「まだ、誰のものかも分からない」。「杖のエース」が出たとき、芽吹いたばかりの熱が、行き先も持ち主も定まっていないこと

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画面の右に浮かぶ雲の中から、手首から先だけが横向きに出ています。その手は杖をしっかりと握っていて、杖の先と両脇からは、小枝が何本か芽吹いています。こんばんは、月詠ソラです。今夜開くのは杖のスート、36弾「杖の3」・41弾「杖の8」・44弾「杖の9」・49弾「杖の5」・50弾「杖の6」・54弾「杖の7」・58弾「杖の4」・63弾「杖のナイト」・65弾「杖の10」に続く10枚目、「杖のエース」です。

もしあなたが、

・気になる人ができて、心が急に浮き立っているけれど、これが本物の気持ちなのか自分でもまだ分からない
・「杖のエース=情熱的にアプローチされる合図」と言われて、実際にはまだ何も動いていないのに、期待だけが先走っている
・新しく動き出した気持ちが、自分の内側から出てきたものなのか、相手に反応しているだけなのか、判然としない
・せっかく芽生えた意欲を、どこに向ければいいのか分からず、持て余している

このどれかに心当たりがあれば、今夜はこの一枚を、静かに見つめてみようと思います。

■「杖のエース」は恋愛占いで「相手からの情熱的なアプローチが確約された合図」と誤解されやすいカードです


タロットの「杖のエース」は、雲の中から横向きに出た手が、一本の杖をまっすぐに握っている絵柄です。手のまわりには白い光の筋が広がり、杖から芽吹いた小枝のそばには、枝を離れた葉が8枚ほど散っています。下には川が流れ、左の丘の上には尖った塔のある城が小さく見えていますが、杖からそこまでの道のりは描かれていません。この、確かな熱を帯びた杖を力強く握っているという絵柄から、恋愛占いでは「もうすぐ相手から情熱的に動いてもらえる」「アプローチの合図」と、外からの行動そのものまで約束されたかのように読まれることが多いようです。

■「杖のエース」が伝えているのは、外から差し出される情熱ではありません


もう一度絵柄を見てみると、杖を握っている手の持ち主が誰なのかは、雲に隠れて分かりません。小枝は芽吹いていますが、杖そのものはどこにも根を張っておらず、これからどちらに伸びていくのかもまだ決まっていません。遠くに見える城までの道のりも、描かれていないのです。ここにあるのは、誰かから差し出された確約ではなく、いま生まれたばかりの意欲そのものが、まだ持ち主も行き先も定まらないまま握られている瞬間なのだと思います。それがご自身の内側からわいたものなのか、それとも相手を得て初めて気づいた自分の熱なのか。杖のエースの一枚だけでは、まだそこまでは分かりません。

■ 杖のエースが示す、二つの色


二つの色は、いつも同じ濃さで並ぶとは限りません。

萌黄色(もえぎいろ)が、杖から芽吹いた小枝の葉に視えるとき
瑞々しい、黄みがかった緑です。若草色は「芽吹いたばかりの新しい気持ち、これから育つ可能性」でしたが、萌黄色が指しているのは、これから育っていく期待そのものではありません。芽吹くと同時にこぼれ落ちてもいる、まだ制御もされず、向かう先も定まっていない生の勢いのほうです。

煙色(けむりいろ)が、手を包んでいる雲そのものに視えるとき
くすんだ、灰みがかった色です。鳩羽鼠の「あいまいなまま揺れている迷い」とは別で、これは迷いから生まれた色ではありません。この情熱がどこから、誰から生まれたのかが、まだ自分自身にも見えていない、正体不明の起点そのものです。

■ 気になる人ができたばかりの頃に、このカードが出たら


このカードでわたしが最初に目を留めるのは、杖を握っている指と、そのそばに散っている葉です。

指は閉じたままで、この熱はまだ手放されていない、と読む余地は残っています。ただ、杖のそばには枝を離れた葉が散っていて、勢いの一部はもうこぼれ始めているようにも視えます。小枝に残っている葉と、離れていった葉。どちらに目が向くかで、この熱の手ざわりは少し違って視えるのかなと思います。

手の持ち主は雲に隠れていて、絵の中からは見えません。一時の高揚で終わるのか、長く続く火種になるのかも、この一枚からは読めないところです。

一枚だけ並べるなら、63弾の杖のナイトがいちばん近い気がします。あちらはもう、行き先を定めた推進力までたどり着いていました。杖のエースは、まだその手前にいる一枚です。芽吹いたばかりの熱だけが手の中にあって、これを恋と呼んでいいものかどうかは、これから探っていくところなのだと思います。

個別の鑑定で時間をかけて視るのは、この熱を向けられた相手の側に、いまどんな色が浮かんでいるのか、というところです。そこはご自身の側からだけでは判断がつきにくいので、気になる方は記事の終わりのご案内をのぞいてみてください。

■ 今夜のあなたへ


「杖のエース」がここまで教えてくれたのは、相手からの行動を保証する合図ではなく、根も持ち主もまだ定まらない、生まれたての熱そのものでした。だからといって、この気持ちを本物ではないと決めつける理由にもならないのだと思います。杖そのものは、確かな手にしっかりと握られたままです。行き先が決まっていないのは、育つ力がないからではなく、まだ向かう方向が選ばれていないだけなのかもしれません。そしてこの熱は、いつまでも自分一人の中だけにとどまるものではなく、いずれ相手という誰かに触れていくものなのかもしれません。そのとき相手の中に何が生まれるのかは、まだ持ち主も定まらないこの一枚だけでは見えてきません。答えを急いで出す必要はないのだと思います。芽吹いたばかりのこの熱には、まだこの先、育っていくだけの時間が残っています。

杖のスートは、これで10枚目まで進みました。残るは2・ペイジ・クイーン・キング、あと4枚です。次にどの一枚を開くかは、まだ決めていません。またゆっくり選んでみようと思います。

━━━ まだ、誰のものかも分からない熱 ━━━

この熱が相手にどう映っているのかは、ご本人の位置からはまだ見えないところです。

まだ持ち主も定まらないその熱を、相手がどう受け止めているのか、それともまだ何も届いていないのか。そのあたりの色合いを、鑑定メニュー「あの人のいまの本音、想いの色を視てお伝えします」でもう少し詳しく視ることもできます。1,500字以上の鑑定書として、24時間以内を目安にお届けしています。


雲に隠れたまま、まだ姿の見えないこの手の持ち主を、ご自身の目でも見立ててみたい方には、コンテンツマーケットに置いている色の読み方の入門記事も参考にしていただけると思います。

その芽が、いつかちゃんと根を張れますように。1週間ほど経ったころ、色が動いていてもいなくても、そのままの様子をまた聞かせてくださいね。
月詠ソラ
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