英検のライティングを指導していると、「この答案は何点くらいですか」とよく聞かれます。
正直に申し上げると、その質問に正確に答えられる人はいません。英検協会は答案ごとの得点を公表しておらず、各点数の細かい基準も公開していないからです。
ただ、公式が示している情報だけでも、かなりのことが分かります。今回はそれを整理してみました。
私は個別指導塾で英語を教えていて、英検の答案を見る機会が多くあります。ただ、以下は「指導者としての経験」ではなく、公式資料に書いてあることをそのまま整理したものです。私の意見を書いた箇所は、そう分かるようにしました。
■ 1. 配点は級によって違います
まずここが誤解されやすいところです。
・3級 各観点0〜4点/合計16点満点/語数の目安 25〜35語
・準2級 各観点0〜4点/合計16点満点/語数の目安 50〜60語
・2級 各観点0〜4点/合計16点満点/語数の目安 80〜100語
・準1級 各観点0〜4点/合計16点満点/語数の目安 120〜150語
・1級 各観点0〜8点/合計32点満点/語数の目安 200〜240語
32点満点なのは1級だけで、それ以外はすべて16点満点です。
ネット上では級を区別せずに「32点満点」と書かれていることがあり、私も以前、自分の教材で間違えていました。お恥ずかしい限りです。
なお2024年度から、2級と準1級には英文要約の問題が加わりました。この記事では意見論述(従来の英作文)だけを扱います。
■ 2. 採点の観点は4つ
英検協会が公開している定義を、そのまま引用します。
・内容 … 課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか
・構成 … 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか
・語彙 … 課題に相応しい語彙を正しく使えているか
・文法 … 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか
配点は4観点とも同じです。
ただし実質的には「内容」が最も重いと私は考えています。理由は次の項目です。
■ 3. すべての観点が0点になる場合がある
これは公式にはっきり書かれています。
「TOPICに示された問いの答えになっていない場合や、全く関係のないTOPICについて書かれていると判断された場合は、すべての観点で0点と採点されることがあります」
つまり、どれだけ美しい英語を書いても、設問に答えていなければすべて0点になりうるということです。
語彙や文法を心配する前に、まず「聞かれたことに答えているか」。ここだけは確認してから提出したいところです。
■ 4. 公式が挙げている減点の例
英検協会は、減点の対象となる具体例をいくつか示しています。これも公式の記述に沿って紹介します。
◎ 英語ではない語をそのまま使う
seifuku のように、日本語をそのままローマ字で書いてしまう場合です。日本語が分からない人には伝わらないため、減点の対象になります。
一方で salaryman who work for the company のように、説明を添えていれば減点されない、とも書かれています。
書けない単語が出てきたときに、知っている言葉で説明する力。これは実際の英語でも役に立つ力だと思います。
◎ 意見と矛盾する理由を書く
たとえば「カジュアルな服装を許す会社が増えると思う」と述べたあとで、「スーツのほうがフォーマルに見えるので良い」と書いてしまう場合です。
このとき、2つ目の理由は理由としてカウントされません。
書いているうちに話がずれてしまうのは、よくあることだと思います。書き終えたあとに、主張と理由が同じ方向を向いているか読み返す習慣をつけたいところです。
◎ 理由に説明や具体例がない
「見た目がフォーマルでなくなるから」だけで止めてしまう場合です。
なぜそれがいけないのかまで書かないと、理由として十分に評価されません。「安いから」も同様で、安いと何がどう良いのかまで書く必要があります。
◎ 関係のない内容が混ざる
TOPICと関係のない内容や、他の部分と矛盾する内容が入っていると、構成の観点で減点されることがあります。
■ 5. 語数について
語数の目安を大きく下回った答案が、「内容」の観点で低く評価されている例を見たことがあります。これは公式資料ではなく、指導者が公開している採点例で見かけたものなので、あくまで参考としてご覧ください。
興味深いのは、語数が足りないときに下がるのが「語彙」でも「文法」でもなく「内容」だという点です。
言われてみれば当然で、短いということは「理由の説明が足りていない」ということだからです。
語数が足りないと感じたら、新しい理由を足すより、すでに書いた理由に具体例を1つ添えるほうが、内容としては自然に伸びます。
■ 6. 調べても分からなかったこと
誠実にお伝えしておきたいのですが、次のことは公開されていません。
・各観点の4点と3点を分ける具体的な線引き
・答案ごとの実際の得点
・素点からCSEスコアへの換算表(回ごとに調整されるため公表されない)
ですので、添削で点数をお伝えする場合も、それは公式基準に照らした見立てであって、実際の得点を言い当てるものではありません。
「この答案は◯点です」と断言している情報を見かけたら、その根拠がどこにあるのかを確かめたほうがよいと思います。私自身、そう名乗れるだけの根拠を持っていません。
■ 7. まとめ
・配点 … 1級のみ32点満点、他は16点満点
・観点 … 内容・構成・語彙・文法の4つ
・最優先 … 設問に答えること(答えていないと全観点0点もありうる)
・語数不足 … 「内容」の評価に響く
・理由 … 述べるだけでなく、なぜそう言えるかまで書く
英検のライティングは、書き方の型を守るだけで取れる点がかなりあります。逆に、型を知らないまま英語力だけで押し切ろうとすると、実力のわりに伸びないことが多いように感じています。
この記事が、どこを直せばいいか考える手がかりになれば幸いです。
■ 出典
・公益財団法人 日本英語検定協会「ライティングテスト(英作文)の採点に関する観点および注意点(1級・準1級・2級)」
・旺文社 英検過去問アプリ 級別解説(2級・準1級ライティング)
配点・語数は2026年9月時点で確認したものです。制度は変わることがありますので、受験前に必ず公式でご確認ください。
私は英検1級・TOEFL iBT 94・TOEIC 920 を取得しており、現在も個別指導塾で講師をしています(指導歴3年)。
英作文の添削も承っておりますので、もしよろしければプロフィールからご覧ください。