そのEA、AIは本当に必要ですか

そのEA、AIは本当に必要ですか

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マネー・副業
「AI搭載のEAを作ってほしい」というご相談をいただく。まず聞くのは「どの判断をAIに任せますか」の一点だ。返ってきたルールを読むと、最後まで数値の比較だけで閉じていることが珍しくない。RSIが30を下回る、5分足の移動平均が上を向く、直近の高値を抜ける。どれもそのままif文になる。
そういうときは「このルールならAIは要りません」とお伝えしています。AIを組み込む形のEAを出している側が言うのも妙な話ですが、要らないものを載せると、動きは変わらないまま毎月のAPI費だけが増えます。
とはいえAIが効く場所はある。どこで効いてどこで効かないのか。自分のルールを当てはめて判断できる形にしておきたい。今回はその線引きを見ていく。

数値で閉じるなら、AIは要らない

エントリー条件を紙に書き出してほしい。「〜が〜を下回ったら」「〜と〜が交差したら」の形に全部収まるなら、その判断はもう決まりきっている。同じことを日本語でAIに聞いても、返る答えは同じだ。同じであるうちはいい。困るのは、同じにならない時がある点だ。
テクニカルだけのEAは、同じチャートを何度流しても同じ注文を出す。入らなかったなら条件が満たされていない。理由は必ず数字で説明がつく。ここにAIの判定を挟むと、その保証がなくなる。「先週と同じ形なのに今日は入らなかった」が起きたとき、原因を追う手段が一つ減る。
検証の面でも差が出ます。ストラテジーテスターで過去データを流すとき、AIに問い合わせる作りだと、返ってくるのは「今のモデルが過去のチャートを見た結果」であって、当時そう判断したという記録ではありません。数値だけのEAなら、過去の検証と実運用が同じ計算の上に乗ります。この土台を手放すかどうかは、載せる前に考えておきたいところです。
AIは判断の材料を増やす仕組みであって、成績を約束する仕組みではない。

AIを載せると増えるもの

判断そのものより、周りに増える手間の方が実務では重い。
AIを載せると増えるもの
金額は当方の目安で、入力4,000トークン・出力150トークン、1ドル150円換算で置いている。使うモデルで5倍ほど開く。実額としては小さい方だ。ただ、動きが変わらないのなら払う理由のない支出になる。
効いてくるのは待ち時間の方です。発注の直前に外部へ問い合わせる作りになるので、判断と発注の間に一拍入ります。数pipsを取りにいく作りとは相性が悪い。数時間から数日ポジションを持つ作りなら、この一拍は誤差の範囲に収まります。
返事が来ない場合、遅れた場合、形式が崩れた場合。この3つで何をするかも決めておく必要がある。当方は返事が得られないときはテクニカルの判定だけで動かし続ける形にしている。止めるのか、続けるのか。どちらでもいいが、決めていないと止まる。
もう一つ、外部のAPIに乗る以上、作って終わりにはならない。使っているモデルが提供終了になれば、指定を書き換えて挙動を確かめ直すことになる。返答の形式が変われば、そこで発注が止まる。年に一度は触る前提でいた方がいい。

効くのは「見送り」の判断

では、どこにAIを置くか。当方の作りは標準で「買い」「売り」「見送り」の3つを返させる形にしていますが、実務で効いてくるのは見送りの判定の方です。テクニカルが出したシグナルに対して、AIが横から「やめておけ」と言える。両方が一致したときだけ発注する。重心はここに置いています。
エントリー条件は数値で書ける。書けないのは「今は入らない方がいい場面」の方だ。いつもと値動きの質が違う、直前に大きなヒゲが出た、レンジの真ん中にいる。これを全部if文にしようとすると条件が増え続け、半年後には自分でも読めなくなる。指標発表のようにカレンダーが引けるものは時刻で切れる。切れないのが残りだ。
見送り側に置く利点はもう一つある。AIが働くと取引の回数は減る方向にしか動かない。加点ではなく減点として使うので、挙動が読める。載せた結果どう変わったかも、発注の回数と見送りの記録を並べれば追える。
見送るべきだった、と後から説明できる負けがあるか。ここが分かれ目になる。
前提が一つあります。その見送りを言葉で説明できることです。プロンプトは結局のところ日本語の説明文なので、自分で説明できないものはAIにも渡せません。「勝てるように判断して」と書くのは、何も決めていないのと同じです。渡す情報と、返させる形式。この2つを決めるところが実装の中身になります。返事の形が崩れると発注が止まるので、決めた形以外を返させない作りにしておくことも要ります。

自分のルールを仕分ける

手順は3つ。1つめ、ルールを1行ずつ箇条書きにする。エントリー、決済、見送り、ロットの決め方を混ぜない。2つめ、各行に「この判断は数値の比較だけで決まるか」を○×で付ける。3つめ、×が付いた行だけ残し、「なぜそう判断するのかを他人に説明できるか」をもう一度見る。
ルールを1行ずつ仕分ける
×が1行も出なければ、AIは要らない。全部×なら、それはルールがまだ言語化できていない状態で、AIを載せても埋まらない。埋めるのは自分の言葉であって、モデルではない。

迷ったらAIなしで動かしてみる

判断がつかないなら、先にテクニカルだけのEAを作って動かすのが早い。しばらく回して取引履歴を見る。「これは入るべきではなかった」を数え、共通の理由を探す。その理由が数値で書けるならルールに足せばいい。書けないなら、そこがAIの持ち場になる。
順序を逆にすると切り分けができなくなります。最初からAIを載せた状態で結果が動いても、AIによるものか元のルールによるものかが分かりません。判定を差し込む場所さえ決めておけば、後から足すのは作り直しになりません。追加の作業そのものは別途お見積りになりますが、そこで一から組み直す話にはならない。先にAIなし、判定は後で困ることはまずありません。

当方はMT5のEAを、いただいた売買ルールから開発しています。AIを組み込む構成でも、AIを載せないテクニカルだけの構成でもお受けしていますので、ご相談時にお申し付けください。どちらが向くかの切り分けからご相談に乗れます。ご相談の際は、いま使っているルールを箇条書きで送っていただけると早いです。なお、お渡しするのはソフトウェアであって、投資助言や運用の代行ではありません。
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