすぎている。光がきれいすぎる。人物の表情がテーマと合っていない。文字の強さが映像より前に出ている。整っているけれど、なぜか心に残らない。
こうした小さな違和感は、プロンプトだけでは完全に消せないことがあります。だから、最後は人が見て、感じて、判断する必要があります。
生成力より、編集力に近づいている
AI時代の制作は、ゼロから全部をつくる仕事から、たくさんの可能性を編集する仕事へ少しずつ変わっているように感じます。
出す。見る。比べる。残す。削る。組み合わせる。そして、また出す。
その繰り返しの中で必要になるのは、たくさん生成する技術だけではありません。何が必要で、何が不要なのかを判断する力です。
最後の1案を選ぶのは、人
AIはこれから、もっと速く、もっと高品質な案を出せるようになると思います。
でも、どれを使うのか。なぜそれを選ぶのか。どこを直すのか。何を捨てるのか。
そこには、その仕事をどう理解しているか、その人が何を大切にしているかが表れます。
マッタ創作所では、AIの生成力を使いながらも、制作の中心は判断にあると考えています。100案を見せることではなく、その中から本当に必要な1案を残すこと。
AIがつくる時代だからこそ、選ぶ人の感性と判断が、これまで以上に作品へ表れるのだと思います。