「片付けが得意な人」と聞くと、どんな人を思い浮かべますか。
整理整頓が上手。几帳面。きれい好き。そんな人物像が浮かぶかもしれません。
でも、同じように散らかった部屋をきれいにできる二人でも、片付けている途中で自然にしていることは、まったく違うことがあります。
「これはここ」と置き場所を決める人もいる。「これはもう要らない」と物を減らしていく人もいる。使いやすいように配置を変える人もいれば、全体を眺めて「なんとなく揃っていない」と整える人もいます。
結果だけ見れば、全員「片付けが得意な人」です。
でも、仕事でも使っている得意を知りたいなら、見たいのはその一歩手前です。
「片付けられたか」ではなく、片付ける途中で何を自然にしていたのか。
そこまで見ると、何気ない家事の中にも、自分では強みだと思っていなかった行動が見えてきます。
「片付けが得意」は、結果を表しているだけ
強みについて考えるとき、「私は何ができるだろう」と考えることがあります。
資料作成が得意。人の話を聞くのが得意。片付けが得意。
もちろん、これも一つの手がかりです。ただ、「何ができるか」だけでは、その人が自然に使っている得意までは分からないことがあります。
例えば、二人とも同じ棚をきれいに片付けたとします。
一人は、種類ごとに分類して置き場所を決めた。もう一人は、必要なものだけ残して、それ以外を手放した。
完成した棚だけ見れば、どちらも同じ「片付け上手」です。でも、途中でしていることは違います。
仕事で使える得意を知るなら、結果からもう一段掘り下げて、「そのとき何を見て、何を判断し、何を自然にしていたのか」を見ることが大切です。
今回は、片付けの途中に表れやすい行動を4つ見てみます。
1.「置き場所が決まっていない」と気になる
机の上をとりあえずきれいにするだけではなく、
「これはここ」
「使ったらここに戻す」
と、物の住所まで決めたくなる人がいます。
この行動から分かるのは、バラバラに存在しているものを分類し、置き場所や扱い方のルールを決めているということです。
もし同じ行動が仕事でも繰り返されているなら、共有フォルダを整理する、資料の保存場所を決める、情報を分類する、誰でも迷わない運用ルールを作る、といった行動へ展開する可能性があります。
本人にとっては「散らかっているから整理しただけ」かもしれません。でも、その結果、周囲も必要なものを探しやすくなっているなら、仕事でも役立つ行動です。
ただし、自分には分かりやすい細かなルールが、周囲にとっても使いやすいとは限りません。ルールを作ることだけでなく、実際に使う人が続けられるかを見ることも必要になります。
2.「いらないものが混ざっている」と気になる
片付けながら、
「これは本当に必要?」
「最近使っていないよね」
と、残すものと手放すものを仕分けていく人もいます。
ここで自然にしているのは、必要なものと不要なものを判断し、対象を絞り込むことです。
同じ動きが別の場面にも表れているなら、仕事でも、優先順位をつける、不要な工程を減らす、大量の情報から必要なものだけを残す、やること自体を減らす、といった行動へ展開する可能性があります。
仕事では、「何を増やすか」だけでなく「何をやらないか」を決めることもあります。そう考えると、片付けで自然にしている選別も、仕事と無関係とは言い切れません。
一方で、自分には不要に見えるものでも、別の人にとっては意味がある場合があります。判断が速いことと、その判断が常に正しいことは別です。
3.「使いづらい置き方」が気になる
毎朝使うものが棚の奥にある。料理をするたびに、何度も同じ場所まで物を取りに行く。
そんな状態を見ると、
「こっちに置いた方が楽じゃない?」
と、自然に場所を変える人もいます。
この場合、見ているのは単なる「きれいさ」ではありません。
誰が、いつ、どんな順番で使うのか。その動きを見ながら、より使いやすい流れへ変えています。
同じ傾向が仕事でも繰り返されているなら、手順を分かりやすくする、無駄な動きを減らす、利用する人が迷わない流れを作る、初めて担当する人でも進めやすい形にする、といった行動へ展開する可能性があります。
