絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む
有料ブログの投稿方法はこちら

すべてのカテゴリ

3 件中 1 - 3 件表示
カバー画像

【短編小説】透明人間

 突然の姉の訃報を聞いたのが、四日前。そして、姉の葬式が終わり、親戚縁者の客も引いて、いまは、姉の家には、私と、姪の真奈美しか居ない。  真奈美の父である義兄も、小用があると言って、出掛けている。  私は、応接間のソファに腰掛けて、時より、傍らで遊ぶ真奈美に目配せながらも、じっと窓を見つめていた。  窓の外は、雨。私は、窓に当たって流れる雨滴を、一滴、一滴、目で追いながら、姉の面影を惜しんでいた。ようやく、姉の家に、ひっそりとした日常が戻ってきた、いまになって、姉を亡くした悲しみが、より激しく、私の胸に迫ったきた。  だが、そんな私を気にも止めず、真奈美は、無邪気に、独りで遊んでいる。真奈美はまだ、五歳。母親の死を、まだ認識出来る年齢ではないのか、それとも、幼児なりに、そうした形で、回避しようとしているのか。私には判らないが、いずれにしろ、そういう真奈美の姿が、私には、悲しく見えた。私は、思わず、 「ママがいなくなって、さみしいね」 と、真奈美に言った。そう言って仕舞ってから、私は、後悔した。そして、もしかしたら泣き出すのでは。と不安に駆られた。  ところが、 「ママ、いるよ」 と、意外な真奈美の返事。私は、しげしけと明るい真奈美の表情を見つめた。ふと、私は、夕べ、在りし日の姉が映ったビデオを親族だけで見たことを思い出した。たぶん、真奈美は、あれを見て、まだ母親が、生きていると勘違いしているのだと、私は思った。 「そうだね」 と、私は、作り笑いをして、かわいく首を傾げながら、言った。  すると、真奈美は、 「だって、ママ、透明人間になったんだもん」 と、口を少し尖らせながら、私
0
カバー画像

【詩】"とうめいにんげん"の詩

"とうめいにんげん"は とうめい "とうめいにんげん"は まねっこ だれかさんの ものまねしなけりゃ おとなりの色 ぬすんでこなけりゃ 生きてなんて いけないのさ生まれたままの "とうめいにんげん" すっぱだかで 恥ずかしい "とうめいにんげん"は……    言葉も知らない子供に なりたかった    世の理を説く大人に なりたかった    誰も辿りつけない過去に なりたかった    皆が夢見る未来に なりたかった あるいは 限りなく全てに平等に……    ただ流されていけばよい水流や    人を識る方法のない風や    星を縫いながら拡がることだけ考え続ける宇宙や    在ることのみで許される石英に なりたかったけれども "とうめいにんげん"は そのどれにも なれなかったので "とうめいにんげん"は 私になった このとき "とうめいにんげん"は死んだのだ。さて、私が何色になったのか…… それは、言うことができないのです。◆小説、シナリオ、脚本や 作詞(歌詞作成)のサービスを出品しています。 詩の制作も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。 お気に入り、フォロー、ご依頼をお待ちしております。 ◆ユーザーページリンクhttps://coconala.com/users/1630449
0
カバー画像

#5【透明人間になったら…/シナリオライターが創る4コマ漫画】

0
3 件中 1 - 3
有料ブログの投稿方法はこちら