第2章 第16話 家族信託で、家を「貸す・売る」ことはできる?

第2章 第16話 家族信託で、家を「貸す・売る」ことはできる?

記事
法律・税務・士業全般
第2章 ~家のこれからを考える~

前回まで、

「家の現在地」
「家族の現在地」
「考えられる選択肢」

を整理し、家族で方向性を考えてきました。

ここからは、

その方向性を実現するために、どんな方法があるのか?

を考えてみたいと思います。

最初は「家族信託」です。

「家族に任せる」だけでは足りない

例えば、

親は今、自宅で元気に暮らしている。

でも将来、自分で家の管理が難しくなったら、

「この家のことは子どもに任せたい」

と考えている。

家族の間でも、それは共有されている。

では、

それだけで、子どもが家を管理したり、貸したり、
売ったりできるのでしょうか?

家族だからといって、親名義の不動産を子どもが
自由に処分できるわけではありません。

そこで、本人に十分な判断能力があるうちに、
財産管理の仕組みを作る方法の一つが「信託」です。

親族間で利用されるものは、一般的に「家族信託」
などと呼ばれています。

法務省も2026年、認知症などに備えた財産管理の方法として、
親族間の信託について一般向けのパンフレットを公表しています。
※ 法務省の案内ページ

家族信託は「財産をあげる」ことではない

例えば、

父が持っている不動産を息子に託す。

父が「委託者」

息子が「受託者」

そして、その財産から利益を受ける父を
「受益者」とする。

このような形が考えられます。

息子が自分の財産として好きに使っていい、
という意味ではありません。

決められた信託の目的に従って管理します。

※ 不動産の名義は受託者である息子に移りますが、
息子自身のための財産になるわけではありません。

つまり、

「財産そのものをあげる」のではなく、
「目的を決めて、管理を託す」。

ここが、生前贈与との大きな違いです。

では、貸したり売ったりできるのか?

ここは、不動産を考えるうえで重要だと思います。

結論から言えば、

信託契約の内容や目的、受託者に与えられた権限によっては、
受託者が家を管理し、貸したり、売却したりすることも可能です。

ただし、

「家族信託をすれば、何でも自由にできる」

という意味ではありません。

何のために信託するのか?

どの財産を信託するのか?

誰を受託者にするのか?

そして、

管理だけを任せるのか?
賃貸も出来るようにするのか?
必要になれば売却できるようにするのか?

それらをあらかじめ考えて、仕組みを作っておく
必要があります。

「売る制度」ではなく、「将来に備える仕組み」

第14話では、

住み続ける。

貸す。

売る。

残す。

という選択肢を考えました。

家族信託は、その中から何か一つを選ぶ制度ではありません。

むしろ、

将来、本人の判断能力が低下したとしても、その方向性を
実現するための財産管理を誰が担うのか?

そこを元気なうちに準備する方法の一つです。

だからこそ、

「家族信託をした方がいいですか?」

から始めるのではなく、

「この家を、これからどうしたいですか?」

から考える。

私は、この順番が大切だと思っています。

ところで、家族信託とは異なる仕組みで、本人の財産や
生活を守る制度もあります。

次回は、

成年後見制度。

家族信託とは何が違うのか?

そして成年後見人が付いた場合、家を貸したり
売ったりすることはできるのか?

そこを整理してみたいと思います。



了
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