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「私の足は踏まれた」が変な日本語である理由

 日本語では、「先生にほめられた」「プレゼントをあげたら、喜ばれた」「雨に降られて、大変だった」など、「られる」を使う受身文が非常に頻繁に使われます。日本語教育でも早い段階で日本語の受身文が指導項目に入ってきます。しかし、なかなか適切に使うのが難しく、日本語学習者が使う受身文の中にはしばしば不自然に感じられる使い方が見られます。  次の例1は私の作例ですが、受身文を使ってその日の嫌な出来事を述べている文にしてはどこか不自然さを感じませんか。 (例1) 今日は散々な一日だったよ。電車で私の足は踏まれるし、後輩に私のデータは消されるし。 「私の足は」の「は」がおかしいんじゃないか、「が」に変えたら、自然になるのでは?と思われますでしょうか。「私の足が踏まれるし、後輩に私のデータが消されるし」少し良くなった気もしますが、やはりしっくりこないように思います。 (例2) 今日は散々な一日だったよ。(私は)電車で足を踏まれるし、後輩にデータを消されるし。  例2のように、「私の足」「私のデータ」の「私」を主語にして、「私は足を踏まれた」「私は後輩にデータを消された」とすると私に起こった散々な出来事を述べる文として自然に感じられます。では、この違いはどこから来るのでしょうか。
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日本語教育能力検定試験 文法解説 ~格助詞の役割~

 格助詞とは、名詞の後ろにつく「が」「を」「に」「へ」「と」「から」などの形式のことで、格関係を表すものです。格関係とは、たとえば「私は毎朝コーヒーを飲む」という文で述語となる動詞「飲む」と前に来る名詞「コーヒー」の関係で、この場合は「コーヒー」が「飲む」という行為の対象という関係にあり、「を」がそれを表しているということになります。(ちなみに「私は」の「は」は格助詞ではなく係助詞と呼ばれます。その違いについては別の機会に解説します。)  日本語教育能力検定試験に以下のような問題があります。これは格助詞「と」の性質の違いが問題となっています。 下の1~5の中でト格の意味が他と性質が異なるものを一つ選べ。 1. ジョンとポールがテレビを見た。 2. ジョンとポールが楽器を弾いた。 3. ジョンとポールが歌を歌った。 4. ジョンとポールが酒を飲んだ。 5. ジョンとポールがけんかをした。    《令和2年度日本語教育能力検定試験 試験1-問題1(14)より引用》   この問題に答えるためには、格助詞が表す格関係に二つのタイプがあることを知る必要があります。
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名詞修飾節の二つのタイプ~日本語教師に必要な知識と分析力~

 名詞修飾節というのは、「奥さんが作ったお弁当」「雨が激しく降る音」のように「お弁当」や「音」という名詞を前の文が説明している構造のことです。この名詞修飾は、修飾される名詞とそれを修飾する前の文の関係によって、「内の関係」と「外の関係」という二つのタイプに分けられることがよく知られています。  日本語教育能力検定試験で出題された以下の問題を考えながら、この二つのタイプの違いについて考えていきましょう。(令和3年度日本語教育能力検定試験 試験1-問題3Dより一部抜粋) 問題:「内の関係」の名詞修飾節の例として最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。 1. お菓子を買ったおつりを置いてきてしまった。 2. 昨日駅前の宝石店に泥棒が入った事件が起こった。 3. 彼は子どもに算数を教えるアルバイトをしている。 4. 最近大学で広まっている噂はまったくのでたらめだ。  1~4の下線部はいずれも名詞修飾節だが、「内の関係」のタイプとして適当なものは一つしかないということになります。 ではまず、「内の関係」と「外の関係」の区別の仕方を押さえておきましょう。太字の部分はいずれも名詞修飾節です。 (例1)A.素敵な時計ですね。     B.これは誕生日に娘にもらった時計なんですよ。 (例2)A.山本さんが離婚した話、聞きましたか。     B.ええ。そうなんですか。知りませんでした。  例1の修飾する文「誕生日に娘にもらった」と修飾される名詞の「時計」の関係を考えると、「誕生日に娘に時計をもらった」の「時計を」の部分が文の外に出てきて名詞修飾節になっていることがわかります。つまり、修飾する
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