本当に満たされてるやつなんて、この世にいないんだよ
◆何で隙間を埋めるのか最近、しびれた言葉である。
「本当に満たされているやつなんて、この世にはいないんだよ」
2016年公開の映画『二重生活』(監督:岸善幸、出演:門脇麦・長谷川博己・菅田将暉)のなかで、長谷川博己さんが吐く台詞である。
この映画は、直木賞作家である小池真理子の同名小説が原作である。
博士論文のテーマに悩む哲学科の女子大学院生(門脇麦)が、指導教員から「何のかかわりもない人への、理由なき尾行」を勧められ、近所に住む幸せそうな一家の夫(長谷川博己)に対して、それを実行するというドラマだ。
究極の人間観察。
何の目的もなく、ただ論文のために、他人を尾行し、その生活を観察し、体験し、人間理解を深める、というものである。
近所の夫を尾行してみると、愛する妻と子どもに恵まれた幸せな家庭生活がありながら、実は不倫をしていて、二重生活を送っていたことが分かった。
夫は、女子大学院生の尾行に気づいて、「なぜ、尾行しているのか」と問い詰める。そして、彼女の目的を知ったあと、いくつかの問答があった末に、彼が吐く台詞が、冒頭のものである。
「本当に満たされているやつなんて、この世にはいないんだよ」何のことはない言葉ではある。
だが、心に深く刺さった。
「満たされているやつなんていない」
確かに、そうかもしれない。みんな、何かで心の隙間を埋めている。
埋めていることを忘れてしまったような人もいる。
埋めていることを隠そうとする人もいる。
埋めていることを自覚しながら、その作業を続けている人もいる。
ココナラで出品されているクリエーターの皆さんには、僕と同様に刺さる言葉なのではないか。◆
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