羽織を道中着に仕立て直せますか?
道中着の仕立て方は、何通りかあるので、その都度、反物と寸法とお客様の希望を聞いて仕立てることになるが、特に希望がない場合は、一定の縫い方がある。が、これも、習ったところによるので、一つのやり方しかない、というわけにはいかない。 さてさて。 道中着の寸法は、道中衿は基本は幅3寸固定だし、羽織につくマチがつかず、コートの立て衿がつかないため、どう頑張っても寸法が足りないのである。前幅によって、裾で衿幅が4寸ぐらいまで広げられる可能性はある。 後ろ幅は着物と同寸、あるいは、肩幅までは広げてok。前幅は着物+1寸。それに道中衿の3寸が重なってくるので、着物の総身幅を足した寸法とほぼ同寸になる。 羽織やコートを総称して上衣、あるいは上着と言ったりするが、それは、前落とし、という、前身頃の衿の着く側を幅2寸5分から2寸7分ほどで切り落としてしまう部分がある。 道中着にもこれは共通であるが、道中着に関してのみ、前落としを落とさなくても良い仕立てがある。この場合、残布が多いことが条件で、前落としがない分、袖口を残布で取ることになる。 残布がない場合は、1尺5寸以上幅1寸5分以上あれば、斜めに前落としをして、幅を整え袖口に持ってくる。 前落としは、あってもなくても良い。あれば、前幅がちょっと狭くなるが袖口が取れるので総尺は短くて済む。なければ、前幅は余裕をもって出来るし、袖口も残布からとることになるが、残った布は鉤型に変形したものになるから、有効活用がしにくい。 つまり、ちょっと、前幅が狭くはなるが羽織を道中着に仕立て直すこともできるのだ。そこが道中着の良いところ、前身頃を打ち合わせてひもで縛
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