六本木の店で店長をしていたころ、月末に必ずやる作業がありました。
決済会社から届く入金明細と、レジの売上。この2つを並べて、数字が合っているかを見る。合わなければ原因を探す。店が2つあったので、これを2回やります。
1回あたり、だいたい2時間。終わるころには何も考えたくなくなっていました。
合っているように見える、という状態
この作業がやっかいなのは、「合っていない」が分かりやすく出てこないことです。
入金額は、売上からそのまま引かれた金額では届きません。決済ブランドごとに手数料率が違って、締め日も違う。返品があれば翌月に相殺されます。月をまたぐ取引もある。
だから明細を見ても、たいていの行は「まあこんなものか」に見えます。ぴったり合う行のほうが珍しい。
そうすると、どこかで線を引くことになります。100円ズレていても気にしない。1,000円でも、まあ返品の戻しかもしれない。そうやって見ているうちに、全部が「まあこんなものか」になっていく。
実際、私がそうでした。
気づいたきっかけ
店を離れてから、自分用に数字を並べ直す道具を作りました。入金明細の1行ごとに、対象売上と手数料と入金額が計算どおりかを見るだけのものです。
それで過去の明細を入れてみたら、あるブランドの実効手数料率が4.2%になっていました。契約は3.74%です。
差額は、その月だけで3,680円。
金額としては小さいです。ただ、これが何か月続いていたのかは分かりません。当時の私は、その行を「まあこんなものか」で通していたからです。
なぜ目で見ると気づけないのか
あとから考えると、理由ははっきりしています。
目で見るとき、人は金額の大きさを見ます。1,100,000円の行と、500,000円の行。大きいほうを念入りに見る。
でも手数料の取られすぎは、率のズレとして出てきます。率は、金額の横に書いてありません。自分で割り算をしないと出てこない。
明細が50行あったとして、50回の割り算を毎月やっている人は、たぶんいません。私もやっていませんでした。
PayPayの行でも同じことが起きていました。対象売上から手数料を引いた金額と、実際の入金額が1,100円合わない。明細には書かれていない控除が乗っていたからですが、これも引き算をしないと見えません。
手作業が悪いわけではない
誤解のないように書いておくと、目で見る作業が雑なわけではないんです。
むしろ逆で、人は「おかしいかもしれない」と思った行はちゃんと調べます。問題は、おかしいと思えない形で届くことのほうです。
率のズレも、書かれていない控除も、見た目は普通の行です。引っかかりようがない。
だから、気をつけて見る回数を増やしても、あまり変わりません。見るものを変えないと変わらない。
今やっていること
今は、この手の「毎月くりかえす突き合わせ」を道具にする仕事をしています。
入金と明細、請求と実績、ETC明細と運行日報。業種は違っても、形はだいたい同じです。2つの表があって、本来一致するはずの列があって、合わない行を探している。
作るのは、ブラウザで開くだけのファイルです。インストールは要りません。表を貼り付けると、合わない行だけが色付きで出て、なぜ合わないかの説明が付きます。入れたデータは外に送られない作りにしています。取引先や売上の数字を扱うので、そこは外せません。
購入前に、今お使いのファイルの見出し行(1行目)と、やりたいことを送っていただければ、できるかどうかと金額をお答えします。できないときは、できないとお伝えします。
最後に1つだけ
もしこの記事を読んで、自分のところも見てみようと思ったなら、まず実効手数料率だけ出してみてください。手数料 ÷ 対象売上です。それを契約書の率と比べる。
それだけで、3,680円の行は見つかります。私がそうでした。