飲食の現場に21年います。店長やマネージャーとして働きながら、営業時間が変わってもホームページが開店当時のまま、という同業の店を何度も見てきました。納品された日がいちばんきれいで、あとは少しずつ古くなっていくページ。作り手を責める気はないのですが、開店後に店主が自分で触れる画面になっていたかどうかは、発注の時点でほぼ決まっていたはずです。
その考えを形にしたデモを1本作りました。題材は「つた」という山あいの純喫茶。納品物のサンプルとして丸ごとこしらえた架空の店で、住所も電話番号も架空だとページの下部に明記してあります。18席、つたブレンド550円、水曜と第2火曜が定休。中身は実際にご依頼を受けたときと同じ水準で組みました。
納品後に自分で触れるところ
WordPressのテーマをゼロから書き、店主さんが管理画面で開く場所を「お品書き」と「お知らせ」のほぼ2つに絞りました。ゼロから書くのは、使わない機能やボタンを最初から画面に出さないためです。作り自体はWordPressの標準の仕組みの範囲に収めてあるので、将来ほかの制作者へ引き継ぐこともできます。
お品書きの入力は品名、価格、ひとこと説明、写真、それと「おすすめ3品」のチェックだけ。入れれば、メニューページの並びも見た目も勝手に整います。自分の経験では、入力欄が4つを超えたあたりで手が止まります。21年の現場感覚ですが、レジ締めのあとに残っている体力はそんなに多くありません。だから欄を削りました。
おすすめの指定も、最初はタグで管理する案でしたが、「おすすめ」と「オススメ」の表記ゆれで表示が崩れる事故が読めたので、チェックボックス1個に変えました。価格欄は数字でも「時価」でも通ります。検品では時価が0円と表示される不具合が見つかり、納品前に直しました。こういう地味な確認は、納品前に済ませておきたいところです。
営業時間や住所は1か所にまとめてあり、そこを直せばトップページとアクセスページの両方が同時に変わります。冒頭に書いた「営業時間が古いままの店」を、ここで防ぎたかった。お知らせのほうは普通のブログ投稿と同じ操作で、臨時休業の告知くらいなら数分で書けます。
月々の費用と、その引き換え
ページを動かない形に書き出して、無料で使える置き場(GitHub Pagesというサービス)で公開する形にしたので、サーバーのレンタル代が毎月かかりません。
引き換えがあります。管理画面で直しても、書き出しをやり直すまで公開ページは変わりません。書き出しは管理画面から実行できますが、つたの初回はページ全部で8分ほどかかりました。それと、静的なページでは送信処理が動かないため、問い合わせフォームが置けません。つたでも迷った末、電話とメールの案内にしました。
この形が向かない店
日替わりメニューを毎朝載せ替えたい店には勧めません。書き出しの一手間が毎日発生して、たぶん続かない。その場合は、目安として月数百円から千円台のレンタルサーバーでWordPressをそのまま動かすほうが楽です。フォームやネット予約をサイト上で受けたい店にも向きません。予約は電話か外部サービスに任せる前提になります。
逆に、メニューの入れ替えは季節ごと、お知らせは月に数回という店なら、この引き換えはほとんど気にならないはずです。
進め方
ヒアリングでお品書きと営業情報をいただき、私の側でテーマから自作します。管理画面のボタン名も「新しい品を追加」「料理写真を設定」のように、専門用語を消した状態で納品します。WordPressが初めての人向けの手順書も付けます。「スラッグとはページURLの末尾のこと」といった用語の説明から書いたものです。
ご相談の時点であるとよいのは、メニューの一覧(手書きのメモや、いまお使いの紙のお品書きの写真で構いません)、営業時間・定休日・住所、あれば料理の写真です。費用と納期はおもにページ数と写真の状態で変わるので、まずは現状をそのまま見せていただくのが早いです。
デモはこちらです。メニューもお知らせも、上で書いた入力画面から入れたものがそのまま出ています。開店後に自分で更新を続けられそうかどうか、そこを確かめてから発注を判断してもらうのが、お互いにいちばん確実だと思います。
店のホームページ制作のご相談は、こちらで受け付けています。