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花開く才能の鍵 第5話

「な、何だよこれ⁉︎」  私達を包み込むバリアを見て、さっきまで私達を痛めつけていた学生達が驚いている。  いや、それは私達もだ。  何が何なのかさっぱり分からない。でもこれが私達を守ってくれたのは事実だ。 「お、おい、どうする?」 「くっ!別にどうってことはねぇ!何度でもぶん殴ってりゃ割れんだろ!」 「そ、そうだよな………おりゃあ!」  頷いた男子が炎を纏ったハンマーを思いっきり振り下ろした。  たしかにこんなバリアがずっと保つとは思えない。せめてもう少し厚みが無いと。  私がそう思った瞬間、バリアが丸めた紙のようにまとまった。それが振り下ろされたハンマーを受け止めた。  ガンッと大きな音がするが、バリアは割れずに攻撃を受け止めている。  さらにバリアのエネルギーが反発して、攻撃してきた男子が吹き飛ばされた。 「ぐっ!何なんだよ!当たらねぇぞ!」  バリアに弾かれて男子は尻餅をついた。それを見てみんなが愕然としている。  私は守ってくれたバリアを呆然と眺めた。  私が大刀石花を守りたいと思ったらバリアが生まれて、さらに頑丈にしたいと思ったら、バリアの範囲を狭めて厚みを増やした。  まさか、これ、私の意思を反映してるの?  もちろんこれまでこんな事は起きなかったし、こんな事が起こる理由が分からない。  わけが分からずに視線を落とすと、さっきまで手に集まっていたタレンテッドキーの光が無くなっていた。  よく見ると、バリアの光は私のキーの光によく似ている。  もしかして………これが私の武器? 「クソが!おい、この変なバリアごとコイツら壊すぞ!」  攻撃の当たらないことに業を煮やした
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花開く才能の鍵 第4話

「はぁっ!くっ!」 「おっと、よっ!ほいっ!」  体育の時間に、私達はタレンテッドキーを用いた模擬戦を行う。  私も刀を手にしてクラスメイトの女子と練習をしていた。  相手が使っているのは二丁のサブマシンガンだ。本人曰く『スコーピオンっぽいよね』とのこと。悪いけど銃には詳しくない。 「とりゃあっ!」  適度に間合いを取っていると、相手が銃の引き金を引いた。それと同じに私も刀を振るう。  サブマシンガンが火を吹いて、高い音が鳴り響く。訓練用のキーを使っているので死にはしないが、痛いので当たりたくない。  発射された何十発ものの光弾は、私が出現させた裂け目に吸い込まれていった。  さらに裂け目は相手の右隣に出現した。そこから吸い込まれた光弾が吐き出される。 「わひゃあッ⁉︎」  ある程度は予想していたようで、送り返した光弾は全て避けられた。でもある程度隙はできた。  その隙をついて私は大きく踏み込んだ。刀を振るってトドメを刺そうとする。  しかし相手が素早く背中を丸めて私の視界から姿を消した。  慌ててその姿を目で追うが、こうなってしまうと……… 「ほい、私の勝ちだね」  私の真隣で声がした。こめかみには銃口が突きつけられている。 「はぁ………また負けかぁ」  私は負けを認めて身体の力を抜いた。それを見て彼女も銃を下ろす。 「これで二勝一敗。これで今日の昼ごはん奢ってもらえるぜ!」 「おい、そんな事聞いてないよ」  歩射《かちゆみ》 |九十九《つくも》。高校に入ってからできた友達だ。  クラスの中で一番背が低く、髪は短髪でぴょこんとアホ毛がある。身体も全体的にほっそりしていて、ボー
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花開く才能の鍵 第3話

 そんな事があった翌日。  身体がいつもより快調な事を除いて、特に変わったことは無かった。やっぱり手当ては人にやってもらった方がいいのかもしれない。  それでも傷は完全には癒えなかった。仕方なく顔にガーゼを貼ったまま学校に行く。  一人でのんびりと学校へ登校して教室に入る。  当然だけど私に話しかけてくる人はいない。  私が話しかけないというのも一因だが、たとえ話しても無視する人がほとんどだろう。  遠巻きには私を見てヒソヒソと話して指差す人もいる。  別に一人だからって学校生活に何の支障もない。席に座ると持ってきた本を広げて読み始める。 「おはよー」  本を読み耽っていると、教室の入り口から声がした。  特に変わり映えのないただの挨拶だ。いつもの私ならスルーしていただろう。  しかしその声は昨日何度も聞いた声だった。だから自然と顔がそちらに向いた。  教室に入ってきたのは昨日私を助けてくれた大刀石花 三狐神だった。近くにいる友達に挨拶をしている。  同じクラスっての本当だったんだ。  すると私と目があった大刀石花は軽く手を振ってきた。なんと返すべきか分からずに、とりあえず頭を下げとく。  大刀石花は私に気を遣ってくれたのか、それ以上話しかけてくることはなかった。  私も話すことがなかったので、席に座ったままだ。  その後に入ってきたのは昨日私を痛めつけてくれた六人組だ。  パッと見た感じは普通だが、制服が何となく汚れている様に見える。昨日ヘドロまみれの池に落とされたからだろう。  私の方を見ると、溢れんばかりの怒気を放って恨みがましそうに睨んでくる。  大刀石花のせいにするつ
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花開く才能の鍵 第2話

