好きなのは、自分だけではないのかもしれない。目が合ったときの間や、返ってくる言葉の温度から、そう感じる瞬間はあるのに、確かめる手立てがない。両片思いという言葉は、そのどちらとも決まらないままの時間に付けられた呼び名なのだと思います。
ここでは、そういう相手の気持ちを占って杖の2が出たときの読み方を、月詠ソラが書いてみます。
もしあなたが、
・お互いに好きなのではと感じる場面があるのに、どちらからも踏み込まないまま時間が過ぎている
・両片思いかもしれない相手の気持ちを占ったら、杖の2が出た
・「2」という数字に二人の姿を重ねてうれしくなる一方で、それだけで受け取っていいのか決めきれずにいる
・「迷いのカード」と書かれた解説を見て、あの人はまだ決めかねている、つまり脈が薄いのではと沈んでしまった
当てはまるものがあれば、この一枚を、もう少しだけゆっくり見てみませんか。
■「2」の数字に、二人を重ねたくなるとき
杖の2(ワンドの2)は、これから外へ出ていく前に、展望を描いている段階の札と説明されることがあります。恋愛の解説では、そこから「二人の気持ちがそろい始めている」「両想いが近い」と書かれていることもあって、両片思いの相手を占ってこの絵が目の前に置かれたとき、2という数字がそのまま二人のことに見えてくるのも、無理のないことです。
反対に、「決断の前で迷っている人」の札として読まれることもあります。そちらに目が行くと、あの人はまだ決めかねている、気持ちが固まっていない、と受け取ってしまうかもしれません。
どちらの読み方も、絵の中にいる人を数える前に、言葉のほうから意味を決めにいっているところがあるのかなと思います。
■ 城壁の上にいるのは、一人だけ
絵を見てみます。灰色の石の城壁の上に、赤い帽子をかぶった人が一人、立っています。暗い赤のマントをはおり、横顔は絵の左を向いています。片手には緑と赤で塗られた小さな球を持ち、顔の前あたりに掲げています。もう片方の手は、左に立つ一本の杖を握っています。
杖はもう一本あります。絵の右側、城壁の際にまっすぐ立っていて、輪の形の留め具で壁に留められています。こちらの杖には、誰の手も触れていません。二本とも、上のほうに小さな葉が出ています。
壁の向こうには青い水辺と緑の野が広がり、右の壁際の先には赤い屋根がのぞいています。左手前の壁面には、白い花と赤い花が斜めに交わる紋が描かれています。背景の空は、灰色にくすんでいます。
数字は2でも、描かれている人は一人です。もう一人の姿も、二人が向き合う場面も、この絵には出てきません。その人は壁の内側に立ったまま、まだ城壁を降りてはいません。
■ 手の中の球と、壁際の杖を視る
この札で色を視ていく場所は、二つあります。人物が顔の前に掲げた小さな球と、誰の手にも握られていない壁際の杖です。
球に視える、紅掛花色(べにかけはないろ)
藍で染めた花色の上に、紅を重ねて染めた、少し紫がかった青です。表は落ち着いた青のままで、その下に紅がうすく通っています。
あの人の球にこの色がにじんで視えるなら、外に見せている顔は静かでも、手の中で思い描いている先にだけ、ほのかな温度が混じっているのかもしれません。ただ、その球の中にあなたがいるかどうかは、色の濃さとは別の話になります。
壁際の杖に視える、代赭(たいしゃ)
赤土から採る、くすんだ赤茶の色です。中国の代州で採れる赤土が質のよいものとされたことから、この名で呼ばれているそうです。
もう一本の杖にこの色が差して視えるときは、気持ちが弱いわけではなく、葉も出ているのに、本人の手ではなく留め具に支えられて、据えられた場所に立ったままでいる、ということなのかもしれません。まだ一度も持ち出されていない気持ち、と言いかえてもいいと思います。それがいつか手に取られるのか、壁際にあり続けるのかは、ここからはまだ読みとれません。
■ 相手の位置と、自分の位置と
あの人の気持ちを問うて杖の2が出たのなら、城壁の上に立つ一人が、あの人の姿です。手の中に何かを思い描いていて、一本の杖は握り、もう一本は壁際に置いたままにしている。そういう途中の人として描かれています。
けれど、球の中の景色にあなたがいるのか、あの人が見つめている先が恋のことなのか、別の何かなのかは、この札一枚からは読み分けられません。両片思いかどうかを、この一枚が決めてくれるわけではないのだと思います。一緒に引いたほかのカードに、あなたにつながる絵が出ているかどうかで、読み方は変わってきます。
占ったのが自分の気持ちだったなら、城壁の上の人はあなた自身です。片手で握っている想いと、壁際に立てたままの想いと、その両方を持っている。どちらも葉をつけていて、枯れてはいません。
あの人の手の中の球に、いまどんな色がにじんでいるのか。そこを一人ずつ視ていくのが、わたしの鑑定です。案内は、この記事のおしまいに置いておきますね。
■ 答えの出ないあいだに
両片思いの時間は、相手の何気ない言葉を何度も読み返したり、自分に都合のいい読み方をしていないかと疑ったりして、心が行ったり来たりする時間でもあると思います。
杖の2が、答えまで先に描いてくれているわけではありません。描かれているのは、外を見ている人であって、外へ出ていった人ではありません。それでも、球を持つ手も、杖を握る手も、ゆるんではいません。城壁を降りる日が来るのかどうかは、この一枚の範囲の外にあります。
まだ途中にいることを、あなたが急いで終わらせなくてもいいのだと思います。球を手にしたまま景色を見ている人の横顔くらいの静けさで、あの人のことを想っていられたら、少し息がしやすくなるのかもしれません。
━━━ 壁の内側から見える景色 ━━━
城壁の上の人が球の中に何を思い描いているのかは、横顔を眺めているだけでは、なかなか分かりません。
鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」では、お互いに想っているのか確かめられずにいるお相手が、いまあなたへどんな想いを抱いているのかを、カードに浮かぶ色で視ていきます。両片思いなのかを白黒で判定するものではなく、あの人のいまの気持ちの色と濃さを、視えたままお伝えする鑑定です。鑑定書は1,500字以上で、テキストでお届けしています。
気持ちが少し動いた日も、何も変わらない日も、どちらでもかまいません。思い出したときに、またここへ寄ってくださいね。
月詠ソラ