「豪華客船のスイート」からの招待状が届いた、不調はあるのに原因が思い当たらないあなた。
すべてをプロに委ねるVIPフルエスコートの航海に出る前に、ひとつだけ駅のロッカーに置いていきたい荷物があります。
旅に出る前に、まず置いていくもの
それは、「自分の疲れを『大丈夫』のひと言で片付けてしまう」という習慣です。
周りに心配をかけたくない、弱音を吐きたくないという気持ちは痛いほどよく分かります。ですが、その「大丈夫と言い聞かせる選択」の積み重ねが、体からのSOSサインをキャッチするセンサーをさらに鈍らせてしまっているのです。
なぜ「大丈夫」がセンサーを麻痺させるのか
「大丈夫」「まだやれる」と自分に言い聞かせるたび、脳は「今はまだ限界ではないから、この疲労サインは無視していい」と学習していきます。
心理学や心身医学の研究でも、ネガティブな身体感覚(疲労や痛み)を意図的に抑え込み続けると、脳が自分の身体状態をモニタリングする機能(内受容感覚)が低下することが分かっています。本当はひどく疲れているのに、その情報が意識まで上がってこなくなり、気づいた時には「原因不明の不調」だけが残ってしまうのです。
つまり、「大丈夫で片付ける習慣」そのものが、あなた自身のコンパスを壊し、感覚の麻痺(アラームの強制終了)を生み出し続ける最大のトリガーになっているのです。
荷物確認、一緒にしてみませんか
「大丈夫で片付ける習慣」の他にも、あなたの旅行カバンを重くしているものがあるかもしれません。
人に頼ることへの抵抗感、自分を常に後回しにする癖、休むことへの罪悪感——。人によって、隠し持っている荷物はさまざまです。
あなた専用の「旅のしおり(ロードマップ)」を作りながら、専属コンダクターの私と一緒にカバンの中身をそっと広げてみませんか。
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― Dóna Salus ―
【今回のキーワード】
「身体感覚の意図的抑制と内受容感覚の低下」
【参考】
論文名:Interoception in somatic symptom disorders and related conditions: A systematic review
著者 / ジャーナル: Schaefer M, et al. / *J Psychosom Res. 2021.* (PMID: 34116480
エビデンスレベル:Systematic Review
概要:自身の「疲れ」や「ストレス」といった身体からのSOS(内受容感覚)を慢性的に無視したり、抑圧したりする心理的習慣が、脳のネットワーク(特に島皮質など)の働きを低下させ、最終的に「原因不明の身体症状」を引き起こすメカニズムをまとめたシステマティックレビューです。脳が「アラームを鳴らしても無駄だ(大丈夫だ)」と学習し、感覚のセンサーを意図的に麻痺させてしまうプロセス(Blunted Interoception)の明確な医学的根拠となります。