「あ?何だテメェ?」 私を犯そうとした男子達がこちらを向いてきた。  しかしどんなに睨みつけられても彼女は顔色を変えることはない。私を抱えたままただそこに立っている。  威圧感や貫禄は感じないが、殺気や恐怖も感じない。 「見ての通りの同級生。欲しい漫画があって、本屋に行く途中でたまたま見かけたから」  この状況でもまるで日常会話のように話す彼女を、私は呆然と見ていた。 「タレンテッドキーを使用していない者への攻撃は原則違法。このまま交番に駆け込めば、あなた達一発で停学、下手すれば退学ですよ?まぁ私もこの人に能力使っちゃったけど」  私を見て淡々と告げる彼女に、男子達は少しだけ怯んだ。 「ッ!お、おい、どうするよ?」 「へっ!別にビビることねぇだろ!ただキー使える女が一人増えただけだ。コイツブチのめして、犯せる女ふたりにしてやりゃいいだろ!」 「そう、だよな。それじゃあこの女は俺が貰うぜ!」  そう叫ぶと男子達は一斉に武器を構えた。 「あー、こうなるのかぁ。どうしようかなぁ…………あの、悪いんだけどさ、もうちょっとだけ地面で寝ててくれない?」  めんどくさそうに口を動かすと、彼女は私を地面にそっと下ろした。今度は痛みは感じなかった。  そして刀を握り直すと間合いを取るように構えた。  しかし剣道のようなしっかりとしたものではなく、ただ立ったままの姿勢で、鋒を前に向けて距離を取っているだけだ。 「オラ、いくぞ!」 「あぁっ!」「おぅ!」  さっきまで私を痛めつけていた武器を握って、男子達が駆け出した。  彼女は一応刀を握ってはいるが、体格や姿勢から見ても戦闘が得意には見えない。  
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花開く才能のカギ 第1話

「一、二、三、四、五、六、七、八!」 ここは高校の体育館。準備体操の号令がこだましている。それが終わると先生が指示を出した。  男子は外で体育をしてるみたいだが、私達女子は体育館の中だ。 「よし。それじゃあ今日のペアを言うから、作って広がって」  指示通りに私は近くにいた女子とペアを組んだ。  全員一度は無理なので、何組かに分けて行う。数人が適度に広がり間隔を空ける。 「なぁんだ、私のペア瘧なの?萎えるなぁ」  私とペアになった女子が呆れたようにため息をついた。いつものことすぎて反応する気も起きない。 「全員ペアは作れたか?それじゃあ、キーを起動させろ」  次の指示が飛ぶと、みんな体操服のポケットから一つの鍵を取り出した。上に丸い輪があって、いかにも昔の鍵といった感じのものだ。  私の目の前の女子は手にした鍵でくるりと円を描いた。  するとまるでペンで紙に描いたように、空中に円ができた。さらにその円は鍵穴のような形に変化していく。  その鍵穴に鍵を差し込んで回すと、鍵は光の粒子となって彼女の元に集まった。  その粒子は増えていき、やがて大きな斧へと変化した。彼女はそれを握ると軽く振る。  みんなもそれぞれ同じように鍵を回して、自分のアイテムを作り出す。  剣、槍、鞭、装飾品。色んなアイテムがみんなの手に作り出されていった。  まだ武器を持ってないのは私一人だ。 「海金砂。とりあえず早く起動させろ」  先生に名指しでせっつかれて、私はため息をついた。  また嗤われるんだろうな………  私は暗い気持ちを何とか鎮めると、ポケットから鍵を取り出した。  我が国の最新兵器・タレンテッドキ
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ワンシーン小説 異能力バトルサンプル(やや流血あり)

「――眼鏡、割れてるよ。委員長」 土煙が消え、廊下の白線が見えたとき、立っていたのは霧也のほうだった。ヨーロッパの騎士が持っているような、鈍色の盾を掲げている。 「私が出した盾……窓から飛んでったのに、どうして」 尻餅をついたあやめの疑問を無視して、霧也は不敵に微笑んだ。 「直してあげる」 あざ笑うように、霧也がゆっくりと目を閉じる。次の瞬間、あやめの視界がクリアになった。霧也が目を開けたのと同時に、眼鏡のヒビが消えたのだ。 「確かに委員長は頭がいいよ。でも、これはゲームだ。僕のほうが慣れてる」 「ゲームだなんて、そんな」 「ゲームだよ。特殊能力を与えられて、制限時間内に倒されたら負け、一人も倒せなくても負け。簡単じゃん。何がわかんないの?」 「突然こんなことに巻き込まれて、わかるわけがないじゃない!」 「でも現実に起きてる。さっさと降参したら? 残り時間いっぱい、僕はいつものように屋上でゲームしてるから」 「……負けたら命の保証はないわ」 「逃げてたってそうさ。爆発に巻き込まれて死ぬかもしれない。勝ち欲しさに、委員長を拷問するヤツがいるかもしれないんだよ。僕だって」 銃声がとどろいた。あやめが悲鳴を上げる。校則通りの真っ白な靴下に、血が滲み始めた。涙がにじんだあやめの目に、右手で銃を構える霧也が映る。 「委員長と一緒で、命を狙いたくはないよ。違うのは、手を放すほど間抜けじゃないってこと」 「嘘でしょ……最っ低」 「何とでも言えば? もう、知ってる言葉も残ってないだろうし」 霧也の口から「知ってる言葉」というフレーズが出たので、あやめは目を見開いた。 「委員長の能力、『1言語に
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