・今週のドル円の総括(2023年6月12日~16日)
今週のドル円は、140円台を回復し、一時141.50円まで上昇しました。米国のインフレ率が高水準で推移し、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げの時期を前倒しする可能性が高まったことが、ドル高・円安を後押ししました。一方、日本では日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決め、植田総裁が緩和継続姿勢を強調したことも、円売り圧力につながりました。
・米国のインフレ率が高止まり
今週のドル円相場に最も大きな影響を与えたのは、米国のインフレ率でした。13日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で5.0%と予想を上回る上昇となり、2008年9月以来の高水準となりました。また、コアCPI(食品・エネルギーを除く)も前年同月比で3.8%と予想を上回り、1992年5月以来の高水準となりました。原材料費や労働力不足などによるコスト上昇が価格に転嫁されていることが示唆されました。
この結果を受けて、市場ではFRBが利上げの時期を前倒しする可能性が高まりました。14日に開かれたFRBの金融政策決定会合(FOMC)では、利上げは見送られましたが、2023年までに2回の利上げを示唆する経済予測が公表されました。これは3月に公表された予測では利上げが見込まれていなかったことから、大きな変化と受け止められました。また、パウエル議長は記者会見で、資産買い入れ縮小について議論する時期が近づいていると述べました。
これらの発言は、市場のインフレ懸念や利上げ期待を強めることになり、ドル高・円安を促しました。ドル円は14日に140円台を回復し、15日には141.50円まで上昇しました。
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