これまでのシステム成績（2021年5月28日）

今週は先週末と比較して、日経平均株価は3.03ポイント、システムに採用した全38銘柄の株価平均は3.05ポイントの上昇となりました。

また、システム採用銘柄株価のプラス割合は、78.95%（30銘柄）に増加しました。

一方、システム成績は0.28ポイントの下落となり、平均資産増減率はプラス5.23%に減少しました。

順張り系は0.39ポイント、逆張り系は0.18ポイント、その他系は3.45ポイントの下落となりましたが、オシレータ系は0.33ポイントの上昇となりました。

チャートを見ると、逆張り系が上昇一服、その他系が下降に転じ、順張り系とオシレータ系は概ね横ばいで推移しています。

日経平均株価とシステム採用銘柄株価は、先週の急落から徐々に値を戻しています。

個別システムでは、増減率がプラスでかつインデックスに勝っているのは、6システムに減少しました。また、インデックスとは関係なく、増減率がプラスのものは、先週と同じ22システムです。

住友ゴム工業が首位をキープし、昭和電工が2位、三菱自動車が3位のまま変わりません。

さて、今月末まで9都道府県に出されていた緊急事態宣言は、来月20日まで延長されることが決定しました。延長の可否についてはここでは触れませんが、この延長によって、ギリギリの状態で耐えている飲食店などに、致命的な打撃を与えるだろうことは想像に難くありません。

何故、多くの飲食店は、この窮状から抜け出せないのでしょう？その最大の理由が、金融支援・補償の脆弱性にあることは間違いありません。

その一方で、新型コロナ禍を追い風に、収益を伸ばしている業種が存在します。市場は、完全にK字経済の様相を呈しています。

社会主義国家ならば、このアンバランスを力尽くでねじ伏せることが出来るかもしれません。そうであれば、窮状業種への支援を、躍進業種からの調達で賄うことが出来るでしょう。

しかし、資本主義国家では、過度の市場介入はタブーとされています。税制を可能な範囲で最大限変更したとしても、それが効力を発揮するのは大分先の話となってしまいます。

システムトレードでは、その性能を評価するために資産カーブを確認します。一般に、資産カーブの直線性が高い（これをロバスト性が高いと言います）ほど、そのシステムは優れているとされますが、それはある意味真実でもあり、あるいは真実ではありません。

資産カーブが右肩上がりの完全な直線になることはなく、普通は騰落やうねりを伴いながら、上昇傾向を保ちます。そのうねりや騰落の幅を、リスクと言い換えてもいいでしょう。

自然な推移であるならば、このようなリスクは必然的に生じるものであり、それを無理やりに抑え込んでしまうと、いわゆる過剰最適化（オーバーフィッティング）となってしまいます。

K字経済は、見方を変えれば、資産カーブにおいて、このリスクが拡大している状況と捉えることが出来ます。そのまま何もせずに放置していれば、資産カーブはやがてリスク過剰になり、右肩上がりを維持できなくなるでしょう。

例えば、上昇1割、下降1割で資産が推移する場合でも、最終的には資産は0になります。1.1×0.9＝0.99であり、これが無限回繰り返されると、最後は0になることが分かります。

現在の状況は更に悪く、上昇5割、下降5割といったイメージです。そうすると、1.5×0.5＝0.75でしかなく、より急速に0に収束してしまいます。

これを防ぐためには、リスクを低減すると共に、上昇の割合を下降の割合よりも高める必要があります。

社会主義的な考えでは、とにかくリスクを極限まで圧縮することを是とします。しかし、それは過剰最適化に外ならず、ちょっとしたきっかけで大暴落を引き起こすことでしょう。

多くの社会主義国家が破綻した最大の理由は、過剰にリスクを抑え込んだことによる、経済や社会のリスク耐性低下（脆弱性）にあると思います。

資本主義的な考えでは、リスク変動を無理に抑え込まずに、上昇割合が下降割合よりも多くなるよう、経済活動を活発化することを是とします。

しかし、リスクを放置した結果、過去に何度か経済危機を招いたことは、周知の通りです。

新型コロナ禍における現在は、正にこのリスクが急拡大しつつある状況にあります。このまま放置していれば、いずれはビッグクランチ（大収縮）が起きるでしょう。

これを乗り切るためには、拡大し続ける過剰なリスクを一定程度（例えば2割）以下に抑え込むと共に、資産カーブの上昇傾向（回帰直線の右肩上がり）を維持していくことが必要です。

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