今では、ネットショッピングを利用する際の選択肢として当たり前の存在になったAmazon。
欲しい商品を検索し、注文すれば自宅まで届けてもらえる――。
そんな便利なサービスが定着していますが、10年前のAmazonと現在のAmazonを比べてみると、その姿は大きく変化しています。
2016年ごろのAmazonは、今以上に「ネット通販」というイメージが強い存在でした。
ところが、この10年でAmazonは、通販だけではなく、動画、音楽、クラウド、広告、物流、AI、ロボットなど、さまざまな分野へ事業を広げています。
今回は、2016年から2026年までのおよそ10年間を振り返りながら、Amazonがどのように進化してきたのかを見ていきます。
2016年のAmazonはどんな存在だった?
2016年当時もAmazonはすでに巨大なネット通販サイトでした。
一方で、現在ほど「Amazon=生活インフラ」という印象は強くありませんでした。
この頃、日本ではAmazonプライムのサービスが徐々に拡大しており、2015年にはPrime VideoやPrime Musicがスタート。
2016年にはPrime PhotosやKindle Unlimited、日本で初めてAmazon Roboticsを導入した川崎フルフィルメントセンターなどが登場しました。
つまり、10年前からすでにAmazonは「商品を売るだけの会社」から変わろうとしていたのです。
①「買い物サイト」から「生活サービス」へ
10年間で特に大きく変わったのが、Amazonプライムです。
以前のAmazonプライムは、主に「配送を便利にする会員サービス」という印象が強いものでした。
しかし現在では、Prime Video、Amazon Music、Prime Reading、Prime Gamingなど、さまざまなサービスが組み合わされた総合的な会員サービスへと変化しています。
日本でも2017年以降、Amazonフレッシュ、Prime Reading、Amazon Music Unlimited、Prime Gamingなどが追加され、2018年にはPrime Wardrobeも開始されました。
「買い物のためにAmazonを使う」だけではなく、
「動画を見るためにAmazonを使う」
「音楽を聴くためにAmazonを使う」
「本を読むためにAmazonを使う」
という使い方が増えていったわけです。
② 配送の進化がすごい
Amazonの10年間を語るうえで欠かせないのが物流です。
2016年当時も「お急ぎ便」などの配送サービスはありましたが、現在は物流拠点そのものが大きく進化しています。
フルフィルメントセンターでは、ロボットが商品の入った棚を運ぶなど、テクノロジーを活用した物流が進められてきました。
Amazon Roboticsは2012年の導入当初は1種類のロボットから始まり、現在では複数種類のロボットが物流拠点で稼働しています。
さらにAIを活用してロボット同士の動きを最適化する取り組みも進められています。
日本でも2016年に川崎フルフィルメントセンターへAmazon Roboticsが導入され、その後、物流拠点やデリバリーステーションが全国へ拡大していきました。
「注文された商品を人が探して箱に入れる」というイメージから、「人とロボット、AIが協力して商品を動かす」という仕組みへ変わってきたのです。
③ Amazonは「クラウド企業」でもある
意外と知られていないのが、Amazonのクラウド事業「AWS」です。
AWSはAmazon Web Servicesの略で、企業などにクラウドコンピューティングサービスを提供しています。
Amazon自身のネット通販を支える技術から始まったクラウド事業は、今やAmazonを支える大きな事業へ成長しました。
2025年のAWS売上高は約1,287億ドル。
Amazon全体の2025年売上高約7,169億ドルのうち、大きな割合を占めています。
つまり現在のAmazonは、
「ネット通販会社」+「クラウド企業」
という二つの顔を持つ巨大企業になっているのです。
④ 広告事業まで巨大化
もう一つ、この10年で存在感を増したのが広告です。
Amazonの商品検索画面を見ると、検索結果の中に「スポンサー」などと表示された商品が出てくることがあります。
これはAmazonに出店する企業などが利用する広告サービスです。
2025年の広告サービス売上高は約686億ドルに達しています。
Amazonには「何を検索したのか」「何を購入したのか」といった購買に関するデータが蓄積されています。
そのため、商品を販売する場所であると同時に、企業が商品をアピールする広告プラットフォームとしても成長しています。
⑤ AIが次の大きなテーマに
そして2026年現在、Amazonが特に力を入れているのがAIです。
AmazonではAWSを中心にAI関連サービスを展開するだけでなく、自社の物流にもAIを取り入れています。
たとえば物流拠点でロボットの動きを最適化する「DeepFleet」というAIモデルも開発されています。
これは、物流拠点内を移動するロボットの経路などを最適化し、より効率的に商品を処理することを目指すものです。
さらにAmazonは、2026年にはAI、チップ、ロボティクスなどへの投資を含め、約2,000億ドルの設備投資を見込むと説明しています。
10年前には「AI」という言葉をAmazonの物流と結びつけて考える人は、今ほど多くなかったでしょう。
10年前と今を比べると?
10年前のAmazonと現在のAmazonを簡単に比較すると、次のようになります。
2016年ごろ
・ネット通販のイメージが強い
・人を中心とした物流
・Primeは配送特典の印象
・AWSは一般消費者には見えにくい存在
・商品を販売する場所というイメージ
・AIはまだ発展途上
2026年現在
・総合的なテクノロジー企業へ
・ロボットやAIを活用した物流
・動画、音楽、読書などを含む総合サービス
・AWSがAmazonの主要事業の一つに
・販売、広告、クラウド、物流など複数の事業を展開
・AIが今後の成長を支える重要なテーマに
Amazonは「商品を売る会社」ではなくなった?
こうして見ると、Amazonの最大の変化は「商品数が増えたこと」だけではありません。
むしろ大きいのは、買い物を起点として、生活や企業活動に必要なさまざまなサービスへ広がったことです。
商品を販売する。
その商品を自社の物流網で届ける。
出店者から手数料を得る。
出店者に広告サービスを提供する。
その裏側のITインフラをAWSで支える。
そして物流やサービスにAIやロボットを取り入れていく。
こうした仕組みが組み合わさっています。
2025年のAmazonの売上高は約7,169億ドルとなり、オンラインストアだけでなく、AWS、広告、サブスクリプション、第三者販売サービスなど複数の事業が大きな売上を生み出しています。
次の10年でAmazonはどうなる?
2016年から2026年までの10年間で、Amazonは「ネット通販企業」から大きく姿を変えました。
そして次の10年は、AIとロボットがさらに重要な役割を担う可能性があります。
買い物をする。
商品を探す。
おすすめを受ける。
注文する。
商品を保管する。
倉庫から取り出す。
配送する。
こうした一連の流れの中にAIが入り込んでいけば、私たちがAmazonを利用する方法そのものも変わっていくかもしれません。
10年前には想像しにくかった「AI×通販×物流×クラウド」という組み合わせが、今ではAmazonの成長を支える重要な要素になっています。
これから10年後、Amazonが「何を売る会社」になっているのか。
それとも、そもそも「Amazonを使っている」という感覚すらなくなるほど、私たちの生活に溶け込んでいるのか。
2026年は、Amazonにとって次の10年を考えるうえで、大きな転換点になりそうです。