出会いの中で学んだこと
福祉業に在職中、様々なケースに出会うことができた。
それは、とても多種多様な状況であり、多種多様な問題だった。
退職した今思えば、職業人としての私の血肉は、その方々との中で学んだ経験と知識でできている。大切な宝物なのだと、本当に感謝している。
理想を伝える立場にいて
私自身、施設での勤務経験はあるけれど、概ねは在宅福祉だった。
在宅の介護は、支えられる方も支え手もどこかで難しさを感じていることが多い。
もちろん、私たち専門職は理想を伝える。
「筋力が落ちていると、転びやすくなります。運動しましょう。」
「栄養が偏ると、体力や持久力も落ちます。認知症にもなりやすくなるといわれています。バランスよく摂取しましょう。」など、伝え続ける。
果てには、認知症の介護に苦悩している家族にも、「大変でしょうが、否定しないようにした方がいいです。」などと伝える。
老いを受け入れる難しさ
対象者には、昨日までできていたことが、難しくなることでの「喪失感」がある。
ある意味、歳を重ねるとは「初めての年齢を、体験する」こと。
ある一定に年齢になると、喪失体験を繰り返す。
これは、その方その方の生き方や人柄によって、唯一無二に感じている。その後の行動も、受け止めの感情によってそれぞれ違う。
たくましく乗り越えながら、易々と受け入れていくように見える方もいる。
一方、どうしても老いることを受け入れられない葛藤を抱えている方もいらっしゃる。
あえて、そう見せている方も。家族も同様。
勤務する長い年月の中で、時代も社会情勢も変動した。
私もご多分に漏れず、年を重ねる中で、対応の仕方も感じて受け止める力量も変わったはず。
若いころに(若いと思っていたころに)、恥ずかしながら生意気に正論を翳していたこともあったと思う。その頃出会った方々には、申し訳ない思いでいっぱいです・・・。m(__)m
経験が増える分、感じること、受け止めることも、自然と深まったのだと思う。歳を重ねたからこそ、介護世代の話も増えた。
介護する方、介護される方の持っている力の見立ても、悩みながら、おかげ様で少しずつ深まったかな。これも、学び。
専門職でも、家では家族
一番見立てに悩んだのは、専門職の方が介護者になるケースだった。知識もスキルも備わっていらっしゃる中で、医療や福祉の専門職であるその方自身が介護する状況におられる方も少なくないし、苦慮する人も多い。
進展しない課題や状況の悪化に、専門職でもある介護者に向けて、私たちも「わかっているのに・・・なぜ?」と疑問が消えないことも多々。
いやいや、わかっているからこそ苦しいんだと感じることも多々。
専門職が仕事として割り切れる環境で、理路整然と冷静に、時には寄り添って対応する。
専門職を迎える側の期待も、きっとそこにある。
しかしながら、「家族」や「利害関係」の当事者となると、仕事のようにはいかない。
関係性やプロセス、そこからくる「感情」も双方に出てくる。
仕事の時のようには、立ち行かない。
知識や理論だけでは納得できないこともあるし、言うことに素直には従えないこともある。
母とのこと
ある日、母が言った。
「虐待だと、社会福祉協議会に言ってやる。」
なぜ社協?と思いながら理由を聞くと、 「仕事ばかりして。自分の親に親切にしないで、ほかの人ばかりにやさしくする。虐待だ。」と。
今思えば、認知症の始まりだったのだと思う。
「言いたければ、どうぞ。」と、笑いながら答えていたことを覚えている。
私自身が、証明した。
冷静でなど、いられない。忙しい時間に何を言っているのかと、腹立たしいとさえ感じた。
専門職の時の私なら、寂しさや「やさしくされたい」と思わせる背景に、その方の状況の変化があるのかと、きっと課題分析を始めたはず。
けれど、とてもやさしくなどいられない。
この感情は、まぎれもなく母との関係性に課題があったから。
専門性はある(はず・・・)。しかし、自宅では感情や都合が優先しがち。
当てはまらない方も、中にはいるかもしれない。
しかし、専門職の介護者に出会う度 専門性が発揮できていない様子に「残念」と感じる一方で、「わかる わかる」と妙に納得する自分もいた。
ソーシャルワークの場面では、顧客である本人だけ見ていては対応していけない。
必要な方には、ファミリーソーシャルワークが必要になる。(ここだけ 専門用語。ついつい 職業観念が出てくる・・・汗)
私の持論
これはただの持論。 反論も異論もあると思う。 でも私はこう思う。
「専門職は、自宅では専門職ではいられない。」
介護が必要であってもなくても、家族間の様々な状況や関係がある。
介護が見えてきた、必要になってきたそんなとき、当事者それぞれに想いが、新たに起こりやすい。
それは、専門職であっても。
また、当事者は多少なりとも、フラストレーションとなりやすい。
専門職だからこそ 専門職の介護者の思いも理解したいと思いますし
対象者を中心に(あくまでも 顧客は高齢者)ご家族の介護力や思いを
見立てる必要があるんだと思います
誰にとっても 避けられない時期。
本人・ご家族の思い 少しでも、理解し和らげられるヒントや工夫 を提供できるやり取りが出来たら・・・と考えたりします。
これからも、ぐだぐだと、こんな経験から感じた思いや気になったことを、誰かの評価は気にせず、書いてみようと思います。
時には、毒も吐くこともあるかもしれません。ご容赦ください。 (^_^;)
介護や福祉の中で、うまく言葉にできない思いや、整理しきれない気持ちがある方のお話も、少しずつ伺っています。
必要な方に届けば嬉しいです。