あの日、言葉の端に気持ちがにじんでしまった。そう気づいたのは、少しあとになってからでした。それ以来、あの人の返事の温度がほんの少し違って感じられる。気のせいなのか、気づかれたからなのか、自分ではもう判断がつかない。
好きバレと呼ばれているのは、たぶんそういう時間のことです。今日は、その相手の気持ちを占って剣のクイーンが出たときの絵の見方を、月詠ソラが順にたどっていきます。
もしあなたが、
・好意が相手に伝わってしまった、あるいは伝わったかもしれない出来事があった
・それからずっと、あの人が自分をどう見ているのかが分からなくなっている
・好きバレした相手の気持ちを占ったら、剣のクイーンが出た
・「冷たい」「見抜く人」といった解説を読んで、引かれてしまったのではと胸がひやりとした
ひとつでも重なるなら、ここから先は、カードの絵そのものを一緒に見てもらえたらと思います。
■ 冷たい札、と言われることについて
剣のクイーン(ソードのクイーン)は、冷静さや鋭い判断力をあらわす札として説明されています。恋愛の読み方になると、そこから「感情より理性」「距離を置く人」といった言葉が続くこともあります。
好きバレしたあとにこの札を引くと、その言葉はまっすぐ胸に入ってきます。気持ちを見抜かれて、剣で線を引かれた。そう読めてしまうのも、無理もないことです。
もうひとつ、「知的で自立した女性」の札と紹介されることもあって、そこから相手は女性だとか、ライバルがいるとかへ話を広げる解説も見かけます。
ただ、二つの読み方はどちらも、絵の中にあるものを一度通り過ぎて、言葉のほうで先に結論を置いてしまっている気がします。
■ 雲を背にした玉座
では、絵のほうへ。灰色の石でできた玉座に、金の冠をかぶった女王が横向きに座っています。顔は絵の右を向いています。
その手にあるのは剣で、刃先を上にして、まっすぐ立てて握っています。振り上げてもいないし、誰かに向けてもいません。もう片方の手は前のほうへ差し出され、指をのばしてひらかれています。その手首からは、房飾りがひとつ下がっています。
衣は灰色がかった白で、肩から玉座の脇にかけて、白い雲の柄が入った青い布がかかっています。玉座の台座には、子どもの顔の彫り物。
玉座のうしろには、白い雲が湧いています。空は明るい水色で、左の高いところに小さな鳥が一羽だけ。左下の地面には、黒っぽい木立があります。
剣を持った人が描かれていても、何かを切りつけている場面ではありません。絵が見せてくれるのは、ここまでです。
■ ひらいた手に白藍、立てた剣に湊鼠
剣のクイーンを相手の気持ちとして視るとき、わたしが目を留めるのは、前へ差し出された手と、まっすぐ立てられた剣です。
手に視える、白藍(しろあい)
藍でごく浅く染めた、白に近い水色です。淡いのに、それでもたしかに藍の側にいます。
あの人のひらいた手にこの色が淡くのぞいているなら、伝わってきた気持ちを、押し返さずにいったん手のひらで受けている。そういう段階にいるのかもしれません。けれど、受けていることと、同じ気持ちで応えることは、また別の話です。この淡さがこの先どこまで染まっていくのかは、ここからは読みとれません。
剣に視える、湊鼠(みなとねず)
青みを帯びた、少しくすんだ鼠色です。冷たく見えても、灰色の奥にうっすらと水の気配が残っています。
立てた剣にこの色がかかっているなら、それは気持ちを切り捨てたのではなく、知ったうえで、自分の中でまっすぐ考えている途中なのだと受けとっています。まだ答えを出していない剣、と言いかえることもできます。その考えがあなたにやわらかい方へ傾くのかどうかまでは、この色は教えてくれません。
■ 女王の姿で描かれていても
宮廷札の人物が女王だからといって、あの人が女性だということにはなりません。相手の位置に出た剣のクイーンは、性別ではなく、いまのあの人の在り方を映していると読みます。ライバルの影も、この絵のどこにも見当たりません。
あの人の気持ちを尋ねてこの札が出たなら、描かれているのは、気づいたことを曖昧にせず、かといって振り下ろしもせず、剣を立てて座っている人です。好きバレのあとの沈黙や、少し変わった返事の温度が、そのまま拒まれたしるしだとは、この札だけでは言えません。反対に、受け入れてもらえた合図だと読むのも、まだ先走りになります。隣に並んだ札に、あなたの方を向いた絵があるかないかで、受けとり方は変わってきます。
自分の気持ちを占ってこの札が出たのなら、女王はあなた自身です。知られてしまったことに慌てるより先に、自分の気持ちを剣のようにまっすぐ持っている。そういう姿として受けとることもできる札です。
あの人の手のひらに差している藍がどのくらいの濃さなのかは、カードを並べてみてはじめて視えてきます。鑑定の案内は、この記事の終わりにまとめました。
■ 気づかれたかもしれない日から
好きバレしたあとは、自分の言葉や振る舞いを何度も思い返して、あそこで気づかれた、いやまだ大丈夫、と心が何度も揺れ戻る時間なのでしょう。
剣のクイーンは、その答えを先回りして渡してくれる札ではありません。描かれているのは、湧いてくる雲を背にして、静かに座っている人です。その横顔は、まだ考えの途中にいるようにも視えます。
知られてしまったことは取り消せなくても、それが終わりの合図とは限らないのだと思います。気持ちが伝わったことを、失敗として数えなくてもいい。そう思えたら、あの人のことを考える時間の呼吸が、少し楽になるかもしれません。
━━━ ひらいた手のひらの色 ━━━
女王が前へ差し出した手に何を受けているのかは、横から絵を見ているだけでは、読みきれません。
鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」では、好意が伝わってしまったかもしれないお相手が、いまあなたへどんな想いを抱いているのかを、カードに浮かぶ色で視ていきます。脈のあるなしを決めつけるものではなく、あの人のいまの気持ちの色と濃さを、視えたままお伝えする鑑定です。鑑定書は1,500字以上で、テキストでお届けしています。
返事の温度が変わった日も、変わらないままの日も、ここで一息ついてもらえたらうれしいです。また、気が向いたときにのぞいてくださいね。
月詠ソラ