~心の姿勢を変えることで、本当の平和を取り戻す知恵~
<はじめに>
私たちは日々、さまざまな出来事に心を揺さぶられます。
病気、人間関係のトラブル、喪失、仕事のストレス……外の世界で起きていることが、直接自分の不安や怒りの原因だと感じやすいものです。
しかし、アティテューディナル・ヒーリング
(Attitudinal Healing、以下AH)は、まったく違う視点を提案します。
「私たちを苦しめているのは、出来事そのものではなく、
それに対する自分の思考と態度(attitude)である」
この考え方に基づき、心の平和を唯一の目標に据え、恐れを手放し、愛を選ぶプロセスがAHです。
宗教ではありません。特定の信念を押し付けるものでもありません。
誰でも、どんな状況でも実践できる、実践的でスピリチュアルな知恵です。
<アティテューディナル・ヒーリングの核心>
AHの基本的な信念はシンプルです。
私たちの本質は愛である
健康とは「心の平和」である
癒しとは「恐れを手放すこと」である
私たちはいつでも、愛を選ぶか恐れを選ぶかを自分で決められる
外側の状況を変えようとするのではなく、自分自身の心の姿勢を変えることに焦点を当てます。
誰かを変えようとせず、アドバイスをせず、ただ自分の態度を癒していく。
それが結果として、周囲との関係性や自分の生き方にも大きな変化をもたらします。
<12の原則>
AHの実践の中心となるのが、次の12の原則です。
これらは「ルール」ではなく、「道具」として使われます。
・私たちの本質は愛である
・健康とは心の平和であり、癒しとは恐れを手放すことである
・愛を与えることと受け取ることは同じである
・私たちは過去も未来も手放すことができる
・今この瞬間が唯一の時であり、すべての瞬間は与えるためにある
・私たちは裁くのではなく許すことによって、自分自身と他者を愛することを学べる
・私たちは欠点探しではなく、愛を見つける者になれる
・外側で何が起きていても、内側で平和を選ぶことができる
・私たちは互いに生徒であり教師である
・私たちはバラバラの存在ではなく、全体に焦点を当てることができる
・愛は永遠なので、死を恐れる必要はない
・私たちは常に、自分や他者を「愛を差し出している存在」か「愛を求めて助けを求めている存在」として見ることができる
特に1番目の「私たちの本質は愛である」が、すべての原則の土台となっています。
<どのように実践するのか>
AHは、個人で日常的に行うことも、グループで実践することもできます。
個人での実践としては、
・「今、私は恐れを選んでいるのか、愛を選んでいるのか?」と自分に問いかける
・過去の痛みや未来への不安を手放し、「今ここ」に意識を戻す
・判断や非難をやめ、許すことを意識する
などがあります。
誰かの話を聴くとき、私たちはつい、何かを教えたり、解決策を考えたり、励ましたりしたくなるものです。
もちろん、それが助けになることもあります。
けれど、ときには、答えを出すことよりも先に、ただ自分の言葉を口にしてみることが大切なのかもしれません。
まだ形になっていない夢。
人に話したら笑われるかもしれないと思って、胸の内にしまっている願い。
自分でも、こんなことを望んでいいのだろうかと迷っている未来。
そうした思いを、すぐに評価されたり、現実的かどうかを判定されたりすることなく、いったん言葉にしてみる。
話しているうちに、自分が本当に望んでいたことに気づくかもしれません。あるいは、まだ何もはっきりしないままかもしれません。
それでも、急いで結論を出さなくていい。誰かに正解を決めてもらわなくてもいい。
自分の思いを、自分自身がもう一度、聴いてみる。
そんな時間も、心の平和に近づくための、ひとつのきっかけになるのではないでしょうか。
<なぜ今、AHが役立つのか>
現代は情報過多で、比較や批判が日常化し、不安や孤独感が増えやすい時代です。
AHは、そんな時代に「外側に答えを探すのではなく、自分の心に戻る」道を示してくれます。
人間関係の摩擦を減らしたいとき
病気や喪失と向き合うとき
自分を責め続けてしまうとき
本当の意味で「心の平和」を感じたいとき
状況が変わらなくても、自分の態度を変えることで、体験する世界は確かに変わります。
<おわりに>
アティテューディナル・ヒーリングは、特別な才能や知識を必要としません。
必要なのは、「心の平和を選びたい」という意思だけです。
ジャンポルスキー博士の言葉を借りれば、
「今この瞬間に、あなたは平和を選ぶことができる」
まずは一つの原則を、今日から意識してみてください。
「今、恐れではなく愛を選ぼう」と、そっと自分に語りかけるだけで十分です。
あなたの本質は愛であり、いつでもそこに戻ることができます。
<起源と歴史>
アティテューディナル・ヒーリングは、1975年にアメリカの精神科医ジェラルド・G・ジャンポルスキー博士(Jerry Jampolsky)によって始められました。
当初は、難病を抱える子どもたちとその家族を支えるためのサポートグループとしてスタートしました。
ジャンポルスキー博士は『A Course in Miracles(奇跡のコース)』の教えに深く影響を受け、そこから宗教色を極力排し、誰もが使える形にまとめ直しました。
代表的な著書に『Love Is Letting Go of Fear(愛は恐れを手放すこと)』や『Teach Only Love(ただ愛を教えよ)』などがあります。
現在では世界各地にセンターやグループが広がり、日本でもNPO法人日本アティテューディナルヒーリング協会(JAHA)などが活動しています。