ミライの答えがすぐわかる・考える力を失う恐怖
「知恵の果実」ある遥か未来の惑星、ココナウラ。青い海と緑の大地が広がり、技術は発展したものの、人々の心は荒んでいた。この星の知識はネットワークを通じて瞬時に答えが得られるが、そこで暮らす人々の実生活での判断力や創造力は失われつつあった。人々は知識の量を競い合い、記憶力を誇示することが価値とされていた。しかし、ココナウラには一つの伝説があった。それは「知恵の果実」と呼ばれる神秘的な存在についてである。この果実を手に入れた者は、どんな困難な状況にも対応できる知恵を授かると言われていた。しかし、その果実は「土壇場」でのみ現れる。すなわち、絶体絶命の危機に直面したとき、自らの知恵を試される瞬間にだけ、果実は姿を現すのだ。人々はその果実を求めて、知識の追求を続けた。そんなココナウラに、ヒゲネルという青年がいた。彼は常に本を読み、知識を蓄えることに情熱を注いでいたが、実際の生活では何ひとつ自信を持てずにいた。ある日、彼は古い書物の中で「知恵の果実」の伝説を読み、その存在に心を奪われた。「もしこの果実を手に入れたら、どんな状況でも対応できる自分になれる」と夢見るようになった。しかし、ヒゲネルの友人であるエリナは異なる考えを持っていた。彼女は知識よりも経験を重視しており、数々の困難な状況を切り抜けてきた。ヒゲネルはエリナに果実の話をすると、彼女は笑って言った。「果実を求めることは素晴らしいけれど、大事なのはそのいざという時の瞬間にどう行動するかだよ!知恵とは自然と身につくものだから。」ヒゲネルはその言葉に少し考え込んだが、果実のことが頭から離れなかった。彼は自らの知識を駆使して果実を探すことに
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