子どもが学校へ行けない日が続くと、親御さん自身が追い詰められてしまうことがよくあります。
「いつまでこの状態が続くんだろう」
「このままで将来は大丈夫なの?」
「私の育て方がいけなかったのかな」…
最初は子どもの気持ちを受け止めようと思っていても、毎日同じ状況が続くと、そんな余裕がなくなることもあります。
朝になっても起きない。
ゲームやスマホをしている姿を見るとイライラする。
こちらが何を言っても「うるさい」「放っておいて」と言われる。
学校から連絡が来るたびに胸が苦しくなる。
周りの子が普通に登校している姿を見ることさえ、つらく感じる。
そして、ある日、
「いつまでこんな生活をするの?」
「少しくらい頑張ったら?」
「こっちだってもう限界だよ」
と言ってしまう。
その後で、「また言ってしまった……」と、自分を責めてしまう。
不登校のご相談を受けていると、こうした親御さんの苦しさに触れることがあります。
私自身も、不登校の子どもを持つ親として、子どもを心配する気持ちと、自分自身の苦しさとの間で揺れることをあまた経験してきました。
親御さんにだって、感情がありますよ。
不登校について調べると、
「焦らない」
「見守る」
「子どもの気持ちを受け止める」
という言葉をよく目にすると思います。
そう、もちろん、どれも大切なことです。
でも、それを毎日続ける親御さんにも感情があります。
不安になる日もあれば、腹が立つ日もあります。他の家庭と比べて落ち込むこともあります。「もう何も考えたくない」と思う日があっても不思議ではありません。
だから私は、子どもへの関わり方を考えるとき、親御さんの状態も同じくらい大切にしたいと思っています。
◆追い詰められているときは、その場で「正しい対応」をしなくてもいい
感情が大きくなっているときに、「今こそ子どもの気持ちを受け止めなくては」と頑張りすぎなくてもよいと思います。
そんなときは、いったん会話を終えることも一つの方法です。
たとえば、
「今、お母さんも少し気持ちに余裕がないから、また後で話そう」
と伝えて、その場を離れる。
別の部屋へ行く。
温かいものを飲む。
誰かに話す。
頭の中にある不安を紙に書き出してみる。…
大切なのは、感情をなくすことではなく、感情が大きくなっている自分に気づいて、そのまま子どもへぶつける前に少し距離を取ることです。
◆「子どもの問題」と「親の不安」を分けてみる
追い詰められているときほど、頭の中ではいろいろな心配が一度につながってしまいます。
「今日も学校へ行かなかった」
という出来事から、
「このままずっと行けないかもしれない」
「勉強についていけなくなる」
「高校へ行けないかもしれない」
「将来働けなくなるかもしれない」
と、何年も先のことまで一気に考えてしまうことがあります。
そんなときには、
「今日、実際に起きていることは何だろう?」
と、一度立ち止まってみます。
「今日は学校へ行けなかった」
まずは、それが今日起きた事実です。
その先に浮かんでいることの中には、まだ起きていない未来への不安も含まれています。
不安を否定する必要はありません。
ただ、「今起きていることと、私が心配していることを分けてみる。」それだけでも、少し考えやすくなることがあります。
◆親御さん一人で抱え込まないでほしい
私は、不登校支援では「子どもをどう動かすか」だけではなく、親御さんが安心して悩みを話せる場所を持つことも大切だと考えています。
親御さんの気持ちが少し整理されることで、
「今日は学校のことには触れないでおこう」
「この一言だけ伝えてみよう」
「今はここまででいいかな」
と、お子さんへの関わり方を落ち着いて考えられることもあります。
私は心理カウンセラーとして不登校の親御さんへの相談支援に携わる一方、私自身も、不登校の子どもを持つ親ででした。
だからこそ、「こんなことを思うなんて親失格かもしれない」という気持ちも、無理にきれいな言葉にしなくて大丈夫だと思っています。
「もう疲れました」
「子どもに優しくできません」
「先のことを考えると怖いです」
そんなところからでも、お話しください。
親御さんのお気持ちを一緒に整理しながら、今のお子さんにどう関わっていくか、そして親御さん自身が少しでも無理なく過ごすにはどうしたらよいかを一緒に考えていきます。
親御さん自身の心も置き去りにせず、一つずつ考えていけたらと思っています。