SNSで作品を出しつつ、クローズドなコミュニティでも限定コンテンツを出したい。
でも、様々な事情で個別に作品をつくることが難しい。
そこで、1つの作品からコンテンツを派生させる設計にすることで、全体的な制作コストを抑えながらも、オープンな場とクローズドな場での提供を両立させることができるようになります。
ご覧いただき、ありがとうございます。
長月夜永(ながづき よなが)です。
和風ファンタジーアーティストを名乗って、
◇浮世絵にインスパイアされた、シンプルでフラットなビンテージ感のある日本画風スタイルのイラスト
◇日本の音階である日本和声を主軸とした和風戦闘BGM
といった作品を制作しています。
今回は、現在取り組んでいるイラスト連作『FIRE EMBLEM 百鬼夜哮』のカバーイラストを制作する上での工夫や意図について書こうと思います。
先に、『FIRE EMBLEM 百鬼夜哮』について。
この作品は、「ファイアーエムブレム×和風世界観」をコンセプトにした二次創作の物語作品です。
浮世絵の連作——例えば、私が影響された浮世絵師・月岡芳年の『月百姿』のように、すべて一枚絵で物語をえがいています。
次の『FIRE EMBLEM 百鬼夜哮』(以下、FE百鬼夜哮)のイラストは、「連作の表紙」としてだけではなく、他にも様々な使い方を想定して制作しました。
例えば、こちら。
サムネイルやヘッダーなど、横長サイズの画像にしたり。
キャラクターごとにキービジュアルにしたり、画像のアスペクト比を9:16や9:20にすることでスマホ用の壁紙にしたり。
キャラクター単体で、サムネイルやPC用の壁紙にしたり。
各キャラクターと背景を個別に制作することで、表紙以外の使い方ができるように、という意図で制作を進めました。
どうして、複数の使い方ができるイラストとして設計したのか?
という話ですが。
最初に考えたのが、
SNSでの投稿と、私がディスコードで運営しているギャラリーサーバーでの作品展示で、どういった違いを出すか?
でした。
SNSで投稿した表紙イラストを、そのままギャラリーで展示しても、せっかくクローズドなギャラリーに参加していただいているメンバーにとって、特別感がありません。
かといって、SNS向けに、そしてギャラリー向けに、と別々で作品をつくれるほどの時間的余裕がありません。
FE百鬼夜哮は一枚絵の連作による、長編物語作品です。
例えば、長編の小説やマンガなどで、数年かかってやっと完結する物語作品がよくあります。
そのくらい長期的に取り組む連作だと想定しています。
次々と、新しいエピソードやシーンを制作しないと、いつまでも完結には辿り着きません。
だとすると、表紙だけに長い時間をかけるわけにはいきません。
各エピソードの1枚を制作する場合と同じくらいのコストで完成させる必要があります。
かつ、ギャラリーメンバーに向けて、ディスコードギャラリーだからこそ見ることのできる作品もつくりたい。
そこで、1つの作品で色々な使い方ができるようにしよう、という結論に至りました。
ちなみに、先ほどの各キャラクターごとのイラストは、SNSでは投稿していません。
この記事のために、使い方のサンプルとして作りました。
キャラクターごとのイラストは、ディスコードギャラリー限定の展示作品にしています。
これまで他にも、様々な用途で使えるイラストを制作することがありましたが。
今回のようにキャラクターを別のコンテンツに派生させる場合、ある程度条件があると感じました。
例えばキービジュアルとサムネイル——つまり、縦長と横長の両方で使うのであれば、用途をあらかじめ想定して、ポーズや構図を念入りに設計しておく必要があります。
実はFE百鬼夜哮の表紙を制作する前に、一枚絵からキャラクターイラストに派生させた実例があります。
それがこちらのイラスト。
リン(中央)を一枚絵から単独のイラストにできると思って、ディスコードギャラリー限定の展示作品にしました。
※この記事用のサンプルで、実際のデザインは異なります
この限定イラストをギャラリーに追加することを告知した際、リンが好きなメンバーから割と注目してもらえました。
昨今、クリエイター・アーティストとフォロワー・ファンとのコミュニケーションや、クローズドなコミュニティでの交流が重要視される傾向にあります。
SNSなどオープンな場での活動と、クローズドな場の運営を両立させる上で、1つの基本となる作品からコンテンツを派生させていく、という視点もあると、コストを抑えつつ、価値提供や活動そのものを続けていきやすくなるのではないか、と思います。
■おまけ
サブタイトルの「百鬼夜哮」と「Demons' Roar」の字は、直筆です。
日本語版は結構トライしたと思っています。
デジタルイラストはアナログよりも色々と手間を省けるのは確かですが。
自作した筆文字用のブラシを使って、一画一画を狙った形にするのはなかなか難しかったです。
それこそ、アナログにお習字をした方がいいんじゃないか? と思うくらいに。
アンドゥを使ってやり直すことはあっても、いったん書いたものを書き足したり消したりなどといった加工はしていません。
一通り書ききるまでずっと、意図通りの一筆にしようと、理想の一文字にしようという緊張感があったことを今でも憶えています。