〜歴史的背景と晩年のリアリティから考える「家族」の価値〜
「必ずしも結婚しなければいけない時代ではない」
今の世の中では、そんな価値観がすっかり定着しました。生き方の選択肢が増えたこと自体は、とても素晴らしいことです。
しかし、FPとしてライフプランの相談をお受けしていると、ふと考えさせられることがあります。
「では、独身のまま重ねていく人生の『その先』には、どのようなリアルが待っているのだろうか?」ということです。
今回は、社会構造の歴史や不動産の現場で見てきた現実を交えながら、これからの生き方と「家族を持つこと」の意味について、少し深掘りしてお話ししてみたいと思います。
1. 2つの「一人暮らし」を分けて考える
議論の前提として、まず整理しておきたい大切なポイントがあります。
世の中には「配偶者や子どもに先立たれて一人暮らしになった方」と、「独身を選択して(あるいは結果として独身で)生きてきた方」がいらっしゃいます。この2つのケースは、お金や社会的な文脈において全く異なるものです。
ご遺族として一人暮らしになられた方は、それまで世帯として長年社会に貢献し、納税や子育てを果たしてこられた経緯があり、遺族年金などの手厚い公的保障も用意されています。
一方で、ずっと独身で過ごされてきた方のライフプランを考える際は、それとは切り離して「単身で社会とどう関わり、老後を迎えるか」という固有の視点が必要になります。
現行の公的年金制度は、現役世代が納めた保険料で高齢者を支える「賦課(ふか)方式」です。子どもたちが育ち、将来の働き手となって納税していくという「再生産のサイクル」によって成り立っています。最近では「子ども・子育て支援金制度」などが施行され、独身者の負担について議論されることも増えましたが、制度を維持する仕組みの根底にはこうした循環があります。
2. 「結婚しない派」と「条件婚派」は根底でつながっている
では、なぜこれほどまでに独身の方が増えたのでしょうか。決して「若者の結婚離れ」という一言で片付けられるものではありません。
歴史的に振り返れば、いわゆる「失われた30年」や「就職氷河期」において、社会の雇用や収入の基盤が大きく揺らぎました。将来の収入が見通せない中で、「結婚したくても先延ばしにせざるを得なかった」という人々が大量に生まれ、結果として未婚率が上昇したという悲しい歴史があります。
そして、その結果生まれた「独身も珍しくない時代」の中で、今の若い世代が出した答えが、前回のブログでも触れた「条件婚(生活が成立する相手とだけ結婚する)」という自衛策です。
ここで気づかされるのは、次の事実です。
「経済的に厳しいから、結婚を諦める(独身でいる)」
「経済的に厳しいから、条件の良い人とだけ結婚する(条件婚)」
一見すると対極に見えるこの2つの選択は、実は「厳しい経済状況から自分を守るための答え」という意味で、根底では全く同じなのです。
誰かを責めるような話ではなく、誰もが必死に時代を生き抜こうとしてきた結果が、現在の日本の姿なのだと感じます。
3. 「緩い共同体」という幻想と、不動産の現場で見える現実
最近、時々耳にするのが「これからは独身同士、SNSやコミュニティなどの『緩い共同体』でつながって助け合えば大丈夫」という意見です。
多様性の時代として魅力的に聞こえるかもしれませんが、私はこれを聞くたびに少し立ち止まってしまいます。
私は過去に不動産業界にいた経験がありますが、一人暮らしのご老人が晩年を迎える現場をいくつか見てきました。
人は誰しも歳を重ねると、足腰が立たなくなり、認知機能も衰えていきます。身体が思うように動かなくなったとき、あるいは尊厳を保つことすら難しくなったとき、その「緩い共同体」の仲間は、本当にあなたの自宅まで駆けつけて介護をしてくれるでしょうか。あなたのために時間やお金を出してくれるでしょうか。
日常のSNSでの会話や、趣味のサークルでの助け合いは素晴らしいものです。しかし、それが「人生の最後のセーフティネット」になり得るかというと、現実は非常に厳しいと言わざるを得ません。
ご家族がいない場合、親が亡くなった後は本当の意味での「身内」がいなくなります。病気や要介護になったとき、最終的に手続きを引き受け、泥臭いお世話をし、最期を看取るのは、行政や公的な支援も勿論ありますが、やはり「家族」という強い結びつきを持つ人々なのです。
4. むすびに:家族という「人生最強のパートナーシップ」
「一人で生きる自由」も「二人で支え合う温もり」も、どちらも尊い人生の価値観です。
ですが、もしあなたが「結婚できる機会」や「家族を作るチャンス」の途上にいるのであれば、FPとして、そして一人の人生の先輩として、ぜひ前向きに「家族を持つこと」を選択肢に入れていただきたいと思っています。
家族とは、単なる法律上の関係ではありません。人生の荒波や老いという避けられない未来に対して、お互いの人生を肯定し、支え合うための「最も強固なセーフティネット」であり「人生最高のパートナーシップ」です。
完璧な条件が整うのを待つ必要はありません。未完成な二人であっても、共に寄り添い、力を合わせて温かい家庭を築いていく。そのプロセスこそが、孤独や不安を吹き飛ばし、人生に揺るぎない安心感をもたらしてくれます。
あなたの未来のライフプランを描くとき、どうか「家族と共に歩む温かな将来」も描いてみてください。二人で歩む道は、一人で歩く道よりもずっと心強く、笑顔あふれるものになるはずですよ。
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ブログは上記で終わりです。少しリクエストがあり、前回の続編的意味合いのものを書いてみました。
尚、こちらでいろいろな条件整理が難しい方は簡単な電話相談もしておりますのでご確認ください。
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