「連絡が来るカード」と読む前に。聖杯のナイトの馬は、まだ川の手前をゆっくり歩いている

「連絡が来るカード」と読む前に。聖杯のナイトの馬は、まだ川の手前をゆっくり歩いている

記事
占い
「聖杯のナイトって、連絡が来るカードですよね」。このカードの意味を調べると、たいていいちばん先に出てくるのがこの読み方です。こんばんは、月詠ソラです。64弾の「聖杯のクイーン」以来、久しぶりに聖杯の宮廷札を開きます。聖杯のスートは、この一枚で9枚目になりました。

もしあなたが、

・既読のまま返事が止まった人の気持ちを占ったら、このカードが出た
・別れた、あるいは自然消滅で離れてしまった相手のいまを知りたくて引いた一枚が、聖杯のナイトだった
・「聖杯のナイト=復縁の知らせ、連絡が来るサイン」と読んで、スマホを手放せなくなっている
・期待していいのか、期待しないほうが楽なのか、自分でも決めかねている

どれかに覚えがあるなら、少しのあいだ、この騎士の歩みに付き合ってみてください。

■ 杯を掲げた騎士は、もうすぐそこまで来ているのでしょうか


絵の中の騎士は、甲冑の上に赤い魚の模様が入った上着を重ね、兜には小さな翼の飾りをつけています。右手には金色の杯。立てたまま、体の前へまっすぐ差し出しています。左手は手綱です。

乗っている馬は、灰色がかった淡い桃色の毛並みで、首を深く下げ、前脚の片方を持ち上げたところで描かれています。右手の奥には茶色い岩山がそびえ、持ち上げた前脚の先には、細い川がうねっています。

杯を持った騎士が、どこかへ向かって進んでいる。その構図と、聖杯のスートが気持ちを表すことが重なって、恋愛占いでは「復縁の知らせ」「近いうちに連絡が来るサイン」と読まれることがよくあります。止まった返事の答えを探している夜にこのカードが出たら、そう受け取りたくなるのは自然なことだと思います。

■ 騎士より先に、馬の歩き方を


同じナイトでも、63弾の杖のナイトの馬は前脚を高く振り上げ、うしろ脚で立ち上がっていました。聖杯のナイトの馬は、駆けてもいなければ跳ねてもいません。首を下げて足もとを確かめながら、一歩ずつ進んでいる途中です。

杯はたしかに掲げられています。誰かに届けたい気持ちが騎士の手の中にあることは、絵のとおりなのだと思います。けれど、その杯はまだ誰の手にも渡っていませんし、馬の前には、これから越える川も残っています。

なのでこのカードは、「連絡が来る」という到着の知らせよりも、届ける前の気持ちを映していると、わたしは読んでいます。近づきたい気持ちはあっても、歩みはまだゆっくりで、本人もどこを通って行くのか決めきれていないのかもしれません。着くのかどうか、着くとしたらいつなのか。そこまでは、この一枚からは視えてきません。

■ 掲げた杯と、うつむいた馬の首に差す色


聖杯のナイトを視るとき、色がにじみやすいのは騎士の掲げた杯と、首を下げた馬のほうです。杯の色は相手の中にある気持ちの手ざわりを、馬の色はその気持ちにどれくらいためらいが混ざっているかを映している、とわたしは読んでいます。

杯に視える、香色(こういろ)
丁子などの香料で染めた、黄みを帯びた淡い茶色です。この色に染めた布には、ほのかに香りが残ったそうです。相手の杯にこの色が視えるときは、あなたへ向かう気持ちが、形になって届くより先に、気配だけこぼれているのかもしれません。ふとした拍子に思い出してもらえている気がするなら、案外この色なのかなと思います。

ただ、香りが届くことと、本人がたどり着くことは、別の話です。

馬に視える、桜鼠(さくらねず)
桜色にほんの少し鼠色を混ぜた、くすんだ淡い桃色です。絵の馬の毛並みも、どこかこの色に近く見えます。馬にこの色が重なるときは、懐かしさや恋しさは残っていても、そこにためらいが混ざって、歩みがゆるんでいる状態にあるのかもしれません。止まってはいないけれど、急いでもいない。前へ出る足取りの中に、迷いがそのまま溶けている色です。

■ 連絡の途絶えた相手のことで、このカードが出たら


連絡が止まった相手を占って聖杯のナイトが出たとき、わたしがまず確かめるのは、騎士がその杯をまだ手にしているかどうかです。

手放されていないのなら、「気持ちがない」と読むより、「気持ちはあるけれど、まだ動かせずにいる」と読む余地が残ります。ただ、それをいつ、どんな形で差し出すのかは、ご本人の中でも定まっていないことがあります。そのまま杯が運ばれていくのか、杯を持ったまま長いあいだ同じあたりを歩くのか。そこは人によって違います。

わたしが個別の鑑定で時間をかけて視るのは、杯の中身と、それを運ぶ馬の足取りです。いまどんな気持ちが入っていて、そこにどれくらいためらいが混ざっているのか。その鑑定のことは、締めくくりの前に少しだけ触れさせてください。

■ 今夜のあなたへ


返事の来ない画面を何度も開いてしまう夜は、時計の針がずいぶん遅く感じられると思います。

聖杯のナイトは、連絡を約束してくれるカードではなさそうです。それでも、杯が空だとも、騎士が引き返したとも描かれてはいません。描かれているのは、届ける途中の、ゆっくりした一歩です。この先の流れがどちらへ向かうのかは、まだはっきりとは視えてきません。

来るか来ないかを毎晩たしかめて心をすり減らすより、あの人の手にまだ杯が残っているのかもしれないことを、静かに覚えておく。いまはそのくらいの距離で待つほうが、少し楽でいられるのかもしれません。

聖杯で残っているのは、エース・3・7・ペイジ・キングの5枚になりました。ペイジとキングを開けば、聖杯の宮廷札はそろうことになります。

━━━ まだ川の手前にある杯 ━━━

杯がいまどこまで運ばれているのかは、絵の外にいるわたしたちからは、なかなか見えません。

鑑定メニュー「既読が止まったあの人の、今の想いを視ます」では、連絡の途絶えた相手が、いまあなたをどう想っているのかを、カードに浮かぶ色から視て、鑑定書にしてお届けしています。返事が来ない理由を責めるためではなく、あの人の杯にいま何が入っていて、そこにどんなためらいが混ざっているのかを知るための鑑定です。



騎士の馬がもう少し歩みを進めたころ、色が動いていてもいなくても、そのままの様子をまた聞かせてくださいね。あなたの夜が、今夜よりほんの少し静かであるといいなと思います。
月詠ソラ
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す