訪問看護の開業資金:報酬の入金が約2か月遅れる前提で、運転資金を見積もる

訪問看護の開業資金:報酬の入金が約2か月遅れる前提で、運転資金を見積もる

記事
ビジネス・マーケティング
訪問看護ステーションの開業準備で、見落とされやすいのが「報酬が入金されるまでの期間」です。
開業直後は、サービスを提供していても、しばらくお金が入ってきません。この記事では、その仕組みと、運転資金の見積もり方を整理します。

■ 報酬が入金されるのは、サービスを提供した月の約2か月後
介護保険・医療保険の報酬は、次の流れで支払われます。

・介護保険:サービスを提供した月の翌月10日までに国保連に請求し、翌々月の末ごろに入金
・医療保険(訪問看護療養費):翌月10日までに国保連・支払基金に請求し、翌々月の下旬ごろに入金

たとえば4月に提供したサービスの報酬は、5月10日までに請求し、6月の下旬ごろに入金されます。
一方で、看護師の給与や家賃は、開業した月から毎月出ていきます。

blog_img1_flow.jpg


■ 「帳簿の赤字」より「手元の資金の減り」のほうが大きい
わかりやすくするため、次の条件で計算してみます(数字は説明のための仮のものです)。

・毎月の費用(人件費・家賃など):200万円
・サービスを提供した分の報酬:1か月目60万円 → 2か月目100万円 → 3か月目140万円 → 4か月目170万円 → 5か月目200万円 → 6か月目220万円
・報酬は、すべて2か月後に入金されるものとする

blog_img2_table.jpg


帳簿上の赤字は最大で約330万円ですが、手元の資金は6か月で約730万円減っています。
差の約420万円は、「提供したが、まだ入金されていない報酬」(5・6か月目の提供分)です。
損益だけを見て開業資金を決めると、資金が足りなくなるおそれがあります。

■ 見積もりのときに確かめたいこと
1. 月ごとの資金残高を計算し、「残高が最も少なくなる月と金額」を確かめる
2. 利用者の増え方は、紹介元(居宅介護支援事業所・病院・診療所)ごとの見込みから積み上げる
3. 請求の不備による返戻や月遅れ請求があると、入金はさらに遅れる。余裕を持たせる
4. 利用者負担分(1〜3割)は、利用者から集金する時期が別になる
5. 借入の返済が始まる時期(据置期間の終わり)も、資金残高に含めて確かめる

日本政策金融公庫などの創業融資では、設備資金だけでなく、こうした運転資金の根拠も説明できると、計画が伝わりやすくなります。

■ 注意
報酬の請求・支払いの日程は、請求先や地域、請求の状況によって異なります。最新の情報は、所管の国保連・支払基金、専門家にご確認ください。本記事は一般的な考え方の整理であり、個別の経営・税務の助言ではありません。

■ 月次の資金繰りを計算できるテンプレート
介護保険・医療保険の報酬と、約2か月の入金の遅れを反映して、36か月の月次の収支と資金残高を計算するExcelのテンプレートを出品しています。事業計画書(PowerPoint)とのセットです。

06.png


サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す