ただ、自分にとって使いやすい配置が、全員にとって使いやすいとは限りません。誰が使うのかまで見ることで、この行動はより活きてきます。
4.「全体を見ると、なんとなく揃っていない」が気になる
物の高さが揃っていない。並び方がバラバラ。少し離れて全体を見ると、なぜか違和感がある。
そんな状態を見ると、自然と整えたくなる人もいます。
ここから読み取れるのは、全体を見ながら、小さなズレや違和感を見つけ、仕上がりを整える行動です。
仕事でも同じことを自然にしているなら、資料を読みやすく整える、表記を統一する、成果物の細かな違和感に気づく、最後に全体を見て仕上がりの質を上げる、といった行動へ展開する可能性があります。
本人は「ちょっと気になったから直しただけ」と思うかもしれません。
でも、その「ちょっと気になる」によって、周囲が見落としていたズレが整っていることもあります。
一方で、細かな違和感がよく見えるからこそ、整えることに時間を使いすぎることもあります。仕事では、どこまで仕上げれば目的を満たすのかを見極めることも必要です。
「私は片付けが得意」で終わらせるのは、もったいない
ここまで見てくると、同じ「片付けが得意」でも、自然にしていることがかなり違うことが分かります。
置き場所やルールを決めている。必要なものを選んでいる。使う人の動きを見て配置を変えている。全体の違和感を見つけて整えている。
完成した部屋だけを見れば、どれも「片付いた」で終わります。
だからこそ、「私は片付けが得意です」で自己分析を終えてしまうのは、かなりもったいない。
仕事で使っている得意を知りたいなら、「何ができたか」より、「その途中で自分は何を自然にしていたか」まで見てみる。
そして、仕事、学生時代、家事、趣味、地域活動など、別の経験でも同じ行動を繰り返していないか確かめます。
例えば、家では置き場所を決め、仕事では共有フォルダを整理し、地域活動では資料の管理方法を決めていた。
そんなふうに異なる場面で同じ行動が何度も現れているなら、それは本人にとって自然に使いやすい得意である可能性が高まります。
一つの経験から「あなたの強みはこれ」と決める必要はありません。
複数の具体的な経験を並べて、何度も繰り返している行動を見る。その方が、「整理整頓が得意」「几帳面」といった大きな言葉より、自分が実際にどう価値を生んでいるのかが具体的になります。
私が「働く私のトリセツ」を作るときも、仕事や日常の具体的な経験を複数集めながら、その人が自然に繰り返している行動や、力が出やすい条件を見ていきます。
最近、自分から片付けた場所を一つ思い出してみる
部屋全体でなくて構いません。
仕事机でも、キッチンの棚でも、パソコンのフォルダでも大丈夫です。
そのとき、
何が最初に気になったのか。
それを見て、実際に何をしたのか。
なぜ、そこを変えようと思ったのか。
この3つを思い出してみてください。
自分では「片付けただけ」「普通にやっただけ」と思っている行動でも、別の場面で何度も同じことを自然にしているなら、そこには仕事でも使っている持ち味が隠れているかもしれません。
最近片付けた場所で、あなたは何を気にして、どんな行動をしていましたか?
過去の経験から、自分の強みを見つけたい方へ
「自分の強みは?」と聞かれても、うまく答えられない。
自己分析や診断をしても、「本当にこれが私の強みなのだろうか」としっくりこない。
そんな方に向けて、過去の具体的な経験を一緒に振り返り、自分では見落としてきた持ち味や、力が出る条件、つまずきやすい癖まで整理するサービスを提供しています。
こちらから質問しながら経験を掘り下げていくため、事前に自分の強みを整理しておく必要はありません。
「仕事では大したことをしていない」と思っている方でも、家事や学生時代、趣味などを含めて具体的な経験を並べると、何度も自然に繰り返している行動が見つかることがあります。
それらを、仕事でも使える言葉に整理し、「働く私のトリセツ」としてレポートにまとめます。
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