勉強したり散歩したり楽器の練習をしたり
私はかつて中高の数学の教員でした。よく大学時代の友人知人に原稿を書いてもらって「東大合格者の高校時代の勉強法」などと表題をつけて生徒に配っていたものです。それはあまり好評だとは言えないものであり、しかも教員でなくなったときに消えた原稿ですが、結果的に私自身の勉強となったものでした。そのなかで、複数の人が挙げていた勉強法があります。典型的だったのが、オーケストラのある先輩で、物理学で大学の先生になっている人の書いていたことです。その人は、勉強したり、勉強に飽きると散歩をしたり、また勉強をしたり、部屋の掃除をしたり、あるいは楽器の練習をしてはまた勉強をするというサイクルだったそうです。いろいろなことを同時進行で行うやりかたですね。その人は「自分は飽きっぽいからかも」と書いていましたが、これは多くの人の実践している勉強法であるようです。
このほうが勉強ははかどるということの「証拠」みたいなものがあります。学校の「時間割」というものの存在です。1時間ごとに「国語」「算数」「図工」「体育」みたいになっていたでしょう。それが1週間続いて、1週間に1度、日曜日は休みます。あの「時間割というものの存在」がまさに、「あれをしたり、これをしたり」というやりかたのほうが頭に入る証拠ではないかと思います。「月曜は1時間目から6時間目まですべて国語」「火曜は1時間目から6時間目まですべて算数」というふうにはなっていません。それは人間の生理に反していることは感覚的におわかりになるのではないでしょうか。そして、水曜が1時間目から6時間目まですべて体育だったらとてもではないですが身が持ちません。
あるとき、あ
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