「トランジット」は「通過」という意味
トランジット(transit)は「通過」「移動」という意味。空港の乗り継ぎを「トランジット」と呼ぶのと同じ言葉です。
占星術では、いま現在、移動している天体たちのことを指します。そしてその配置を一枚の円に描いたものが、トランジットチャートです。
ネイタルが「生まれた日の記念写真」なら、トランジットは「今日のライブ映像」。こちらは毎日、毎時間、少しずつ変わっていきます。
天体ごとに「歩く速さ」が違う
10の天体は、みんな同じスピードで動いているわけではありません。時計の針にたとえるとイメージしやすくなります。
秒針タイプ:月 約2日半で次の星座へ。気分や体調など、日々の小さな波を表します。
分針タイプ:太陽・水星・金星・火星 数週間〜2か月ほどで星座を移動。1か月単位の流れや、身近な出来事に関わります。
時針タイプ:木星・土星 木星は約1年、土星は約2年半ひとつの星座に滞在。数年単位の大きなテーマを運んできます。
カレンダータイプ:天王星・海王星・冥王星 ひとつの星座に7年〜20年以上とどまることも。時代の空気や、人生の大きな転換期に関わります。
ゆっくり動く天体ほど、影響は長く、深く出やすい。これがトランジットを読むときの基本ルールです。
トランジットは「外からやってくる影響」
ネイタルチャートが「自分の内側」を描くのに対して、トランジットチャートは外側からやってくる影響を表します。
たとえば、まわりの人、学校や職場、住んでいる地域、そして国や時代の空気。私たちはいつも、そうした外の流れの中で暮らしていますよね。
わかりやすくたとえるなら、トランジットは天気です。
晴れの日もあれば、雨の日も、台風の日もある。天気は自分では選べません。でも、天気予報を知っていれば、傘を持って出かけたり、晴れの日に洗濯をまとめたりできる。
トランジットを読むことは、人生の天気予報を見ることに近いんです。
雑誌の「今月の運勢」の正体
雑誌やWebでよく見る「今月の運勢」や「ラッキーアイテム」。
あれは主に、トランジットの天体の動きを「運気がいいか悪いか」という視点で読み解いたものです。
つまり、私たちが「占い」と聞いてイメージするものの多くは、トランジットの、さらにその一部分。占星術全体からすると、実はごく限られた使い方にすぎないんです。
本当のおもしろさは「重ね読み」
トランジットの真価が発揮されるのは、ネイタルチャートと重ねて読んだときです。
たとえば、こんな読み方ができます。
今の木星が、生まれたときの金星の上を通過中 → 楽しいことや人とのご縁に追い風が吹きやすい時期
今の土星が、生まれたときと同じ場所に戻ってくる(29歳前後)→ 「大人としての自分」を見直すタイミング。これは「サターンリターン」と呼ばれています
同じ「雨」でも、傘を持っている人と持っていない人では受け取り方が違うように、同じトランジットでもネイタルチャートによって現れ方は人それぞれです。
まとめ
・トランジットチャート=「今この瞬間」の空を描いたホロスコープ
・天体ごとに速さが違い、ゆっくりな天体ほど影響は長く深い
・ネイタルが「内側」なら、トランジットは「外からやってくる影響」=人生の天気
・いわゆる「運勢」は、トランジットの読み方のほんの一部
・ネイタルと重ねて読むと、「今の自分にとっての意味」が見えてくる