満室にできない焦りと、空室が目立つロビーの現実
訪日外国人観光客の急増により、観光業界が空前の賑わいを見せる昨今。私が舵を取る客室40室規模の和モダンホテルにも、連日海外からの宿泊予約や問い合わせが殺到しています。
しかし、華やかな表面上の数字とは裏腹に、私の心は日々重く冷え切っていました。
全45室のうち、実際に販売できているのは27室のみ。稼働率は6割を切る状態です。
「お客様を迎え入れたくても、対応する手が足りない」
設備や部屋の問題ではありません。接客や清掃、食事の提供を担う「現場のスタッフ」が決定的に不足していたのです。
24時間シフトの重圧と連鎖退職のリスク
過酷だった数年前の落ち込み期に、生き残るため人員削減を行いました。しかし需要が一気に回復した今、離れてしまった熟練のスタッフたちが戻ってくることはありませんでした。
朝の朝食設営からフロント業務、夕食配膳までこなすマルチタスク運用
季節ごとの集客の波に伴う不規則なシフト編成
24時間誰かが常駐しなければならない現場ならではの負荷
先日も、期待していた若手社員から体調不良を理由に退職の申し出がありました。これ以上現場のメンバーに無理をさせれば、さらなる連鎖退職を引き起こすのは目に見えています。
結果として、穴埋めに走るのは経営者である自分自身と妻でした。日中は資金繰りや業者交渉に追われ、夕方からは配膳に入り、夜はナイトフロントとしてカウンターに立つ日々が続きました。
深夜ガレージの静寂だけが唯一の救い
深夜1時を回る頃、誰もいないガレージで古いバイクのパーツを黙々と磨くのが日課になっていました。ラジオの音声を背景に工具を握っている間だけが、張り詰めた神経を緩められる時間でした。
作業に没頭している間だけは、頭にこびりつく「翌日のシフトの空欄」を忘れることができたのです。
「このままでは本当に限界が来る……」
八角形のレンチを置き、スマホで切実な思いを込めて検索窓に打ち込みました。
「ホテル 人手不足 採用 対策」
表示される検索結果を辿る中で、これまでに見たことのない名称が目に飛び込んできました。
「求人サイト ルミオ(Lumio)」
大手求人広告やハローワークとは異なるそのサービス名に、私は言い知れぬ予感を覚えました。