顧客情報をExcelで管理していると、気づかないうちに「顧客一覧.xlsx」「予約管理_最新版.xlsx」「売上集計.xlsx」のようにファイルが増えます。店舗では誰かが更新した表と、別の担当者が持つ表で電話番号や最終来店日が違うこともあります。
この状態で新しいシステムへ移すと、重複顧客や古い情報までそのまま持ち込むため、先に台帳を1つへ整理する必要があります。ここでは個人サロン、美容室、整体院など、少人数の店舗を想定した統合手順を説明します。
【最初に決めるのは正本ファイル】
最初に「今後はこのファイルだけを更新する」という正本を1つ決めます。更新日の新しさだけで選ばず、顧客数、項目の不足、来店履歴の有無を確認します。
例えばA表が顧客350件・電話番号あり・来店履歴なし、B表が顧客280件・電話番号なし・来店履歴ありなら、A表を正本にしてB表の来店履歴を追加します。両方を丸ごとコピーすると、同じ顧客が2行になるため避けます。
【統合前に残す項目を決める】
最初から全列を残そうとすると整理が止まります。最低限は、顧客番号、氏名、電話番号、最終来店日、施術・購入の要点、次回確認事項の6項目です。住所、生年月日、紹介者、細かな好みは、実際に使っている場合だけ追加します。
判断基準は「来店前の確認」「連絡」「再来店の把握」のどれに使うかです。用途を説明できない列は、削除せず別シートへ退避しておけば安全です。
【手順1 バックアップを作る】
作業前に元ファイルを複製し、20260827_統合前_A.xlsxのように日付を付けます。元ファイルへ直接上書きしてはいけません。操作を誤って列を消した場合でも、比較できる状態を残します。
【手順2 列名と形式を揃える】
「氏名」「お名前」「顧客名」は「氏名」に統一します。電話番号はハイフンあり・なしをどちらかに揃え、日付は文字列ではなく日付形式にします。空白や全角・半角の違いも重複判定を狂わせるため、前後の空白を除きます。
【手順3 重複候補を機械的に出す】
氏名だけで同一人物と決めるのは危険です。同姓同名があるため、電話番号を第一候補にし、電話番号がない場合は氏名と生年月日、または氏名と最終来店日を組み合わせます。
仮に400行のうち40行が重複候補なら、最初から400行を目視するより40行だけ確認できます。1件30秒でも、全件確認は約200分、候補40件なら約20分です。
【手順4 新しい情報を残して統合する】
重複した2行は、単純に片方を削除しません。電話番号は更新日が新しい方、最終来店日は日付が新しい方、施術メモは内容を確認して必要なら併記します。統合した行には「統合済み」と元の顧客番号を残すと、後から照合できます。
【手順5 件数と抜き取りを確認する】
統合前のA表350件とB表280件を合わせ、重複候補80件を統合したなら、目安は550件です。完成件数が430件や620件なら、削除しすぎか重複が残っています。
さらに先頭だけでなく、50件ごとに1件、電話番号なし、同姓同名、最近来店した顧客を抜き取り、元表と照合します。
【よくある失敗】
1つ目は、最新ファイルという名前だけで正本を決めることです。最新版に来店履歴が入っていない場合があります。
2つ目は、氏名だけで重複削除することです。同姓同名を誤って1人にまとめる危険があります。
3つ目は、統合後も古いファイルを共有フォルダへ残すことです。スタッフが古い表を再び更新し、台帳が分裂します。旧ファイルは「参照専用」フォルダへ移し、更新禁止と明記します。
4つ目は、作業担当者だけがルールを知っていることです。電話番号の形式やメモの書き方を1ページにまとめ、新規登録時のルールとして共有します。
【完了チェックリスト】
・正本ファイルが1つに決まっている
・元ファイルのバックアップがある
・列名、電話番号、日付形式が統一されている
・重複は氏名以外の情報でも確認した
・統合前後の件数差を説明できる
・抜き取り確認を行った
・旧ファイルは参照専用に移した
・今後の入力ルールを共有した
Excelが複数に分かれた状態は、ソフトを導入するだけでは解決しません。正本、項目、重複判定、更新ルールを先に決めることで、移行後の顧客管理も安定します。
自社の台帳ではどの列を残すべきか、重複をどう判定すべきか迷う場合は、現在のファイル構成と利用人数を整理したうえで、ココナラ内の見積り相談からご相談ください。外部連絡先を使わず、必要な項目と運用方法を一緒に確認できます。
【仕組みを見直す目安】
毎週のようにファイルを結合している、同じ顧客を月2回以上重複登録する、来店前に情報を探す時間が1件2分を超える場合は、Excelの列追加だけではなく管理方法そのものを見直す時期です。まず直近来店50名で新しい運用を試し、入力時間と検索時間を2週間測ると、全件移行の前に効果を判断できます。