AIで時間を減らしたあと、その時間を何に使うのか
記事
ビジネス・マーケティング
これまで、
「専門家が全部やる必要はない」
「人がやらなくていい仕事を減らす」
「仕事の受け渡しを整える」
「例外を見つけてから自動化する」
「最初から完成品を作らず、小さく育てる」
という話を書いてきました。
今回は、このシリーズの最後です。
ここまで業務改善や自動化について書いてきましたが、
最後に一つだけ考えておきたいことがあります。
それは、
仕事が早く終わるようになったあと、その時間を何に使うのか。
ということです。
「何分短縮できるか」だけでは少し足りない
業務改善では、
月10時間削減。
入力作業を50%削減。
処理時間を30分から5分へ。
といった数字がよく使われます。
もちろん、とても分かりやすい指標です。
私自身も、
仕組みを考えるときには時間を見ます。
ただ最近は、
それだけでは少し足りないと思っています。
なぜなら、
30分の仕事が5分になったとしても、
空いた25分に別の単純作業を詰め込めば、
働く人の状態はあまり変わらないからです。
業務改善の目的は、
単に、
もっとたくさん仕事を詰め込める状態を作ること
ではないはずです。
人にしかできない仕事は意外と多い
AIや自動化の話をしていると、
「そのうち人の仕事がなくなる」
という話もあります。
確かに、
技術によって減っていく作業はあると思います。
文字を転記する。
情報を整理する。
定型文を作る。
大量のデータから候補を探す。
こうした仕事は、
これからさらに仕組みに渡せるようになるでしょう。
でも、その一方で、
相手の話を聞く。
状況を理解する。
迷っている人に説明する。
複数の選択肢から判断する。
違和感に気付く。
誰かを育てる。
安心してもらう。
こうした仕事は残ります。
そして私は、
こちらの方が、人が本来時間を使いたい仕事なのではないか
と思っています。
専門家が資料を探している時間
たとえば社労士の先生なら、
メールの中から資料を探す時間と、
企業の状況を聞いて、
制度について説明する時間。
どちらに専門家としての価値があるでしょうか。
もちろん前者も必要です。
資料がなければ仕事は進みません。
でも、
資料を探すことそのものが
専門家の価値ではありません。
だから、
必要な情報が決まった場所へ集まる。
確認すべきものが整理される。
不足しているものが分かる。
ここを仕組みで補助する。
そうすれば、
専門家は判断や説明に
より多くの時間を使えるようになります。
店舗の仕事でも同じです
これは専門家だけの話ではありません。
たとえば店舗でも、
帳票を入力する。
数字を転記する。
報告用のファイルを作る。
何度も同じ数字を確認する。
こうした仕事があります。
もちろん必要です。
でも店長や責任者には、
スタッフを見る。
新人に声をかける。
お客様の反応を見る。
売場や厨房の小さな変化に気付く。
次の改善を考える。
という仕事もあります。
ところが、
目の前の処理作業が多くなると、
こちらが後回しになります。
数字を入力する仕事は見えます。
でも、
「今日は新人の様子を少し見ておこう」
という仕事は、
予定表には現れにくい。
だからこそ、
定型業務を少し減らす意味があります。
AIに任せたいのは「考えること」ではなく、その前の準備かもしれない
私は、
AIにすべて考えてもらうことより、
人が考えるための準備をAIや仕組みに任せる
という使い方が好きです。
情報を集める。
並べる。
形式を揃える。
候補を出す。
転記する。
確認しやすい状態へ整える。
そこまでを仕組みに任せる。
そして最後に、
人が見る。
考える。
判断する。
決める。
この関係の方が、
実際の業務には合うことが多いと思っています。
「効率化したからもっと働ける」だけにしない
少し極端な例ですが、
1時間かかっていた仕事が30分になった。
すると、
「30分空いたから、もう一つ仕事を追加しよう」
となることがあります。
企業としては自然な発想です。
ただ、
それだけを繰り返すと、
結局ずっと余白は生まれません。
だから時には、
空いた30分を、
確認するために使う。
誰かと話すために使う。
次の改善を考えるために使う。
少し落ち着いて仕事をするために使う。
という選択もあっていいと思います。
余白は、
無駄ではありません。
むしろ、
余白があるから気付けることがあります。
業務改善は、人の役割を考え直すことでもある
ここまでこのシリーズで、
OCR。
Excel。
AI。
Webシステム。
業務フロー。
いろいろな話を書きました。
でも、結局考えていることは一つです。
人は、どこに時間を使うべきなのか。
そのために、
機械でもできる仕事を探す。
情報の流れを整理する。
例外を分ける。
小さく仕組みにする。
実際に使って直す。
そうやって、
人の仕事の位置を少しずつ変えていく。
私は、それが業務改善だと思っています。
AkariLabが作りたいのは「すごいシステム」ではありません
AkariLabでは、
紙の勤怠表をCSVへ変換する仕組みや、
専門家と企業との情報の受け渡しを整理する仕組みなど、
現場の小さな業務を対象にした仕組みづくりを進めています。
ただ、
最終的に作りたいのは、
「AIをたくさん使ったすごいシステム」
ではありません。
使う人が、
「あの入力、しなくてよくなった」
「毎回探していた資料がすぐ分かる」
「確認するところだけ見ればいい」
と思える状態です。
それだけでいい。
その小さな変化によって、
誰かと話す時間が増える。
考える時間が増える。
仕事を教える時間が増える。
少し余裕を持って働ける。
そこまでつながれば、
仕組みを作った意味があると思っています。
最初の一歩は、小さな違和感でいい
業務改善を始めるために、
大きな課題を見つける必要はありません。
「毎月これ入力しているな」
「このファイル、いつも探しているな」
「同じ内容を何度も書いているな」
「この確認、毎回やっているな」
そんな小さな違和感で十分です。
その一つを、
人がやる仕事なのか。
仕組みに渡せる仕事なのか。
考えてみる。
そこから始めればいいと思います。
現在、紙のタイムカードや勤怠表については、
ココナラでデータ化サービスも提供しています。
▼タイムカード・勤怠表のデータ化サービス
紙の勤怠表やPDF、スマートフォンで撮影した画像などから、
出退勤時刻を整理してCSVへ変換します。
でも、そのサービスも目的はCSVを作ることではありません。
入力していた時間を減らし、
その時間を、
確認や判断、
人とのやり取りなど、
もっと人がやる意味のある仕事へ戻す。
そのための小さな道具です。
「AIで何ができるか」
から考えるのではなく、
「人の時間を、どこへ戻したいか」
から考える。
これからもAkariLabでは、
現場の仕事を一つずつ読み解きながら、
必要なところだけを仕組みに変えていきたいと思っています。